238 / 239
また、いつか…
2
しおりを挟む
*
「そんな……」
彼は話してくれた。
あの時、弟さんの借金で大変なことになっていたことを。
たちの悪い金融会社から借りたせいで、借金は膨れ上がり、実家だけではなく彼のところにも激しい取り立てが来ていたことを。
あの時は、私に迷惑をかけたくなくて、わざと酷いことをして離れたのだとわかった。
「本当にすまなかった。
でも、あの時はああするしかなかった。
そうじゃないと、お前に迷惑がかかるから……」
「そんな…正直に話してくれてたら、私だって少しは……」
「おまえならそういうと思ってた。
だから、言えなかったんだ。」
その後、何年もかかってようやく借金のことが解決し、それから彼はすぐに私に連絡をくれたらしい。
だけど、私は住む所も携帯の番号もすべて変えてたからみつからなくて、それでも彼はずっと私を探し続けていたと言った。
その言葉に私の涙は止まらなくなっていた。
「由美…今、幸せなのか?
……結婚は?」
私はゆっくりと首を振った。
「ほ、本当に?
じゃ、じゃあ……俺と結婚してくれるか!?」
「え……?
あなたもまだ結婚してないの?」
「当たり前じゃないか。
俺は…おまえ以外の女と結婚する気はない。」
「……満さん……」
信じられない想いだった。
他に好きな人が出来て、非情にも私を捨てたと思ってた人が、本当はこんなにも私のことを想っててくれたなんて……
(あ、そういえば……)
彼は別れ際に確か「またいつか…」って言った。
別れを切り出したくせにおかしなことを…と思ってた。
私は十年経って、その短い言葉に込められた本当の意味を知った。
「由美…本当に長い間、ごめん。
でも、もう二度と離れることはないから。」
その言葉に、私は深く頷いた。
「そんな……」
彼は話してくれた。
あの時、弟さんの借金で大変なことになっていたことを。
たちの悪い金融会社から借りたせいで、借金は膨れ上がり、実家だけではなく彼のところにも激しい取り立てが来ていたことを。
あの時は、私に迷惑をかけたくなくて、わざと酷いことをして離れたのだとわかった。
「本当にすまなかった。
でも、あの時はああするしかなかった。
そうじゃないと、お前に迷惑がかかるから……」
「そんな…正直に話してくれてたら、私だって少しは……」
「おまえならそういうと思ってた。
だから、言えなかったんだ。」
その後、何年もかかってようやく借金のことが解決し、それから彼はすぐに私に連絡をくれたらしい。
だけど、私は住む所も携帯の番号もすべて変えてたからみつからなくて、それでも彼はずっと私を探し続けていたと言った。
その言葉に私の涙は止まらなくなっていた。
「由美…今、幸せなのか?
……結婚は?」
私はゆっくりと首を振った。
「ほ、本当に?
じゃ、じゃあ……俺と結婚してくれるか!?」
「え……?
あなたもまだ結婚してないの?」
「当たり前じゃないか。
俺は…おまえ以外の女と結婚する気はない。」
「……満さん……」
信じられない想いだった。
他に好きな人が出来て、非情にも私を捨てたと思ってた人が、本当はこんなにも私のことを想っててくれたなんて……
(あ、そういえば……)
彼は別れ際に確か「またいつか…」って言った。
別れを切り出したくせにおかしなことを…と思ってた。
私は十年経って、その短い言葉に込められた本当の意味を知った。
「由美…本当に長い間、ごめん。
でも、もう二度と離れることはないから。」
その言葉に、私は深く頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ガチャから始まる錬金ライフ
あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。
手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。
他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。
どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。
自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。
退屈令嬢のフィクサーな日々
ユウキ
恋愛
完璧と評される公爵令嬢のエレノアは、順風満帆な学園生活を送っていたのだが、自身の婚約者がどこぞの女生徒に夢中で有るなどと、宜しくない噂話を耳にする。
直接関わりがなければと放置していたのだが、ある日件の女生徒と遭遇することになる。
【完結】瑠璃色の薬草師
シマセイ
恋愛
瑠璃色の瞳を持つ公爵夫人アリアドネは、信じていた夫と親友の裏切りによって全てを奪われ、雨の夜に屋敷を追放される。
絶望の淵で彼女が見出したのは、忘れかけていた薬草への深い知識と、薬師としての秘めたる才能だった。
持ち前の気丈さと聡明さで困難を乗り越え、新たな街で薬草師として人々の信頼を得ていくアリアドネ。
しかし、胸に刻まれた裏切りの傷と復讐の誓いは消えない。
これは、偽りの愛に裁きを下し、真実の幸福と自らの手で築き上げる未来を掴むため、一人の女性が力強く再生していく物語。
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
卒業パーティーのその後は
あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。 だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。
そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる