134 / 239
今年が終わる前に
1
しおりを挟む
*
(どうしてこんなことに……
あと少しだったのに……)
*
「うん、良いよ。
よろしくね。」
「本当に…!?嬉しい!」
私は、同じ職場の林田に告白し、彼はそれを快く受け入れた。
私は間違っても美人と呼ばれるタイプじゃない。
スタイルだって良くないし、お金持ちでもない。
長所といえば、真面目で几帳面で意思力が強いことだと思うけど、そういうことは女性にとってはあまり評価はされない。
だから、私に出来ることといったら、いつも笑顔でいるとか、人に親切にすることを常に心がけていた。
でも、そんな程度じゃ、彼氏なんて出来ない。
今は、婚活しないと結婚出来ないと言われる時代だ。
行動力と意志力こそが、幸せへの道標なんだ。
今年になって告白したのは実はもう9人目。
今までは全部失敗し、この林田さんでようやくそれが成功した。
それは、もう煩い蝉が泣き始める頃だった。
気持ちは焦っているけれど、やっと最初の関門を突破した喜びにも私は打ち震えていた。
林田とはそれなりにうまく付き合うことが出来た。
正直いって、彼はそれほど格好良くもなければ仕事が出来るわけでもなく、会っていて楽しいということもない。
でも、きっと、私にはそのくらいの人が似合ってる。
高望みは禁物だ。
「ねぇ、そろそろ結婚しましょうよ。」
「け、結婚?
付き合い始めてまだそんなに経ってないじゃないか。」
「でも、職場は一緒だし、お互いのことはそれなりにわかってるはずよ。」
「会社ではそんなに話したこともなかったよ。」
彼は私のプロポーズになかなか良い返事をしなかった。
*
「な、何なんだよ!」
「なにって…一緒に暮らした方が合理的だからよ。」
私は、勝手に彼のマンションに自分の荷物を運び入れ、一緒に暮らし始めた。
彼は文句を言いながらも、私を追い出すようなことはしなかった。
でも、結婚の話になると、決して首を縦には振らない。
(なんとかしなきゃ……)
(どうしてこんなことに……
あと少しだったのに……)
*
「うん、良いよ。
よろしくね。」
「本当に…!?嬉しい!」
私は、同じ職場の林田に告白し、彼はそれを快く受け入れた。
私は間違っても美人と呼ばれるタイプじゃない。
スタイルだって良くないし、お金持ちでもない。
長所といえば、真面目で几帳面で意思力が強いことだと思うけど、そういうことは女性にとってはあまり評価はされない。
だから、私に出来ることといったら、いつも笑顔でいるとか、人に親切にすることを常に心がけていた。
でも、そんな程度じゃ、彼氏なんて出来ない。
今は、婚活しないと結婚出来ないと言われる時代だ。
行動力と意志力こそが、幸せへの道標なんだ。
今年になって告白したのは実はもう9人目。
今までは全部失敗し、この林田さんでようやくそれが成功した。
それは、もう煩い蝉が泣き始める頃だった。
気持ちは焦っているけれど、やっと最初の関門を突破した喜びにも私は打ち震えていた。
林田とはそれなりにうまく付き合うことが出来た。
正直いって、彼はそれほど格好良くもなければ仕事が出来るわけでもなく、会っていて楽しいということもない。
でも、きっと、私にはそのくらいの人が似合ってる。
高望みは禁物だ。
「ねぇ、そろそろ結婚しましょうよ。」
「け、結婚?
付き合い始めてまだそんなに経ってないじゃないか。」
「でも、職場は一緒だし、お互いのことはそれなりにわかってるはずよ。」
「会社ではそんなに話したこともなかったよ。」
彼は私のプロポーズになかなか良い返事をしなかった。
*
「な、何なんだよ!」
「なにって…一緒に暮らした方が合理的だからよ。」
私は、勝手に彼のマンションに自分の荷物を運び入れ、一緒に暮らし始めた。
彼は文句を言いながらも、私を追い出すようなことはしなかった。
でも、結婚の話になると、決して首を縦には振らない。
(なんとかしなきゃ……)
0
あなたにおすすめの小説
Husband's secret (夫の秘密)
設楽理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
【完結】見えてますよ!
ユユ
恋愛
“何故”
私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。
美少女でもなければ醜くもなく。
優秀でもなければ出来損ないでもなく。
高貴でも無ければ下位貴族でもない。
富豪でなければ貧乏でもない。
中の中。
自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。
唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。
そしてあの言葉が聞こえてくる。
見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。
私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。
ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。
★注意★
・閑話にはR18要素を含みます。
読まなくても大丈夫です。
・作り話です。
・合わない方はご退出願います。
・完結しています。
【完結】エレクトラの婚約者
buchi
恋愛
しっかり者だが自己評価低めのエレクトラ。婚約相手は年下の美少年。迷うわー
エレクトラは、平凡な伯爵令嬢。
父の再婚で家に乗り込んできた義母と義姉たちにいいようにあしらわれ、困り果てていた。
そこへ父がエレクトラに縁談を持ち込むが、二歳年下の少年で爵位もなければ金持ちでもない。
エレクトラは悩むが、義母は借金のカタにエレクトラに別な縁談を押し付けてきた。
もう自立するわ!とエレクトラは親友の王弟殿下の娘の侍女になろうと決意を固めるが……
11万字とちょっと長め。
謙虚過ぎる性格のエレクトラと、優しいけど訳アリの高貴な三人の女友達、実は執着強めの天才肌の婚約予定者、扱いに困る義母と義姉が出てきます。暇つぶしにどうぞ。
タグにざまぁが付いていますが、義母や義姉たちが命に別状があったり、とことんひどいことになるザマァではないです。
まあ、そうなるよね〜みたいな因果応報的なざまぁです。
愛想笑いの課長は甘い俺様
吉生伊織
恋愛
社畜と罵られる
坂井 菜緒
×
愛想笑いが得意の俺様課長
堤 将暉
**********
「社畜の坂井さんはこんな仕事もできないのかなぁ~?」
「へぇ、社畜でも反抗心あるんだ」
あることがきっかけで社畜と罵られる日々。
私以外には愛想笑いをするのに、私には厳しい。
そんな課長を避けたいのに甘やかしてくるのはどうして?
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる