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ホワイトホワイトデー
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(……雪?)
会社を出ると、真っ暗な空から白いものがふわふわと舞い、路面を白く塗り替えていた。
そっか…道理で寒いと思った。
窓の外を見ることもなくひたすら仕事してたなんて、なんだか侘しい。
そういえば、今日はホワイトデー。
恋人達にはこの雪さえもロマンチックに見えるんだろうな。
こんな遅くまで働いてる私にとってはただ寒いだけだけど…
(あ~…だめだ…
最近の私…枯れ過ぎてるよなぁ…)
私も五年前まではこんなじゃなかった。
結婚を約束した彼もいたし、バレンタインデーやホワイトデーはいつもその人と一緒で……
でも、五年前、彼に海外赴任の話が持ちあがった。
彼は結婚して、一緒に来てほしいと言ったけど、私は見知らぬ国へ行くことに戸惑いがあった。
ちょうど仕事も面白くなった頃だったし、私は迷ったあげく、自分の事を優先した。
それを機に彼とは別れ……
寂しさから婚活に走った頃もあったけど、良い人との出会いはなかった。
彼の事が嫌いになって別れたんじゃないんだもの。
彼の状況が受け入れられなかっただけ。
そのせいか誰を見てもときめくことはなく、そのうち、寂しさにも慣れた。
(五年なんてあっという間だわ……)
コンビニでビールのおつまみを買って家に戻る。
こんな事にも、あの頃はとても寂しさを感じたものなのに…
(あれ……?)
私の部屋の前に大きな荷物…そして、誰かがうずくまっている。
不審者だったらどうしよう?
私は携帯を取り出し、すぐに警察に連絡出来るように身構えた。
私の足音を聞きつけたのか、その人物はゆっくりと顔を上げ…
「タ…タカ…!」
「美里…美里ーーー!」
私は彼の腕にがっしりと抱き締められた。
とても懐かしい感触に頭がぼんやりとする……
*
「それにしても…電話くらいしたらどうなのよ。」
「したよ!でも、電話番号もメアドも変わってたんだ。」
タカはマグカップで両手を温めながらそう言った。
「あ…そっか…
私……番号もメアドも変えたんだ……」
「ほら…!だから、ここに来るしかなかったんだ。
でも、なかなか帰って来ないから…どうしようかって困ってた所だったんだ。」
「もしかして…空港から直接ここに来たの?」
「そうだよ。」
少しも変わってない。
どこか抜けてるこの性格も、屈託のない微笑みも。
「あ!やばいやばい!」
そう言いながら、彼は私の前に小さな包みを差し出した。
「これ…?」
「今日はホワイトデーじゃない。」
五年前に別れたことなどまるでなかったみたいに、彼は微笑む。
その中にマシュマロと五年前に私が受け取らなかった指輪が入っていることも知らずに、私はそれを受け取った。
会社を出ると、真っ暗な空から白いものがふわふわと舞い、路面を白く塗り替えていた。
そっか…道理で寒いと思った。
窓の外を見ることもなくひたすら仕事してたなんて、なんだか侘しい。
そういえば、今日はホワイトデー。
恋人達にはこの雪さえもロマンチックに見えるんだろうな。
こんな遅くまで働いてる私にとってはただ寒いだけだけど…
(あ~…だめだ…
最近の私…枯れ過ぎてるよなぁ…)
私も五年前まではこんなじゃなかった。
結婚を約束した彼もいたし、バレンタインデーやホワイトデーはいつもその人と一緒で……
でも、五年前、彼に海外赴任の話が持ちあがった。
彼は結婚して、一緒に来てほしいと言ったけど、私は見知らぬ国へ行くことに戸惑いがあった。
ちょうど仕事も面白くなった頃だったし、私は迷ったあげく、自分の事を優先した。
それを機に彼とは別れ……
寂しさから婚活に走った頃もあったけど、良い人との出会いはなかった。
彼の事が嫌いになって別れたんじゃないんだもの。
彼の状況が受け入れられなかっただけ。
そのせいか誰を見てもときめくことはなく、そのうち、寂しさにも慣れた。
(五年なんてあっという間だわ……)
コンビニでビールのおつまみを買って家に戻る。
こんな事にも、あの頃はとても寂しさを感じたものなのに…
(あれ……?)
私の部屋の前に大きな荷物…そして、誰かがうずくまっている。
不審者だったらどうしよう?
私は携帯を取り出し、すぐに警察に連絡出来るように身構えた。
私の足音を聞きつけたのか、その人物はゆっくりと顔を上げ…
「タ…タカ…!」
「美里…美里ーーー!」
私は彼の腕にがっしりと抱き締められた。
とても懐かしい感触に頭がぼんやりとする……
*
「それにしても…電話くらいしたらどうなのよ。」
「したよ!でも、電話番号もメアドも変わってたんだ。」
タカはマグカップで両手を温めながらそう言った。
「あ…そっか…
私……番号もメアドも変えたんだ……」
「ほら…!だから、ここに来るしかなかったんだ。
でも、なかなか帰って来ないから…どうしようかって困ってた所だったんだ。」
「もしかして…空港から直接ここに来たの?」
「そうだよ。」
少しも変わってない。
どこか抜けてるこの性格も、屈託のない微笑みも。
「あ!やばいやばい!」
そう言いながら、彼は私の前に小さな包みを差し出した。
「これ…?」
「今日はホワイトデーじゃない。」
五年前に別れたことなどまるでなかったみたいに、彼は微笑む。
その中にマシュマロと五年前に私が受け取らなかった指輪が入っていることも知らずに、私はそれを受け取った。
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