ラッキーアイテムお題短編集7

ルカ(聖夜月ルカ)

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菓子パン

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(う~ん…)



俺はさっきからコンビニの中を右往左往している。
財布を忘れた事に気付いたのはついさっき。
幸いポケットの中には百円硬貨が一枚と数枚の十円玉があったから、昼ご飯はこれでおにぎりかパンを買う事にしたのだが、どっちにするかがなかなか決められない。

昼時で混雑していることもあり、俺は一旦店の外に出た。
そして、店の前のベンチに腰掛け考える。
とはいえ、昼休みはそう長い時間ではない。
なるべく早く決断しなくては…!



(あ~あ、なんで忘れて来たんだろう。
でも、ま、ほんのわずかとはいえ、小銭があって助かった。
どうしようかなぁ…腹保ちが良いのはおにぎりだけど、今日はどうも甘い物が食べたいんだよなぁ…疲れてんのかな?
そういえば、脳疲労には甘い物が良いって言うよな。)



そんなことを考えた途端、俺の頭の中では子供の頃から好きだったクリームパンの黄金のクリームが魅惑的にとろけだす。



(よし!)



そのイメージで、俺の心は決まった。
 俺は再び入店し、真っ直ぐにパン売り場に向かった。



「あーーーーっ!」



ほんの少し前まであった筈のクリームパンが、棚から消え失せていた。
なんてことだ…誰だ、お昼にクリームパンなんて買うやつは…!
そんな八つ当たりのようなことを考えて苛々しても、今更どうにもならない。



 俺は優柔不断な自分自身に泣いた。

 
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