31 / 449
2、黒水晶(規律と守護)モリオン
19
しおりを挟む
「実は裏山にある薬草がほしいの。
裏山はああ見えてもとても険しくて、私の足では登るのは難しいんです。
今までにも何人かに頼んだのですけど、誰も聞いては下さらなかったわ。」
「そんなこと、なんでもありませんよ。
その薬草はどこにある、どんなものですか?
詳しく教えていただけますか?」
「まぁ、嬉しい。
道なりに進めばそこに辿り着けるから、迷うことはないでしょう。
頂上近くまで登ると、小さな丸い泉の前に出るわ。
そのまわりに生える薬草なのですけど、それは少し変わった薬草でね。
今夜みたいな満月の夜にだけ、不思議な力を持つ薬草なの。
満月が一番高くに上がった時に、その薬草はうっすらと光を放つから『月光草』と呼ばれているのよ。
摘み取るのはその時じゃないとダメなのよ。
その時間を逃したら、ただの草になってしまうの。」
「えっ!月が一番高くに上る時?
ダメだよ、そんなの!」
運の悪い事に、彼女の願いは西の塔の魔女との待ち合わせの時間にしか出来ないことだった。
「おばあちゃん、悪いんだけど私達は…」
「……わかりました!」
「えっ!?」
サリーは驚き、私の顔をじっとみつめた。
「今夜、私が月光草を取ってまいりますよ。」
「レヴ!何言ってんだよ!
私達は……」
「……良いんだ。私もすぐに駆け付けるから、西の塔の魔女には君が会って話をしておいておくれ。」
「そ、そんなことでは……」
「レヴさん、あなた、何か大切な御用があるのではないの?」
「いえ、大丈夫です。ご心配なく。
サリーがきっとうまくやってくれますから。」
内心ではまずいことになったと考えてはいたが、見ず知らずの自分達に親切にしてくれた人の頼みを断ることは私には出来なかった。
一度は灰色になったアマゾナイトの指輪を見ると多少気が滅入ったが、こんな大切な時に限ってこういう頼み事をされてしまうのも、きっと運命なのだろうと、私はあっさりと諦めた。
気難しいといわれる西の塔の魔女は、私が遅れたらおそらくもう話を聞いてはくれないだろう。
それでもやはり親切にしてくれた婦人への恩返しを優先すべきだ。
(……協力してくれたサリーには悪いが、また別の方法を考えよう。)
裏山はああ見えてもとても険しくて、私の足では登るのは難しいんです。
今までにも何人かに頼んだのですけど、誰も聞いては下さらなかったわ。」
「そんなこと、なんでもありませんよ。
その薬草はどこにある、どんなものですか?
詳しく教えていただけますか?」
「まぁ、嬉しい。
道なりに進めばそこに辿り着けるから、迷うことはないでしょう。
頂上近くまで登ると、小さな丸い泉の前に出るわ。
そのまわりに生える薬草なのですけど、それは少し変わった薬草でね。
今夜みたいな満月の夜にだけ、不思議な力を持つ薬草なの。
満月が一番高くに上がった時に、その薬草はうっすらと光を放つから『月光草』と呼ばれているのよ。
摘み取るのはその時じゃないとダメなのよ。
その時間を逃したら、ただの草になってしまうの。」
「えっ!月が一番高くに上る時?
ダメだよ、そんなの!」
運の悪い事に、彼女の願いは西の塔の魔女との待ち合わせの時間にしか出来ないことだった。
「おばあちゃん、悪いんだけど私達は…」
「……わかりました!」
「えっ!?」
サリーは驚き、私の顔をじっとみつめた。
「今夜、私が月光草を取ってまいりますよ。」
「レヴ!何言ってんだよ!
私達は……」
「……良いんだ。私もすぐに駆け付けるから、西の塔の魔女には君が会って話をしておいておくれ。」
「そ、そんなことでは……」
「レヴさん、あなた、何か大切な御用があるのではないの?」
「いえ、大丈夫です。ご心配なく。
サリーがきっとうまくやってくれますから。」
内心ではまずいことになったと考えてはいたが、見ず知らずの自分達に親切にしてくれた人の頼みを断ることは私には出来なかった。
一度は灰色になったアマゾナイトの指輪を見ると多少気が滅入ったが、こんな大切な時に限ってこういう頼み事をされてしまうのも、きっと運命なのだろうと、私はあっさりと諦めた。
気難しいといわれる西の塔の魔女は、私が遅れたらおそらくもう話を聞いてはくれないだろう。
それでもやはり親切にしてくれた婦人への恩返しを優先すべきだ。
(……協力してくれたサリーには悪いが、また別の方法を考えよう。)
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~
杵築しゅん
ファンタジー
戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。
3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。
家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。
そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。
こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。
身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。
自由を愛する妖精姫と、番にすべてを捧げた竜人王子〜すれ違いと絆の先に、恋を知る〜
来栖れいな
ファンタジー
妖精女王と精霊王の間に生まれた特別な存在――セレスティア。
自由を愛し、気ままに生きる彼女のもとに現れたのは、竜人族の王子・サイファルト。
「お前は俺の番だ」
番という名の誓いにすべてを捧げた彼は、王族の地位も未来も捨てて森に現れた。
一方のセレスティアは、まだ“番”の意味すら知らない。
執着と守護。すれ違いと絆。
――これは、ひとりの妖精姫が“特別”に気づいていく物語。
甘さ控えめ、でも確かに溺愛。
異種族の距離を越えて紡がれる、成長と守護のファンタジー。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる