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満天の空に君の声が響いてもいいような綺麗な夜
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(本当に綺麗だ……
君はどの星なんだろう……)
僕の実家も星はよく見えたけど、ここはそれよりももっと凄い。
空一面に、こんなにもあったのかってくらい、星が輝き……その距離も少し近いような気がする。
二年ぶりに働き始めた会社の旅行で、僕はこの場所にやって来た。
皆が寝静まった真夜中に、僕は一人、宿を抜け出して……
(五年の月日がこんなに早いなんてね…)
ユキが亡くなってから、僕はなかなか心の整理がつかなくて……
一時は良くないことばかりを考えてた。
あの日、君に会いに行ったこと…そして、君の想いを知ったことを悔やみ続けた。
会いになんて行かなけりゃ…
君が僕のことを信じてくれてたなんて知らなけりゃ…
これほど辛い想いはしなくて済んだのにって……
それが、自分本意の考えだって気付くのに、何年もかかった。
友達や親戚や近所の人や、君のご家族に支えられ、助けられて、そのうちにやっと気付いたんだ。
本当に辛かったのは…悔しかったのは僕よりも君の方なのに、僕は自分のことしか考えてなかったって……
そう気付くと、自然と気持ちも変わっていった。
……時にはまたあの時に引き戻されて落ちこんで、そしてまた考え直して…
何度そんなことを繰り返しただろう……
でも、そんな繰り返しの中、ようやく僕の心は真実に辿り着いたんだ。
君に会いに行って良かった。
君の想いを知ることが出来て良かった。
君と出会えて良かったって……
まだ前を向いてるとは言えないかもしれないけど、少なくとも君の所に行こうなんて考えることはなくなった。
(だから、ユキ…心配しないで。)
これから先、僕がどんな人生を送っていくのかはわからないけど…
でも、どんな人生だって、君のことは忘れない……
(またいつかここに来るよ。
ここは、君との距離が一番近そうだからね……)
「……え?」
立ち上がり歩きかけた時、なにか聞こえた気がして僕は不意に振り返る。
だけど、耳を澄ませてももう何も聞こえない。
(……きっと、君だね……)
一際輝く星に向かって、僕は小さく手を振った。
君はどの星なんだろう……)
僕の実家も星はよく見えたけど、ここはそれよりももっと凄い。
空一面に、こんなにもあったのかってくらい、星が輝き……その距離も少し近いような気がする。
二年ぶりに働き始めた会社の旅行で、僕はこの場所にやって来た。
皆が寝静まった真夜中に、僕は一人、宿を抜け出して……
(五年の月日がこんなに早いなんてね…)
ユキが亡くなってから、僕はなかなか心の整理がつかなくて……
一時は良くないことばかりを考えてた。
あの日、君に会いに行ったこと…そして、君の想いを知ったことを悔やみ続けた。
会いになんて行かなけりゃ…
君が僕のことを信じてくれてたなんて知らなけりゃ…
これほど辛い想いはしなくて済んだのにって……
それが、自分本意の考えだって気付くのに、何年もかかった。
友達や親戚や近所の人や、君のご家族に支えられ、助けられて、そのうちにやっと気付いたんだ。
本当に辛かったのは…悔しかったのは僕よりも君の方なのに、僕は自分のことしか考えてなかったって……
そう気付くと、自然と気持ちも変わっていった。
……時にはまたあの時に引き戻されて落ちこんで、そしてまた考え直して…
何度そんなことを繰り返しただろう……
でも、そんな繰り返しの中、ようやく僕の心は真実に辿り着いたんだ。
君に会いに行って良かった。
君の想いを知ることが出来て良かった。
君と出会えて良かったって……
まだ前を向いてるとは言えないかもしれないけど、少なくとも君の所に行こうなんて考えることはなくなった。
(だから、ユキ…心配しないで。)
これから先、僕がどんな人生を送っていくのかはわからないけど…
でも、どんな人生だって、君のことは忘れない……
(またいつかここに来るよ。
ここは、君との距離が一番近そうだからね……)
「……え?」
立ち上がり歩きかけた時、なにか聞こえた気がして僕は不意に振り返る。
だけど、耳を澄ませてももう何も聞こえない。
(……きっと、君だね……)
一際輝く星に向かって、僕は小さく手を振った。
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