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天使の笑顔、悪魔の所業
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「光彦さん…私って、きっと世界一の幸せ者ね…」
俺の腕の中で、瞳がそんなことを呟いた。
「それは違うな。」
「あら、どうして?」
「……だって、世界一の幸せ者は俺だもん。」
「まぁ!光彦さんったら…!」
ゆっくりと唇を重ね、俺は心の中で中岡に話し掛ける。
『どうだ、悔しいか?
自分の女を俺に取られて……
いや、女だけじゃない。
おまえのものは俺が全部いただいた…!』
「……光彦さん、どうかしたの?」
「おまえとこうしていれば、こんな顔になるのも当然だろ?」
瞳はうっとりしたような眼差しで俺をみつめる。
*
(くそっ!なんであいつが…!)
昔から俺は同期の中岡のことが大嫌いだった。
育ちの良さを感じさせる優雅で穏やかな所作、そのくせ、頭が良く仕事の手際はものすごく良い。
誰からも自然と好かれるあいつにだけは負けたくないと、俺は死にもの狂いで働いた。
なのに、今回のプロジェクトのチーフには中岡が選ばれ、俺はそのメンバーにさえ入れなかった!
そんな頃、あいつの父親が亡くなった。
良い気味だと思いながら、悲しみに暮れる奴の顔を見に行った俺は面食らった。
奴の屋敷は、都会のど真ん中に建つ、信じられない程の豪邸だった。
雨漏りのするぼろ家で育った俺の心には、さらに深い憎しみが生まれた。
父親のことで気持ちが混乱して奴の仕事が失敗すれば良い…
病気にでもなれば良い…
俺は毎日そんなことを考えていたが、仕事は大成功をおさめ、奴は昇進した。
それだけじゃない。
それからしばらくして、奴が結婚するという噂を耳にした。
(なぜだ?なぜ、あいつだけ幸せになるんだ?
奴は生まれつき、なんでも持っている。
それなのに、まだ幸せになろうというのか!)
どうにもたまらない気持ちになった。
俺は、結婚式の前日に見にいくと、一生幸せになれる夜景というものをでっちあげ、中岡達をおびき寄せた。
(許すもんか!これ以上、あいつを幸せにさせてたまるか!)
*
人を殺すのは、意外な程、簡単なことだった。
ただ、女が生き残ったことは誤算だったが、それが却って幸いした。
女は記憶をなくしていて、医者の話ではおそらく一生それは戻らないとのことだった。
俺は中岡の女に近付き、かいがいしく面倒をみて、女の心を掴んだ。
女は籍を入れていたため、中岡の資産までもが俺のものになった。
俺はツイてる。
あいつのものを全部手に入れることが出来た。
奴の残した資産のおかげで誰もが羨むような豪邸に住み、奴の手がけていた仕事を引き継いだ。
器量良しの妻は俺にぞっこんだし、子供も出来た。
中岡の悔しそうな顔が目に浮かび、俺は思わず笑みを漏らした。
(俺はこれからももっと上りつめてやる!
おまえを苦しめてやるためにな!)
俺の腕の中で、瞳がそんなことを呟いた。
「それは違うな。」
「あら、どうして?」
「……だって、世界一の幸せ者は俺だもん。」
「まぁ!光彦さんったら…!」
ゆっくりと唇を重ね、俺は心の中で中岡に話し掛ける。
『どうだ、悔しいか?
自分の女を俺に取られて……
いや、女だけじゃない。
おまえのものは俺が全部いただいた…!』
「……光彦さん、どうかしたの?」
「おまえとこうしていれば、こんな顔になるのも当然だろ?」
瞳はうっとりしたような眼差しで俺をみつめる。
*
(くそっ!なんであいつが…!)
昔から俺は同期の中岡のことが大嫌いだった。
育ちの良さを感じさせる優雅で穏やかな所作、そのくせ、頭が良く仕事の手際はものすごく良い。
誰からも自然と好かれるあいつにだけは負けたくないと、俺は死にもの狂いで働いた。
なのに、今回のプロジェクトのチーフには中岡が選ばれ、俺はそのメンバーにさえ入れなかった!
そんな頃、あいつの父親が亡くなった。
良い気味だと思いながら、悲しみに暮れる奴の顔を見に行った俺は面食らった。
奴の屋敷は、都会のど真ん中に建つ、信じられない程の豪邸だった。
雨漏りのするぼろ家で育った俺の心には、さらに深い憎しみが生まれた。
父親のことで気持ちが混乱して奴の仕事が失敗すれば良い…
病気にでもなれば良い…
俺は毎日そんなことを考えていたが、仕事は大成功をおさめ、奴は昇進した。
それだけじゃない。
それからしばらくして、奴が結婚するという噂を耳にした。
(なぜだ?なぜ、あいつだけ幸せになるんだ?
奴は生まれつき、なんでも持っている。
それなのに、まだ幸せになろうというのか!)
どうにもたまらない気持ちになった。
俺は、結婚式の前日に見にいくと、一生幸せになれる夜景というものをでっちあげ、中岡達をおびき寄せた。
(許すもんか!これ以上、あいつを幸せにさせてたまるか!)
*
人を殺すのは、意外な程、簡単なことだった。
ただ、女が生き残ったことは誤算だったが、それが却って幸いした。
女は記憶をなくしていて、医者の話ではおそらく一生それは戻らないとのことだった。
俺は中岡の女に近付き、かいがいしく面倒をみて、女の心を掴んだ。
女は籍を入れていたため、中岡の資産までもが俺のものになった。
俺はツイてる。
あいつのものを全部手に入れることが出来た。
奴の残した資産のおかげで誰もが羨むような豪邸に住み、奴の手がけていた仕事を引き継いだ。
器量良しの妻は俺にぞっこんだし、子供も出来た。
中岡の悔しそうな顔が目に浮かび、俺は思わず笑みを漏らした。
(俺はこれからももっと上りつめてやる!
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