極悪な悪役貴族に転生したが、最弱設定の操作魔法を過剰な努力で極めて作中最強になる~俺を断罪するヒロインを助けたら、全員ヤンデレ化して離れない

青空あかな

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第65話:砦防衛戦②

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「おい、ギルベルト。お前と同じチームになるなんて奇遇じゃねえか」
「クレマン……」

 振り向くと、件のクレマン・サヴォイアがいた。
 そういえば、こいつも同じチームだったな。
 ニタニタと俺を見ては笑う。

「聞いたぜ。学園入学前、ライラ先生に修行をつけてもらったそうだな」
「だったらなんだよ」

 何か面倒な流れの予感がする。
 いちゃもんでもつけられるのだろうか。
 やや警戒心が湧いたところで、クレマンは真面目な顔になった。

「修行でミスったとき、いつもライラ先生に局部を破壊されていたのか?」
「ああ、そうだよ。最初の頃はほぼ毎日な。本当に死ぬかと思ったぞ」

 あの地獄の日々が思い出される。
 今でも局部に余韻が残っているほどだ。
 クレマンは俺の両肩を掴むと、切羽詰まった表情で言った。

「ライラ先生のキンッ…………気持ちいいよな」
「…………は?」

 あまりにも予想外過ぎて、しばし思考が停まった。
 ライラ先生のキンッ! が…………気持ちいい?
 俺が呆然とする間も、クレマンは思い詰めた顔つきで語る。

「最初に食らったときは本当に死ぬほど痛かったが、いつしか快楽に変わったんだ。正直なところ…………毎日されたい。ライラ先生のキンッ! を何度もいただいたお前ならわかってくれるよな」
「いや、お前…………死ぬぞ」

 いきなり何を言い出すんだ。
 どうやら、彼は局部破壊の痛みが気持ちいいらしい。
 …………マジか。
 ものすごい性癖だ。
 たぶん、クレマンは伯爵家の坊ちゃんだから、ライラ先生のキンッ! は刺激が強すぎたらしい。

「俺……あの痛みが忘れられねえんだ……。これが恋ってヤツなのかな…………」

 何言ってんだ、こいつ。
 気持ち悪いので、どこか恍惚としたクレマンから離れる。
 掴まれた部分の肩を拭っていたら、今度はルカが俺の傍に来た。

「あの……ギル師匠。ちょっといいですか? 戦いが始まる前に大事なことを話しておきたいんです」
「……大事なこと?」

 今度はなんだろう。
 ずいぶんと思い詰めた顔だ。
 ルカはしばし黙った後、意を決した表情で告げた。

「実はボク…………女の子なんです」
「えええ!?」
「学園入学前、“ユグファイズ村”で秘薬の〈転換ポーション〉をかぶってしまい、女の子になってしまいました」
「なにぃ!?」

 ルカの衝撃発言を聞き、そのショックで原作ゲームの記憶が蘇った。
 た、たしかに、そんな設定があったような気がする。
 ゲームは学園の入学試験から本番だが、その前にルカの村でのストーリーがちょっとあった。
 村長が怪我をするエピソードがあり、治癒の方法として光魔法か回復ポーションかを選択する。
 ポーションを選ぶとTSするわけだが、特に興味のなかった俺は常に光魔法を選んでいた……。

「……そ、それは大変に難儀だったな。ほ、他の人たちは知っているのか?」
「学園の先生方は知っていますが、混乱を避けるため生徒たちにはまだ教えないことになっています。ですが、ギル師匠だけには知ってほしかったんです。……ボクの気持ちを。ギル師匠を見るたび、ボクは女の子のままでもいいと思う毎日で……」

 ルカはなんかブツブツと何か言っていたが、ショックでよく聞こえない。
 まさか、この世界のルカが女の子だったなんて。
 やたらと可愛いとは思ったが、そういうわけだったのか。
 衝撃も衝撃だが、ふと思うことがあった。
 この場合……。

 ――……ルカはヒロインになるのか?

 主人公かつヒロインという、断罪フラグを考えると極めてまずいキャラになってしまった。
 そもそも、俺を断罪する主役なんだよな。
 今後どう立ち回ればいいんだ~、と頭を抱えていたら、ルカが俺の手をそっと握った。

「……決めました。ボクは自分の気持ちに正直に生きます。ボクはもう、この手を離したくない。ライバルがいくらいても諦めませんから」

 俺の手を握るルカの力が強くなる。
 すべすべした柔らかい手が、俺の手を優しく包み込む。
 一瞬、浮kという単語が頭をよぎるが、すぐに打ち消した。
 大丈夫、これは浮kじゃない。
 だってそうだろう。
 断じて、浮kではない。
 そもそも200m離れているんだ。
 カレンたちに見られたり聞かれたりすることはないから安心しろ、ギルベルト。
 …………いや、別に浮kではないのだが。
 ルカに手を握られていると、チームメンバーが悲鳴に近い声を上げた。

「「た、大変だ、ギルベルト! あれは……あれは…………っ!」」

 終いまで聞かずとも、今どういう状況なのか不思議なほどよくわかった。
 大慌てで回廊の端っこに駆け寄り荒れ地を見る。
 100m近く離れているのに、遠目からでもわかるほど色濃く迸る鬼のような覇気を纏った…………カレンとネリーが襲来した。
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