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第三章 クズ共は特別任務へ
第44話
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「ちょっと邪魔するわよ!」
斧研の羽交い絞めを振りほどき、奏がガバッと扉を全開にした。
「おいバカ女!人んち靴で入るな!アメリカ育ちか!」
「あら失礼。私もゴミ箱での暮らしに慣れてしまったのかしら?」
奏は玄関に戻り、学校指定の運動靴を乱雑に脱ぎ捨てた。
「ちょっと、マジなんなの?」
「ごめんなさい果歩さん!少しの時間だけお邪魔します!」
亜紀の言葉を皮切りにして、斧研と黒水も勝手に果歩の部屋に入っていった。
部屋の中には、ベッドと勉強机、あとは生活に必要な電化製品がちらほら――。
整理整頓が完璧になされているが、女子の部屋とは思えない無機質さが感じられる。
唯一、ベッドの上にある年季の入ったクマのぬいぐるみが女子らしさの象徴として寂しく置いてある。
「容疑者さーん!ちょっとここに座ってもらえるかしらあ?」
人のベッドを遠慮なくバンバン叩く奏。
「オレンジが四人も集まって何の用ですか……?」
怪訝な顔をしていた果歩だったが、奏の指示に従い自分のベッドに座る。
そして、彼女を四人の囚人が囲んでいるという状況――。
果歩の額に冷や汗が出ているのが見て取れる。
「さあ、洗いざらい吐いてもらおうじゃない!」
「はやいはやい判断はやい!さっきから思ってたけどこの子まだ容疑者じゃないからね!?」
「そんなのは私にとってはどうでもいいのよ!もしこの女が犯人じゃなかったとしても私が犯人に仕立て上げるわ!貢献ポイントはいただきよ!」
「ほんとクズ女だな。ここまでくると若干引くわ……」
高笑いする奏に、亜紀以外がドン引きしていた。
果歩はわかりやすく肩をブルブル震わせていた。
「さっきから何なんですか?もう怖いです、帰ってください……」
「うちらは学校に流れている黒い噂の調査でここに来たんだよ。何か知ってるかなって思って」
「黒い噂、ですか?よくわからないですね……」
「テリスの能力を強化させる違法アプリを流しているやつがいるらしいんだよ。結構この学校に出回ってるって話だぞ……」
「へ、へえ……。そうなんですね」
果歩は誰にも目を合わせず、俯きながら目をキョロキョロさせていた。
「その反応……、やっぱ何か知ってるだろ?」
「ヒイッ――!」
ポキリ、と指の骨を鳴らす斧研に怯えた声を漏らす果歩。
斧研は入学初日の<身体能力向上>がなされる前に、男三人を半殺しにしたことで校内ではそこそこ有名人になっている。
果歩もそのことを知っていることだろう。
「斧研様!いくら模範的なクズだろうと、女の子に暴力はいけませんよ!」
「大丈夫だよアッキー。ちょっとかわいがるだけだから」
「――クズ共!ここは私に任せて頂戴!」
前に出ていた斧研と亜紀を、奏は制止するように腕を彼女らの前に置く。
「容疑者さん、ここにいる男が見えるかしら?」
「は、はい……。一応……」
「この男は入学式に向かう電車の中でこの巨乳女のケツを大胆に揉んでゴミ箱に投獄され、その後もこのヤンキー女の貧乳をたっぷりなでなでした!いわば性欲を具現化した化け物!万物における性欲の象徴ともいえる存在よ!」
「言い過ぎだろ……」
「貧乳だとコラ……」
「黒水様クズ過ぎ素敵……」
様々な感情が無機質な部屋に渦巻いていた。
「挙句の果てには、男子禁制の女子寮に平気な顔でズカズカと入る始末――」
「俺入る前にちゃんと躊躇したよねっ!?」
奏は黒水のツッコミを無視して話を続ける。
「もしっ!知っていることを黙秘するんだとしたらっ!この男とこの部屋で半日過ごしてもらうことになるわ!もはや性欲を知ったオランウータンが檻から放たれたも同然っ!あんたの着ているそのきれいな青いテリスも汚されるのは確実でしょうねっ!」
「何言ってんだよさっきから!こんな戯言で何か話す気になるわけ――」
「すみませんっ!知っていること、全部話しますっ!だから半日オランウータンだけはっ――!」
「ええええええっ!?」
果歩は、もうすでに身を穢されたかのような勢いで号泣していた。
「だから言ったじゃない?こういうときにはあんたみたいなゴミ男が役に立つのよ!オーホッホッホ!」
奏はドヤ顔を見せた後、いつものように口元に手を添えて高笑いした。
