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不安定
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(あ~あ…
何やってるんだろう、私……)
「なんじゃ、ひかり…
大きな溜め息なんて吐いて…
溜め息を吐いたら…」
「幸せが逃げるって言うんでしょ?
そんなことくらい知ってるよ。
でも……」
「……シュウと何かあったのか?」
おじいさんの言葉に、私はどう返事をしたら良いのか戸惑った。
だって、何かあったって言う程の事は何もないんだもん。
何もないけど……要するに、私の気持ち。
シュウはどこに行っても綺麗な女の子達に取り囲まれるし、友達が誘いに来たらすぐに遊びに行っちゃうし……
「何かあったのなら、わしが力に……」
「……何もないんだ。
ただおじいさんとお茶したかっただけ。
じゃ、そろそろ帰るね。」
私は、おじいさんに手を振って、そのまま家を後にした。
シュウはきっとまだ帰ってないだろう。
(なんで、こんなとこまで来ちゃったんだろう…
馬鹿だな、私……)
もう二度と戻れない自分の世界の事を思い出したら涙が出て来た。
だめ!だめ!しっかりしろ、私!
涙を拭い、私は空を見上げた。
そうだ…きっと、シュウの事、好きすぎるのがいけないんだ。
これからは、なるべくシュウのこと考えないようにしよう。
シュウが私に対して抱いてる気持ちと同じくらい好きでいたらちょうど良いんだ。
(もっと、クールにならないとね……)
*
「おかえり。」
鍵を開けて扉を開けたら、そこにはシュウが立っていた。
「か、帰ってたの?」
「あぁ。
ひかりこそ、どこ行ってたんだ?」
「……おじいさんの所…」
「……ふ~ん。」
私にはそこしか行くとこないこと知ってて……
シュウは本当に意地悪だ。
「わぁ!」
「せっかく早く帰ってきたのに……」
いきなり抱き締められて、私は思わずおかしな声を出してしまった。
「だ、だって、シュウ…一旦、出掛けたらいつもなかなか帰って来ないし……」
「でも、今日は早かった。」
勝手なことを……
でも、私のことをじっとみつめるその目を見たら……
「ご、ごめんね!」
私よ…なぜ、謝るんだ!?
なぜ、こんなにどきどきしてるんだ?
悔しいけど……
シュウの私に対する想いと同じくらい好きになんてなれそうにない。
だって、私はこんなにシュウのことが好きなんだもん……!
「わぁ!なんだ、ひかり……
なんで、よだれなんかたらしてるんだ!?」
心地良い気持ちをぶち壊すように、シュウが私の身体を押し離した。
「え…ええっ!?」
「もしかして、ケーキのにおいを嗅ぎ付けたのか!?」
反射的に頷いた私に、シュウは突然笑い始めた。
「おまえ…警察犬になれるぞ!」
その酷いジョークに、私はただ笑うしかなかった。
何やってるんだろう、私……)
「なんじゃ、ひかり…
大きな溜め息なんて吐いて…
溜め息を吐いたら…」
「幸せが逃げるって言うんでしょ?
そんなことくらい知ってるよ。
でも……」
「……シュウと何かあったのか?」
おじいさんの言葉に、私はどう返事をしたら良いのか戸惑った。
だって、何かあったって言う程の事は何もないんだもん。
何もないけど……要するに、私の気持ち。
シュウはどこに行っても綺麗な女の子達に取り囲まれるし、友達が誘いに来たらすぐに遊びに行っちゃうし……
「何かあったのなら、わしが力に……」
「……何もないんだ。
ただおじいさんとお茶したかっただけ。
じゃ、そろそろ帰るね。」
私は、おじいさんに手を振って、そのまま家を後にした。
シュウはきっとまだ帰ってないだろう。
(なんで、こんなとこまで来ちゃったんだろう…
馬鹿だな、私……)
もう二度と戻れない自分の世界の事を思い出したら涙が出て来た。
だめ!だめ!しっかりしろ、私!
涙を拭い、私は空を見上げた。
そうだ…きっと、シュウの事、好きすぎるのがいけないんだ。
これからは、なるべくシュウのこと考えないようにしよう。
シュウが私に対して抱いてる気持ちと同じくらい好きでいたらちょうど良いんだ。
(もっと、クールにならないとね……)
*
「おかえり。」
鍵を開けて扉を開けたら、そこにはシュウが立っていた。
「か、帰ってたの?」
「あぁ。
ひかりこそ、どこ行ってたんだ?」
「……おじいさんの所…」
「……ふ~ん。」
私にはそこしか行くとこないこと知ってて……
シュウは本当に意地悪だ。
「わぁ!」
「せっかく早く帰ってきたのに……」
いきなり抱き締められて、私は思わずおかしな声を出してしまった。
「だ、だって、シュウ…一旦、出掛けたらいつもなかなか帰って来ないし……」
「でも、今日は早かった。」
勝手なことを……
でも、私のことをじっとみつめるその目を見たら……
「ご、ごめんね!」
私よ…なぜ、謝るんだ!?
なぜ、こんなにどきどきしてるんだ?
悔しいけど……
シュウの私に対する想いと同じくらい好きになんてなれそうにない。
だって、私はこんなにシュウのことが好きなんだもん……!
「わぁ!なんだ、ひかり……
なんで、よだれなんかたらしてるんだ!?」
心地良い気持ちをぶち壊すように、シュウが私の身体を押し離した。
「え…ええっ!?」
「もしかして、ケーキのにおいを嗅ぎ付けたのか!?」
反射的に頷いた私に、シュウは突然笑い始めた。
「おまえ…警察犬になれるぞ!」
その酷いジョークに、私はただ笑うしかなかった。
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