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今年が終わる前に
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*
「なんだかだるいんだ…
少し眠るよ。」
私は彼の食事にちょっとした毒を混ぜて出すようにした。
なぜなら、彼も、弱ればきっと私を必要とするはずだから。
少し焦っていたせいか、私は毒の分量を多くし過ぎたらしく、彼の体調は急激に悪くなった。
だけど、彼はそのことに少しも違和感を感じていないようだった。
私は彼の鈍感さに感謝しながら、毒を盛り続け、やがて、彼は働くことも出来ず一日中寝ているようになった。
「ねぇ…今年ももう終わりなのよ。
早く結婚しましょうよ。
ここにサインしてくれるだけで良いの!」
「……どうしてなんだ?
こんな病人の僕と結婚なんかしたって、何も良いことなんてないぞ。
なのに、君はなぜそんなに僕と結婚したがるんだ?」
「愛してるからに決まってるでしょう。
結婚したら、きっとあなたも元気になるから…」
彼は本当に頑固だった。
私の執拗なプロポーズを、彼はどうしても受け入れず、気がつけばもうクリスマスをも過ぎていた。
今年はあと数日しかない。
私は、苛々した気持ちで、手帳をめくった。
そこには、今年の初めに書いた今年の十の目標が書いてある。
そのうち、9つはすでに叶えた。
赤い丸印がついていないのはひとつだけ。
「結婚する」この目標さえクリア出来れば、すべてが完璧になる。
なのに、この男は……!
殺してしまいたい程の激しい憎しみが沸沸とわきあがる。
だけど、殺してしまっては私の目標が達成出来ない。
私は感情を押し殺して、部屋に戻った。
他にあの男の気を変える方法がなにかないか…私はそんなことを一晩中考え続けた。
*
(どうしてこんなことに……
あと少しだったのに……)
次の日の朝…
彼は布団の中で冷たくなっていた。
私の今年の目標は、ついに叶えられることはなかった……
~fin~
「なんだかだるいんだ…
少し眠るよ。」
私は彼の食事にちょっとした毒を混ぜて出すようにした。
なぜなら、彼も、弱ればきっと私を必要とするはずだから。
少し焦っていたせいか、私は毒の分量を多くし過ぎたらしく、彼の体調は急激に悪くなった。
だけど、彼はそのことに少しも違和感を感じていないようだった。
私は彼の鈍感さに感謝しながら、毒を盛り続け、やがて、彼は働くことも出来ず一日中寝ているようになった。
「ねぇ…今年ももう終わりなのよ。
早く結婚しましょうよ。
ここにサインしてくれるだけで良いの!」
「……どうしてなんだ?
こんな病人の僕と結婚なんかしたって、何も良いことなんてないぞ。
なのに、君はなぜそんなに僕と結婚したがるんだ?」
「愛してるからに決まってるでしょう。
結婚したら、きっとあなたも元気になるから…」
彼は本当に頑固だった。
私の執拗なプロポーズを、彼はどうしても受け入れず、気がつけばもうクリスマスをも過ぎていた。
今年はあと数日しかない。
私は、苛々した気持ちで、手帳をめくった。
そこには、今年の初めに書いた今年の十の目標が書いてある。
そのうち、9つはすでに叶えた。
赤い丸印がついていないのはひとつだけ。
「結婚する」この目標さえクリア出来れば、すべてが完璧になる。
なのに、この男は……!
殺してしまいたい程の激しい憎しみが沸沸とわきあがる。
だけど、殺してしまっては私の目標が達成出来ない。
私は感情を押し殺して、部屋に戻った。
他にあの男の気を変える方法がなにかないか…私はそんなことを一晩中考え続けた。
*
(どうしてこんなことに……
あと少しだったのに……)
次の日の朝…
彼は布団の中で冷たくなっていた。
私の今年の目標は、ついに叶えられることはなかった……
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