弱国の転生王子は三大強国間の飛び地を神器生成スキルで世界最強領地にする~目立ちたくないのに、実は領民は強国のスパイで僕の活躍を国に報告してた

青空あかな

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第89話:国王と双子兄、追い詰められる②

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「「ひっ……!」」

 魔神デビルピアの…………頭部だった。
 地獄の業火に晒されたのかと思うほど皮膚はひどく焼け爛れ、真っ二つに切り裂かれている。
 何が起きたのかわからない。
 だが、有無を言わさぬほどの膨大な力で、死に至らされたことだけは明白だった。
 王国の創始者であり、当時の人類最強であった二人の勇者でさえ、封印するだけで精一杯だった破壊の魔神。
 その死体が目の前にある。
 返り討ちに遭って殺されたのだと、静かに物語っていた。
 あまりの衝撃で、アルバティス王も双子兄も言葉が出ない。
 誰も何も話さぬ中、使用人の一人が震える手で文書らしき物を運んできた。
 
「さ、三大超大国の国家元首の方々から……、お、王様と王子様方へのお手紙でございます」

 エセハリウッドなセリフを吐く余裕などなく、アルバティス王は無言で受け取る。
 双子兄と一緒に破くほどの勢いで読むと、徐々に血の気が失せていった。

「と、飛び地で開かれた三大超大国の会議中に……魔神デビルピアが襲来したぁ?」

 目が滑り、胸はざわつき、文書の内容がまったく頭に入らない。
 必死に読み進め、どうにか話を理解する。
 理由は不明だが、"捨てられ飛び地"で三大超大国の国家元首が集まる極めて重要な会議が開かれた。
 それだけでもあり得ないことなのに、魔神デビルピアはネオンによって倒され、四体の使い魔も倒された。
 各国家元首とその娘たちは、自分の命以上にネオンが危険に晒されたことを怒っている……。
 アルバティス王の心中には混乱の渦が巻く。

(ど、どういうことだ? 三大超大国が飛び地で会議? ネオンがデビルピアを倒した? 国家元首たちはネオンが危ない目に遭ったのを怒っている? ……なんでなんでなんで……?)

 下手したら、戦争一歩手前の状況であった。
 デビルピアという最終手段を失った王国に勝ち目はない。
 三国が同盟を結び、王国に攻め入る可能性すら考えられた。
 もし戦争が起きて捕まったら、戦争犯罪者として処刑されるのは間違いないだろう……。
 緊張と焦りと不安と恐怖とで喉はカラカラに渇き、心臓は破裂しそうなほどに鼓動する。

(どうすればいい、どうすればいい、どうすればいい……)

 ただ念じることしかできないでいると、アルバティス王は不意に解決策を思いついた。

「我が輩たちは今すぐ亡命する! 直ちに準備を開始しろ! 宝物庫の財宝を全て馬車に……!」
「「わ、私どもはこれにてお暇をいただきますっ」」
「な、なに? いきなり何を言い出すのだ! 一方的な退職など認めるわけないだろう!」

 止める間もなく、使用人たちは転びそうな勢いで"王の間"から走り去った。
 まるで、何かに怯えているかのように……。
 使用人が消えた"王の間"は、やけに重い静寂に包まれる。
 ここにいるのは、デビルピアの無残な死骸と自分たちだけ。
 太陽の向きの関係か、"王の間"と外を繋ぐ扉の奥は漆黒の闇に包まれている。
 怪物が潜んでいそうな雰囲気に身が竦んだとき、コツ……という硬い足音が響いて、三人は心臓が跳ね上がった。
 たまらず、アルバティス王が叫ぶ。

「だ、誰だっ! 何者だっ! 出てこい!」

 クスッという小さく控えめな笑い声が聞こえたと思ったとき。
 漆黒の闇からは、金髪碧眼の中性的な顔をした男が現れた。
 彼の姿を見て、アルバティス王も双子兄も絶句する。
 使用人が怯えていたのは三大超大国からの手紙以上に、帰国したこの人物に対してだった。 男が"王の間に"入った瞬間、肌がひやりと冷たくなる。
 室内の温度は下がっていないが、確かに全身がぞわりと寒くなったのだ。
 玉座の前で震える三人に、男はにこやかな微笑みを向ける。

「お久しぶりです、父上、ミカエルにエドワード。少し見ない間に、この国はずいぶんと面白いことになっているようですね。ふふっ…………何をやっているのですか、あなたたちは」

 アルバティス王国第一王子、ニコラスが帰国した。
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