上 下
371 / 449
another story

しおりを挟む
「サリーさん…そんな風に言っていただけて嬉しいですよ。
 私に出来ること等、たかが知れているかもしれませんが、それでも私は出来るだけのことをさせていただきますよ。」

 「ありがとう!ヴェール……」

 「……とはいっても…あのシャルロさんの預言でも魔石のことはよくわからなかったんですよね…」

 「そうなんだ…
特に解決策はなかったね。」

 「そうですか……」

ヴェールがそう言ったっきり二人は押し黙り、頭を抱えて考え込む。



 「……そうだ!サリーさん!
 今、お二人にお会いした時のことからいろいろと考えていたのですが、お二人は十字架を探せという言葉に導かれて、暗き森に来られ、そして私と出会ったとおっしゃってましたよね…?
もしも……ですよ。
もしも、十字架が私だけではなく森の民のことを指すのであれば、森の民に会うことで何か状況が変わるのではないでしょうか!?
 最近わかったことでは、森の民の住み処が十字の位置にあるということもわかったばかりですし……」

 「そうか…なるほど!
あんた、良いことに気がついてくれたね!
そうかもしれない…!
 私達はまだ本当の意味での十字架に出会ってないのかもしれないね!
そうなりゃ西の村へ行ってみるしかない!
 彼らがそこにいなけりゃ、北の村だ!」

 「そうですとも!
 彼らは何か特別な知識を持っているかもしれませんし、会えばレヴさんのことも何か力になってくれるかもしれません。
サリーさん!明日の朝、すぐに出発しましょう!」



レヴはまだとてもじゃないが旅が出来る体調ではない。
ヴェールとサリーは、レヴのことをジネットにまかせ、二人ででかけることにした。
しかし、出掛けている間に、万一、レヴの身に何かあったら…
それを考えると二人の心は揺らいだが、かといってここにいたのでは状況は変わらない。
やはり、今は行くしかないのだと二人は決意した。

しおりを挟む

処理中です...