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第12話:救出
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時は少し遡り、駆けるネオンとブリジット。
混戦にもうじき合流するというとき、狂乱狼の何体かが二人に気づいた。
新手を仕留めようとこちらに走ってくる。
ネオンはその光景を見て、怖じ気づくことなくむしろ加速した。
――これは逆に好都合だ。少しでも僕たちに引きつけて、あの人たちの負担を減らす!
指輪から<神裂きの剣>を取り出しながら、ブリジットに指示を出した。
「ブリジットは避難誘導とその護衛をお願い! 僕が突破口を開く!」
「はい、承知しました!」
ネオンは魔力を集め、剣の刀身が白く輝く。
巨大な槌を振り下ろすように、地面に衝撃波を叩き込んだ。
「〈斬波〉!」
『『ガアアアアッ!』』
剣を振り下ろした瞬間、ネオンに向かってきた狂乱狼たちは一瞬で斬殺された。
激しい衝撃音を聞いてこちらを見た集団に、ネオンとブリジットは叫ぶ。
「みなさん、僕たちは味方です! 助けに来ました!」
「こちらに避難してください!」
「「……!」」
声を聞いた集団は、瞬く間に撤退を開始した。
逃げる彼らをブリジットは魔法で援護し、ネオンはさらに奥へと駆ける。
取り残された女性が三人見えたからだ。
ネオンを妨害するように、二体の狂乱狼が立ちはだかる。
他の個体よりやや大きい。
――きっと、主の補佐的な階級かな……。
ネオンは改めて気を引き締め、剣を握った。
『『ガァウッ!』』
狂乱狼は左右に分かれ、高速で襲いかかる。
突撃猪と違う柔軟な動きだ。
ネオンは無駄に動かず、むしろ重心を安定させた。
「<乱舞>」
『『グァ……ッ!』』
魔力の衝撃波を鞭のようにしならせ、二体の狂乱狼を同時に切り裂く。
ネオンは確かな手応えを感じた。
――空いた時間で訓練している効果が出てる!
<神裂きの剣>を生成してから、新技の開発に夢中の毎日だ。
ブリジットの愛あふれる厳しい指導の成果もあり、今では種々の使い方を習得していた。
ネオンは狂乱狼の死体を飛び越え、取り残された三人の女性に駆け寄る。
黒い個体が目に入ると、心臓が冷たく脈打った。
――あれは……変異種の狂乱狼。
魔物の中には、極稀に変異種と呼ばれる個体が生まれる。
種族としての等級を逸脱するほどの強さを持ち、群れ全体の結束も一段と強固にした。
変異種は強者のオーラを感じ取り、ゆっくりと振り返る。
ネオンもまた、剣を固く握り意識を集中させる。
一瞬の沈黙の後、先に仕掛けたのは変異種だ。
『グゥゥ……ガァウッ!』
通常個体は魔法を使えないが、走りながら何発もの火球を放つ。
――さすがは変異種ということか。
ネオンは避けることなく、最短距離でひたすらに駆ける。
――どんな等級の魔法でも、この剣なら斬れる!
握り締めた力をわずかに抜き、水が流れるように緩やかに剣を振るった。
「<火球斬り>!」
ネオンの正面に迫った火球は二つに切られ、魔力を失い消滅する。
変位種の顔にわずかに動揺が生まれたが、次の瞬間には全身に激しい火焔を纏った。
触れただけで重度の火傷をもたらす技であり、変異種はこの技で自分より格上の個体にも勝ってきた。
魔力の密度はかなり濃いが、ネオンは真正面から剣を振り下ろす。
――いくら炎が激しくても、神話級ほどじゃない!
「<絶撃閃>!」
『カッ……!』
変異種は真っ二つに切り裂かれ、力なく絶命した。
助けられた三人の女性リーダーはその剣術と、何よりネオンの持つ剣、そして指輪に目を奪われる。
(子どもなのに剣がうますぎじゃねえか……というより、なんだよ、あの剣と指輪……)
(途方もないオーラを感じるね……。彼はかなりの大物と予想した)
(我が国が誇る国宝と同じかそれ以上の波動を感じます……いったい何者なんでしょうか)
熱烈な視線を集めていることなど露ほども知らず、ネオンは剣を腰に提げる。
ホッとひと息ついたところで、ちょうどブリジットが合流した。
混戦にもうじき合流するというとき、狂乱狼の何体かが二人に気づいた。
新手を仕留めようとこちらに走ってくる。
ネオンはその光景を見て、怖じ気づくことなくむしろ加速した。
――これは逆に好都合だ。少しでも僕たちに引きつけて、あの人たちの負担を減らす!
