弱国の転生王子は三大強国間の飛び地を神器生成スキルで世界最強領地にする~目立ちたくないのに、実は領民は強国のスパイで僕の活躍を国に報告してた

青空あかな

文字の大きさ
12 / 115

第12話:救出

しおりを挟む
 時は少し遡り、駆けるネオンとブリジット。
 混戦にもうじき合流するというとき、狂乱狼の何体かが二人に気づいた。
 新手を仕留めようとこちらに走ってくる。
 ネオンはその光景を見て、怖じ気づくことなくむしろ加速した。

 ――これは逆に好都合だ。少しでも僕たちに引きつけて、あの人たちの負担を減らす!

 指輪から<神裂きの剣>を取り出しながら、ブリジットに指示を出した。

「ブリジットは避難誘導とその護衛をお願い! 僕が突破口を開く!」
「はい、承知しました!」

 ネオンは魔力を集め、剣の刀身が白く輝く。
 巨大な槌を振り下ろすように、地面に衝撃波を叩き込んだ。

「〈斬波〉!」
『『ガアアアアッ!』』

 剣を振り下ろした瞬間、ネオンに向かってきた狂乱狼たちは一瞬で斬殺された。
 激しい衝撃音を聞いてこちらを見た集団に、ネオンとブリジットは叫ぶ。

「みなさん、僕たちは味方です! 助けに来ました!」
「こちらに避難してください!」
「「……!」」

 声を聞いた集団は、瞬く間に撤退を開始した。
 逃げる彼らをブリジットは魔法で援護し、ネオンはさらに奥へと駆ける。
 取り残された女性が三人見えたからだ。
 ネオンを妨害するように、二体の狂乱狼が立ちはだかる。
 他の個体よりやや大きい。

 ――きっと、主の補佐的な階級かな……。

 ネオンは改めて気を引き締め、剣を握った。

『『ガァウッ!』』

 狂乱狼は左右に分かれ、高速で襲いかかる。
 突撃猪と違う柔軟な動きだ。
 ネオンは無駄に動かず、むしろ重心を安定させた。

「<乱舞>」
『『グァ……ッ!』』

 魔力の衝撃波を鞭のようにしならせ、二体の狂乱狼を同時に切り裂く。
 ネオンは確かな手応えを感じた。
  
 ――空いた時間で訓練している効果が出てる!

<神裂きの剣>を生成してから、新技の開発に夢中の毎日だ。
 ブリジットの愛あふれる厳しい指導の成果もあり、今では種々の使い方を習得していた。
 ネオンは狂乱狼の死体を飛び越え、取り残された三人の女性に駆け寄る。
 黒い個体が目に入ると、心臓が冷たく脈打った。

 ――あれは……変異種の狂乱狼。

 魔物の中には、極稀に変異種と呼ばれる個体が生まれる。
 種族としての等級を逸脱するほどの強さを持ち、群れ全体の結束も一段と強固にした。
 変異種は強者のオーラを感じ取り、ゆっくりと振り返る。
 ネオンもまた、剣を固く握り意識を集中させる。
 一瞬の沈黙の後、先に仕掛けたのは変異種だ。

『グゥゥ……ガァウッ!』

 通常個体は魔法を使えないが、走りながら何発もの火球を放つ。

 ――さすがは変異種ということか。

 ネオンは避けることなく、最短距離でひたすらに駆ける。
 
 ――どんな等級の魔法でも、この剣なら斬れる!

 握り締めた力をわずかに抜き、水が流れるように緩やかに剣を振るった。

「<火球斬り>!」

 ネオンの正面に迫った火球は二つに切られ、魔力を失い消滅する。
 変位種の顔にわずかに動揺が生まれたが、次の瞬間には全身に激しい火焔を纏った。
 触れただけで重度の火傷をもたらす技であり、変異種はこの技で自分より格上の個体にも勝ってきた。
 魔力の密度はかなり濃いが、ネオンは真正面から剣を振り下ろす。

 ――いくら炎が激しくても、神話級ほどじゃない!

「<絶撃閃>!」
『カッ……!』
 
 変異種は真っ二つに切り裂かれ、力なく絶命した。
 助けられた三人の女性リーダーはその剣術と、何よりネオンの持つ剣、そして指輪に目を奪われる。

(子どもなのに剣がうますぎじゃねえか……というより、なんだよ、あの剣と指輪……)
(途方もないオーラを感じるね……。彼はかなりの大物と予想した)
(我が国が誇る国宝と同じかそれ以上の波動を感じます……いったい何者なんでしょうか)

 熱烈な視線を集めていることなど露ほども知らず、ネオンは剣を腰に提げる。
 ホッとひと息ついたところで、ちょうどブリジットが合流した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
戦国時代に転生した先は、豊臣秀吉の弟にして名宰相――豊臣秀長の息子だった。 現代では中世近世史を研究する大学講師。 史実では、秀長は早逝し、豊臣政権は崩壊、徳川の時代と鎖国が訪れる。 ならば変える。 剣でも戦でもない。 政治と制度、国家設計によって。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川の台頭を防ぎ、 戦国の終わりを「戦勝」ではなく「国家の完成」にする。 これは、武将ではなく制度設計者として天下を取る男の物語。 戦国転生×内政改革×豊臣政権完成譚。 (2月15日記) 連載をより良い形で続けるため、更新頻度を週5回とさせていただきます。 一話ごとの完成度を高めてお届けしますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (当面、月、水、金、土、日の更新)

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

処理中です...