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空の隙間から
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(あ…いた!)
広っぱの真ん中に、空に向かって両手を差し伸ばす女性がいた。
「みちる~!」
「あ…りえ~!」
友人はすぐに私に気付き、大きく手を振りながら、駆け出して…私も同じようにみちるを目指す。
「久し振り~!!」
十年ぶりに会った彼女は、都会的でとても垢抜けて見えた。
「全然変わらないね!」
「みちるも…と、言いたいところだけど、みちるはだいぶ変わったね。」
「……え?」
「すっごく綺麗になった。」
「えぇーっ!またまたぁ…」
本当に綺麗。
元々美人で明るくて、男子からも人気があったけど、やっぱりみちるは綺麗だ。
なのに、そんなみちるより先に私の方が先に結婚するなんて…
「りえ、本当におめでとう!」
「ありがとう。
わざわざこんな所まで来てくれて本当にありがとうね。」
「ううん。私こそありがとう。
こんな機会でもないと、なかなか帰ってこられないから。
……やっぱり、ここは良いね。」
そう言って、みちるはまた空を見上げた。
「あ、そうだ。さっき、またやってたよね、あれ。」
「りえ、覚えてたんだ……」
「そりゃそうでしょ。」
りえは、子供の頃からよくあのポーズをやっていたから。
そして、それが何なのかを聞いても、ただ、「ナイショ」って言って笑うだけだった。
「あれね……」
「え?」
「あれ…お母さんが教えてくれたおまじないなんだ。」
「おまじない…?」
みちるはそう言って、どこか照れたような笑みを浮かべた。
「悲しい時や辛い時にね、ああやって手を広げて待ってると、空の隙間から天使が愛の欠片を撒いてくれるんだって。」
私はどう答えて良いのかわからずに、ただ曖昧に笑ってみせた。
「愛の欠片には、勇気や元気も混ざってるから、必ず元気になれるって。
……ほら、うち、いろいろあったじゃない。」
「……そうだったんだ。」
みちるのお母さんが亡くなった後は、頻繁にみちるがあの格好をやってたことを思い出した。
(そうか、それで……)
「おじさんの家に行ってからもやってたけど、やっぱりここの方がたくさん降ってくる気がするよ。」
みちるはそう言って、嬉しそうに微笑んだ。
「ねぇ、みちる。
それって誰にでもまいてもらえるの?」
「え?そ、そりゃあ…多分…」
「こうだよね?」
私は今までに何度も見たみちるのポーズの真似をした。
「うん、そうだよ。後は待ってるだけ。」
「そうなんだ。」
*
次の日、結婚式を終えた私は、神社の前で大きく空に手を伸ばした。
皆が訝しげにしている中、みちるが私と同じように空を見上げた。
「りえ、一杯受け取ってね!」
「うん!」
私達は顔を見合せ、穏やかに微笑んだ。
広っぱの真ん中に、空に向かって両手を差し伸ばす女性がいた。
「みちる~!」
「あ…りえ~!」
友人はすぐに私に気付き、大きく手を振りながら、駆け出して…私も同じようにみちるを目指す。
「久し振り~!!」
十年ぶりに会った彼女は、都会的でとても垢抜けて見えた。
「全然変わらないね!」
「みちるも…と、言いたいところだけど、みちるはだいぶ変わったね。」
「……え?」
「すっごく綺麗になった。」
「えぇーっ!またまたぁ…」
本当に綺麗。
元々美人で明るくて、男子からも人気があったけど、やっぱりみちるは綺麗だ。
なのに、そんなみちるより先に私の方が先に結婚するなんて…
「りえ、本当におめでとう!」
「ありがとう。
わざわざこんな所まで来てくれて本当にありがとうね。」
「ううん。私こそありがとう。
こんな機会でもないと、なかなか帰ってこられないから。
……やっぱり、ここは良いね。」
そう言って、みちるはまた空を見上げた。
「あ、そうだ。さっき、またやってたよね、あれ。」
「りえ、覚えてたんだ……」
「そりゃそうでしょ。」
りえは、子供の頃からよくあのポーズをやっていたから。
そして、それが何なのかを聞いても、ただ、「ナイショ」って言って笑うだけだった。
「あれね……」
「え?」
「あれ…お母さんが教えてくれたおまじないなんだ。」
「おまじない…?」
みちるはそう言って、どこか照れたような笑みを浮かべた。
「悲しい時や辛い時にね、ああやって手を広げて待ってると、空の隙間から天使が愛の欠片を撒いてくれるんだって。」
私はどう答えて良いのかわからずに、ただ曖昧に笑ってみせた。
「愛の欠片には、勇気や元気も混ざってるから、必ず元気になれるって。
……ほら、うち、いろいろあったじゃない。」
「……そうだったんだ。」
みちるのお母さんが亡くなった後は、頻繁にみちるがあの格好をやってたことを思い出した。
(そうか、それで……)
「おじさんの家に行ってからもやってたけど、やっぱりここの方がたくさん降ってくる気がするよ。」
みちるはそう言って、嬉しそうに微笑んだ。
「ねぇ、みちる。
それって誰にでもまいてもらえるの?」
「え?そ、そりゃあ…多分…」
「こうだよね?」
私は今までに何度も見たみちるのポーズの真似をした。
「うん、そうだよ。後は待ってるだけ。」
「そうなんだ。」
*
次の日、結婚式を終えた私は、神社の前で大きく空に手を伸ばした。
皆が訝しげにしている中、みちるが私と同じように空を見上げた。
「りえ、一杯受け取ってね!」
「うん!」
私達は顔を見合せ、穏やかに微笑んだ。
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