指輪から<神裂きの剣>を取り出しながら、ブリジットに指示を出した。
「ブリジットは避難誘導とその護衛をお願い! 僕が突破口を開く!」
「はい、承知しました!」
ネオンは魔力を集め、剣の刀身が白く輝く。
巨大な槌を振り下ろすように、地面に衝撃波を叩き込んだ。
「〈斬波〉!」
『『ガアアアアッ!』』
剣を振り下ろした瞬間、ネオンに向かってきた狂乱狼たちは一瞬で斬殺された。
激しい衝撃音を聞いてこちらを見た集団に、ネオンとブリジットは叫ぶ。
「みなさん、僕たちは味方です! 助けに来ました!」
「こちらに避難してください!」
「「……!」」
声を聞いた集団は、瞬く間に撤退を開始した。
逃げる彼らをブリジットは魔法で援護し、ネオンはさらに奥へと駆ける。
取り残された女性が三人見えたからだ。
ネオンを妨害するように、二体の狂乱狼が立ちはだかる。
他の個体よりやや大きい。
――きっと、主の補佐的な階級かな……。
ネオンは改めて気を引き締め、剣を握った。
『『ガァウッ!』』
狂乱狼は左右に分かれ、高速で襲いかかる。
突撃猪と違う柔軟な動きだ。
ネオンは無駄に動かず、むしろ重心を安定させた。
「<乱舞>」
『『グァ……ッ!』』
魔力の衝撃波を鞭のようにしならせ、二体の狂乱狼を同時に切り裂く。
ネオンは確かな手応えを感じた。
――空いた時間で訓練している効果が出てる!
<神裂きの剣>を生成してから、新技の開発に夢中の毎日だ。
ブリジットの愛あふれる厳しい指導の成果もあり、今では種々の使い方を習得していた。
ネオンは狂乱狼の死体を飛び越え、取り残された三人の女性に駆け寄る。
黒い個体が目に入ると、心臓が冷たく脈打った。
――あれは……変異種の狂乱狼。
魔物の中には、極稀に変異種と呼ばれる個体が生まれる。
種族としての等級を逸脱するほどの強さを持ち、群れ全体の結束も一段と強固にした。
変異種は強者のオーラを感じ取り、ゆっくりと振り返る。
ネオンもまた、剣を固く握り意識を集中させる。
一瞬の沈黙の後、先に仕掛けたのは変異種だ。
『グゥゥ……ガァウッ!』
通常個体は魔法を使えないが、走りながら何発もの火球を放つ。
――さすがは変異種ということか。
ネオンは避けることなく、最短距離でひたすらに駆ける。
――どんな等級の魔法でも、この剣なら斬れる!
握り締めた力をわずかに抜き、水が流れるように緩やかに剣を振るった。
「<火球斬り>!」
ネオンの正面に迫った火球は二つに切られ、魔力を失い消滅する。
変位種の顔にわずかに動揺が生まれたが、次の瞬間には全身に激しい火焔を纏った。
触れただけで重度の火傷をもたらす技であり、変異種はこの技で自分より格上の個体にも勝ってきた。
魔力の密度はかなり濃いが、ネオンは真正面から剣を振り下ろす。
――いくら炎が激しくても、神話級ほどじゃない!
「<絶撃閃>!」
『カッ……!』
変異種は真っ二つに切り裂かれ、力なく絶命した。
助けられた三人の女性リーダーはその剣術と、何よりネオンの持つ剣、そして指輪に目を奪われる。
(子どもなのに剣がうますぎじゃねえか……というより、なんだよ、あの剣と指輪……)
(途方もないオーラを感じるね……。彼はかなりの大物と予想した)
(我が国が誇る国宝と同じかそれ以上の波動を感じます……いったい何者なんでしょうか)
熱烈な視線を集めていることなど露ほども知らず、ネオンは剣を腰に提げる。
ホッとひと息ついたところで、ちょうどブリジットが合流した。
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