恋愛フィクサー〜婚約破棄計画〜

梅丸みかん

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第6話 黒の貴婦人

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 約三ヶ月前の事です。

 私は意を決して、馬車で深淵の森に足を踏み入れました。馬車は侯爵家にばれないように貸馬車を利用しました。目的は恋愛フィクサーと呼ばれる漆黒の貴婦人に会うために。

 暫く森の中を進むと黒い霧が現れました。

 馭者は途中まで行くと突然馬車を止め、私に問いかけます。
「お嬢さん、本当にこの先に行くのですか? 霧が大分濃くなって来ましたが」
「問題有りませんわ。このまま進んで頂戴」
 私は馭者になんでもないかのように答えました。

 何故なら、この光景は事前にメリッサに聞いていた通りだったからです。

 暫く行くと錆びた門の前で馬車が止まりました。

 するとその門は自動的に開き敷地内の通路の脇にある外灯が道案内をするかのように手前から順に灯って行きました。

 馬車が止まり、馬車から降りると目の前に石造りの蔦に絡まれた邸があることが分かりました。

 エントランスが自動に開き私を招いているようです。

 邸内に入ると直ぐに執事服を着た銀髪碧眼の若い男性が私の目の前に現れました。執事にしておくのは勿体ないくらい我国の王子様よりも王子らしい見た目です。

 外観は廃墟の様だったのに、室内は荘厳な調度品で溢れています。

「ようこそお出で下さいました。主がお待ちです」
 恭しく頭を下げ挨拶し、すぐに歩き始めたので私は慌ててその後に着いて行きました。

 案内された部屋には黒いシンプルなドレスを着た妖艶な美女が執務机の前に座っていました。

 真っ直ぐに腰まで流れる烏の濡れ羽色の髪はどこまでも艶やかで妖しげな紅い瞳に妖艶に輝く紅い唇。
 人外のように美しい女性に私の目は一瞬釘付けになってしまいました。

「いらっしゃい、リリアンナさん。お待ちしておりましたわ」
 先触れも出していないばかりか初めて会ったというのに名前も私が来る事も分かっていたことに驚きました。

「どうして、私が来ると……? それに私の名前も……」
「クスクスッ。それは水鏡に映っていたからよ。近いうちに必ず来るだろうとは思っていたのよ。私の名前はアメリア。よろしくね」

 笑みを浮かべるアメリア様の妖しげな瞳が揺らめきました。

 水鏡? 何のことか私は瞬時に理解できませんでした。

「あっ、あの……こちらこそよろしくお願いします」
 ハッとして焦ったようにお辞儀をする私。危なく挨拶することさえも忘れてしまいそうになりました。

「早速だけど、貴方の望みは何かしら? メリッサさんを通してだからチラッとしか貴女のことが見えなかったの。こちらに来てこの水鏡に貴女の血を一滴貰っていいかしら?」

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