一方、黒水は全然泣き止まない果歩の姿を見て、ただただショックを受けていた。
「俺って、そんなにきもいのか……?」
斧研の羽交い絞めを振りほどき、奏がガバッと扉を全開にした。
「おいバカ女!人んち靴で入るな!アメリカ育ちか!」
「あら失礼。私もゴミ箱での暮らしに慣れてしまったのかしら?」
奏は玄関に戻り、学校指定の運動靴を乱雑に脱ぎ捨てた。
「ちょっと、マジなんなの?」
「ごめんなさい果歩さん!少しの時間だけお邪魔します!」
亜紀の言葉を皮切りにして、斧研と黒水も勝手に果歩の部屋に入っていった。
部屋の中には、ベッドと勉強机、あとは生活に必要な電化製品がちらほら――。
整理整頓が完璧になされているが、女子の部屋とは思えない無機質さが感じられる。
唯一、ベッドの上にある年季の入ったクマのぬいぐるみが女子らしさの象徴として寂しく置いてある。
「容疑者さーん!ちょっとここに座ってもらえるかしらあ?」
人のベッドを遠慮なくバンバン叩く奏。
「オレンジが四人も集まって何の用ですか……?」
怪訝な顔をしていた果歩だったが、奏の指示に従い自分のベッドに座る。
そして、彼女を四人の囚人が囲んでいるという状況――。
果歩の額に冷や汗が出ているのが見て取れる。
「さあ、洗いざらい吐いてもらおうじゃない!」
「はやいはやい判断はやい!さっきから思ってたけどこの子まだ容疑者じゃないからね!?」
「そんなのは私にとってはどうでもいいのよ!もしこの女が犯人じゃなかったとしても私が犯人に仕立て上げるわ!貢献ポイントはいただきよ!」
「ほんとクズ女だな。ここまでくると若干引くわ……」
高笑いする奏に、亜紀以外がドン引きしていた。
果歩はわかりやすく肩をブルブル震わせていた。
「さっきから何なんですか?もう怖いです、帰ってください……」
「うちらは学校に流れている黒い噂の調査でここに来たんだよ。何か知ってるかなって思って」
「黒い噂、ですか?よくわからないですね……」
「テリスの能力を強化させる違法アプリを流しているやつがいるらしいんだよ。結構この学校に出回ってるって話だぞ……」
「へ、へえ……。そうなんですね」
果歩は誰にも目を合わせず、俯きながら目をキョロキョロさせていた。
「その反応……、やっぱ何か知ってるだろ?」
「ヒイッ――!」
ポキリ、と指の骨を鳴らす斧研に怯えた声を漏らす果歩。
斧研は入学初日の<身体能力向上>がなされる前に、男三人を半殺しにしたことで校内ではそこそこ有名人になっている。
果歩もそのことを知っていることだろう。
「斧研様!いくら模範的なクズだろうと、女の子に暴力はいけませんよ!」
「大丈夫だよアッキー。ちょっとかわいがるだけだから」
「――クズ共!ここは私に任せて頂戴!」
前に出ていた斧研と亜紀を、奏は制止するように腕を彼女らの前に置く。
「容疑者さん、ここにいる男が見えるかしら?」
「は、はい……。一応……」
「この男は入学式に向かう電車の中でこの巨乳女のケツを大胆に揉んでゴミ箱に投獄され、その後もこのヤンキー女の貧乳をたっぷりなでなでした!いわば性欲を具現化した化け物!万物における性欲の象徴ともいえる存在よ!」
「言い過ぎだろ……」
「貧乳だとコラ……」
「黒水様クズ過ぎ素敵……」
様々な感情が無機質な部屋に渦巻いていた。
「挙句の果てには、男子禁制の女子寮に平気な顔でズカズカと入る始末――」
「俺入る前にちゃんと躊躇したよねっ!?」
奏は黒水のツッコミを無視して話を続ける。
「もしっ!知っていることを黙秘するんだとしたらっ!この男とこの部屋で半日過ごしてもらうことになるわ!もはや性欲を知ったオランウータンが檻から放たれたも同然っ!あんたの着ているそのきれいな青いテリスも汚されるのは確実でしょうねっ!」
「何言ってんだよさっきから!こんな戯言で何か話す気になるわけ――」
「すみませんっ!知っていること、全部話しますっ!だから半日オランウータンだけはっ――!」
「ええええええっ!?」
果歩は、もうすでに身を穢されたかのような勢いで号泣していた。
「だから言ったじゃない?こういうときにはあんたみたいなゴミ男が役に立つのよ!オーホッホッホ!」
奏はドヤ顔を見せた後、いつものように口元に手を添えて高笑いした。
一方、黒水は全然泣き止まない果歩の姿を見て、ただただショックを受けていた。
「俺って、そんなにきもいのか……?」
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