1ページ劇場①

ルカ(聖夜月ルカ)

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空の隙間から

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(あ…いた!)


広っぱの真ん中に、空に向かって両手を差し伸ばす女性がいた。



「みちる~!」

「あ…りえ~!」



友人はすぐに私に気付き、大きく手を振りながら、駆け出して…私も同じようにみちるを目指す。



「久し振り~!!」



十年ぶりに会った彼女は、都会的でとても垢抜けて見えた。



「全然変わらないね!」

「みちるも…と、言いたいところだけど、みちるはだいぶ変わったね。」

「……え?」

「すっごく綺麗になった。」

「えぇーっ!またまたぁ…」



本当に綺麗。
元々美人で明るくて、男子からも人気があったけど、やっぱりみちるは綺麗だ。

なのに、そんなみちるより先に私の方が先に結婚するなんて…



「りえ、本当におめでとう!」

「ありがとう。
わざわざこんな所まで来てくれて本当にありがとうね。」

「ううん。私こそありがとう。
こんな機会でもないと、なかなか帰ってこられないから。
……やっぱり、ここは良いね。」

そう言って、みちるはまた空を見上げた。



「あ、そうだ。さっき、またやってたよね、あれ。」

「りえ、覚えてたんだ……」

「そりゃそうでしょ。」

りえは、子供の頃からよくあのポーズをやっていたから。
そして、それが何なのかを聞いても、ただ、「ナイショ」って言って笑うだけだった。



「あれね……」

「え?」

「あれ…お母さんが教えてくれたおまじないなんだ。」

「おまじない…?」



みちるはそう言って、どこか照れたような笑みを浮かべた。



「悲しい時や辛い時にね、ああやって手を広げて待ってると、空の隙間から天使が愛の欠片を撒いてくれるんだって。」

私はどう答えて良いのかわからずに、ただ曖昧に笑ってみせた。



「愛の欠片には、勇気や元気も混ざってるから、必ず元気になれるって。
……ほら、うち、いろいろあったじゃない。」

「……そうだったんだ。」



みちるのお母さんが亡くなった後は、頻繁にみちるがあの格好をやってたことを思い出した。



(そうか、それで……)



「おじさんの家に行ってからもやってたけど、やっぱりここの方がたくさん降ってくる気がするよ。」

みちるはそう言って、嬉しそうに微笑んだ。



「ねぇ、みちる。
それって誰にでもまいてもらえるの?」

「え?そ、そりゃあ…多分…」

「こうだよね?」

私は今までに何度も見たみちるのポーズの真似をした。



「うん、そうだよ。後は待ってるだけ。」

「そうなんだ。」






次の日、結婚式を終えた私は、神社の前で大きく空に手を伸ばした。
皆が訝しげにしている中、みちるが私と同じように空を見上げた。



「りえ、一杯受け取ってね!」

「うん!」



私達は顔を見合せ、穏やかに微笑んだ。

 
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