赤い流れ星3

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
93 / 761
side 和彦

しおりを挟む




 情け無い事に、結局、俺は朝までよく眠れなかった。
あの後も、野々村さんに電話したが、やはりあのアナウンスは変わらないままだった。



 二度目だったか、三度目だったかの電話の後で、俺はようやく気が付いた…

そうだ…出ないのなら、呼び出し音が鳴り続けるはずだ、と。
つまり、野々村さんは本当に電波の届かない所にいるか、電源を切っている。
だが、電波の届かないような所は、このあたりでは思いつかない。
 一昔前なら地下は電波が届きにくかったりすることもあったが、最近は、地下でも問題ない。
 野々村さんは、電池が切れてそのままなんてことはまずないし、そうなると、自らの意志で電源を切っているということに他ならない。



つまり、電源を切らなくてはならない状況…
もしくは、電話に邪魔をされたくない状況…



俺の頭の中を一瞬、大河内さんの顔がかすめて消えた。
 昨日、大河内さんは、夜から用があると言っていて…
アッシュ達は、タクシーに乗って帰って来たが、野々村さんとは別のタクシーだったと言っていた。
アッシュ達の手前、別々にタクシーに乗って帰るふりをして、また大河内さんと……



(馬鹿な……)



 俺は、つまらない妄想を払うように頭を振り、顔を洗うために部屋を出た。




 *



 「美幸…野々村さんとはうまくやってるのか?」

 「え?うまくって?」

 朝食の席で、俺はついそんなことを訊ねていた。



 「だから……メールのやりとりとか、よくやってるのかってことだよ。」

 「あぁ、それなら毎日やってるよ!」

 「そうか……昨夜もしてたのか?」

 「……え……?
う、うん、まぁね。」



 美幸が急に瞳を伏せた。
なんとなく、様子がおかしい。



 「おまえも野々村さんも夜更かしだから、けっこう遅くまでやりとりしてるんだろ。
 昨夜も遅くまでやってたのか?」

 「う、うん、まぁね。
ほら、今日は日曜だから、いつもより遅くなっても良いかなって感じで、ちょっと調子に乗ってね…」

 「……そうか。」



なぜ、美幸はそんな嘘を吐く?
 嘘を吐く必要なんてないじゃないか。

 野々村さんに頼まれたのか?
 夜遅くまで美幸とメールをしていたということにしてくれと…
だとしたら、それはなぜだ!?
 普段と変わりなく、家にいたというアリバイのためか…?



――本当は家にいなかったから…?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

レオナルド先生創世記

ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

ラヴェンナ・ヴァラディ ~語れる司書の物語~

ほか
キャラ文芸
中央ヨーロッパのとある小国にある、世界一美しい図書館には風変わりなサービスがある。その名は”宅配司書”。一人の女性司書が、世界各国どこへでもかけつける。地球上のどこかで待つ、たった一人のための本のプレゼン――ブックトークを届けるために。 「英語圏の本ならなんでも」 「舞台化に適した原作本」 「寂しいとき、寄り添ってくれる一冊」 彼女はどんな依頼にも、選りすぐりの数冊を選び、物語のように一冊一冊を結び繋いで、あなたに紹介してくれる。 アウトサイダーと言われる人々が示す生き方。天才が持つ傷。孤独がくれるギフト。 社会の王道からあぶれてしまった人々へ紡ぐ、本の紹介。 書物たちの世界は奥深く、時に人生のひみつにたどり着いてしまうかもしれない――。 人生が息苦しく感じたことのあるあなたへ贈る、ビブリオ・トラベル・ロマン。

煙草屋さんと小説家

男鹿七海
キャラ文芸
※プラトニックな関係のBL要素を含む日常ものです。 商店街の片隅にある小さな煙草屋を営む霧弥。日々の暮らしは静かで穏やかだが、幼馴染であり売れっ子作家の龍二が店を訪れるたびに、心の奥はざわめく。幼馴染としてでも、客としてでもない――その存在は、言葉にできないほど特別だ。 ある日、龍二の周囲に仕事仲間の女性が現れ、霧弥は初めて嫉妬を自覚する。自分の感情を否定しようとしても、触れた手の温もりや視線の距離が、心を正直にさせる。日常の中で少しずつ近づく二人の距離は、言葉ではなく、ささやかな仕草や沈黙に宿る。 そして夜――霧弥の小さな煙草屋で、龍二は初めて自分の想いを口にし、霧弥は返事として告白する。互いの手の温もりと目の奥の真剣さが、これまで言葉にできなかった気持ちを伝える瞬間。静かな日常の向こうに、確かな愛が芽吹く。 小さな煙草屋に灯る、柔らかく温かな恋の物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

本日は桜・恋日和 ーツアーコンダクター 紫都の慕情の旅

光月海愛(こうつきみあ)
恋愛
旅は好きですか? 派遣添乗員(ツアーコンダクター)の桑崎紫都32歳。 もう、仕事がらみの恋愛はしないと思っていたのに…ーー 切ない過去を持つ男女四人の二泊三日の恋慕情。

処理中です...