クズはゴミ箱へ

天方主

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第三章 クズ共は特別任務へ

第46話

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「ここがヤンキー男の来る公園ね!そろそろ時間だから裏で待ち伏せておきましょう!」



 果歩から状況を聞いてから、黒水たちは一旦事情を風紀委員に話し、今は果歩に違法アプリを布教した男が現れる公園の柵の裏でしゃがんでいる。



 その男を捕まえて黒い噂に関する情報を手に入れるためだ。



 一応、果歩には男の足止めのために公園のど真ん中で待機してもらっている。



 相変わらず果歩の体全体はびくびくと震えており、見ているこっちが心配になるほどだ。



「おっ!あれじゃないですか?」



 亜紀が控えめに指をさす。



 見ると、風を切って歩くつり目の男の姿があった。



 青いボディスーツを着ていても、剃りこみと目つきでヤンキーであることが伝わってきた。



 加えて、チッチッチッと高速な舌打ちの音が聞こえてくる。



「よお久しぶりだなあ、万引き娘ぇ!布教した証拠は持ってきただろうなあ?」



「ぁの……」



「チッ!聞こえねーよ!」



「すみませんっ!……あのまだ――」



「チッ!まだしてねーっていうのか?ああ!?」



「すみませんすみませんっ!」



「防犯カメラがなかったらお前のことぶん殴ってたぞ!まあ仕方ねえ。あの写真は風紀委員共のところに送るとするか」



「今から直ちに布教いたします!だからどうかあの写真だけは――」



「チッ!もう遅せーんだよ!」



 ヤンキー男の怒号が公園中に響き渡っていた。



 果歩は耐えきれず、ボロボロと涙をこぼしている。



「こりゃ見てらんねーな……。おい、そろそろ俺たち出てきたほうがいいんじゃねーか?」



「いいえ、まだよ。ここで下手に出ても男が何も言わず情報を手に入れられない可能性があるわ。何か弱みを掴まないとね」



「なるほどな」



 さすが、口のうまいクズ女の言葉には説得力がある。



「あれ?斧研様はどこですか?さっきまで隣にいたんですけど……」



「ここにいないって、まさか――!?」



 公園のほうに目線を向きなおすと、案の定斧研が男の目の前に仁王立ちしていた。



「チッ!何者だお前?こっちは大事な話してんだ。あっち行ってろ!」



「男が女にグチグチ言うもんじゃねーぞ?さっきから見ててイライラすんだよ……」



「チッ!――てか、お前オレンジじゃねーか。そうかそうか……」



 男は斧研を舐めまわすように見た後――。



「じゃあぶん殴っても文句ねーよなあ!ゴミ女あ!」



 男はそう叫びながら、大きな拳を斧研につきつけた。



「よっと――」



 斧研はその拳を、一回り小さな手で軽く受け止めた。



 そして――。



「おらあ!」



「ぐへえ――!!!」



 斧研のカウンターパンチが見事、男の顎にクリーンヒットし、一発で男は後頭部から倒れてしまった。



『斧研美影に対して、重大な違反行為が発見されました。貢献ポイントが-300 pt減少されます』



 斧研の右耳にテリスの冷淡な声が届く。



「あーあ。貢献ポイントが300 ptも減っちまったよ……」



 そう言いながら斧研は首をポキポキと鳴らし、黒水たちのところに戻っていった。



「かっけえ……。さすが半殺し伝説の女はちげえぜ……」



「斧研様あ……。憧れすぎますう……」



 黒水と亜紀は恋する乙女のように胸の前で手を組み、斧研を見つめていた。



 一方、奏はそんな斧研の姿には目もくれず気絶した男の肩を鷲掴みにしてグラグラと揺らしていた。



「はやく起きなさいよっ!全くもう――」



「いててて……。な、なんなんだお前は!?」



 男が頭を押さえながら目を覚ました。



「違法アプリについて何か知ってることを話してもらおうかしら?洗いざらい話せば逃がしてやってもいいのよ?まああんたが黒幕なら話は別だけど……」



「お前みたいなオレンジに話すことは何もねーよ――」



「あら?また顎にさっきのパンチをお見舞いしてほしいのかしら?」



「いや、お前のパンチじゃないから。パンチするかは斧研次第だから」



 奏の言葉に黒水は思わずツッコミを入れてしまう。



 しかし、男にはその言葉が相当効いたようで――。



「全部話す。だから暴力だけは勘弁してくれ……」



 奏のお願いをあっさりと受け入れた。



 そして、男はか細い声で語りだした。



「ダチの紹介で最強になれる違法アプリの存在を知ったんだ。それでダチを経由して違法アプリを布教しているやつと連絡を取り、この公園で待ち合わせた。それからは俺も違法アプリを布教する一員になったってわけだ。まあ、まだそこの万引き娘にしか教えちゃいねーがな。それ以上のことは知らねえ。アプリに関してはよくわからねーし、正直自分が強くなったのかもよくわからねー。これは本当だ、信じてくれ……」



 男は目を瞑り、懇願するように奏に言った。



「ひとまず信じることにするわ。それよりも、ここで会ったやつの特徴を教えなさい!」



「黒いフードを被っていたな……。それと――」



 男は一呼吸おいて――。



「おっぱいが大きかった」



 その言葉を最後に、男は再度気絶するのであった。
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