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第1章 カイト、五歳までの軌跡
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私は、未だにあの瞬間の光景を脳裏から振り払えずにいた。
あの魔石がこの子の手に触れた途端、一気に魔力が流れ込んだぞ。奇跡なのか?……いや、そんな、それだけで説明がつかないぞ、イカルダの女神様の加護なのか?それとも、本当にこの子が稀人なのか?いや、ま、まさかな、馬鹿な。
私は、気づけば周囲の存在など忘れ、思考の渦に沈み込まれてしまう。
このまま、あいつらにこの子を渡していいのだろうか?
「ハーレン団長っ、あのダークウルフの魔石も取って、ねっ、ねっ」
はぁ、くそっ。仕方ないな。
やらせてみるか。
「カイト様!」
ん?なあに?早く、早く魔石取ってみて!
「さっきのベアの魔石、魔力をかなり取られていましたけど、体調は大丈夫ですか?」
ここで死なれたら困るからな。
「うん、平気。それよりもすごいね、凄く綺麗だった。あっという間に黒くなったね。」
いや、それ、普通じゃないから。
そ、れ、に!お前、大丈夫なのか?
何ともないのか?
気分悪くなったりしてないか?
ダークウルフの魔石を取り出す。
これも胸の辺りに魔石になった心臓がある。ダークウルフから取れる魔石は手のひらで握れる子供の拳くらいだ。
胸にナイフを刺し、指を入れて魔石を取り出す。魔石は石になるから硬い。だから、触るとすぐに分かる。
「カイト様、経験しましょう」
「えーっ、怖ーい」
嫌だから、怖ーい。
「怖くないですよ」
「やだー」
はぁ、めんどくさいな。
「カイト様、いつかは学ばなければなりませんよ、それが今です。」
なぜ、私はこんなことをしているんだろう?教えたい気持ちがある。なんだろな。
さっさと終わらせて先を行けばいいものを。
「うーん、気持ち悪いけど、やってみようかな?」
「じゃあ、このダークウルフでやってみましょう」
ボクはハーレン団長に導かれて、先程ボクが横に切り裂いて倒したダークウルフの前に出る。後ろからハーレン団長が指示を出してくれながら、ボクはダークウルフの胸から魔石を探す。
ダークウルフはまだ生温かい。ウッってなりながらもハーレン団長が教えてくれた場所を手探りで探す。ブニョブニョだったり、固かったりする肉をかき分け、1つの硬い塊を探し当てる。
「ハーレン団長、石みたいに硬いのがあるよ、これが魔石?」
「はい、そうだと思います。ナイフで肉を割いて取り出してみてください。はい、そう、上手ですよ。そうそれを取り出してみてください」
気持ち悪くなりながらも取り出してみた。
そしてハーレン団長から手ぬぐいを受け取り、魔石の血を拭き取ってみた。
ボクの手より少し小さく、手を握ると、手にすっぽり納まるくらいのサイズ。
光にかざすとも透明で綺麗な石。
けど、すぐに色付き始めた。
また、ボクの魔力を吸ってるみたい。
ほら、マーブルから、赤!
それ以上染まる前に、ハーレン団長に取り上げられて布袋に入れられちゃった。
「えー、キレイだったのにぃー」
いやいや。またすぐ赤く染まったんだぞ。
有り得ない。魔力がそんなにすぐ吸収されてしまうのも。
魔力をあんなに吸われても平気でいられるこいつも!なんなんだ?化け物か?
信じられないぞ。なんなんだー!!
驚愕する私に、魔石を取り出したことを褒めてほしそうに笑いかけてくるこのガキ!
ねー、ねー、褒めて、ボク、ちゃんと魔石を取り出せたよ。気持ち悪さは必死で我慢して、魔石を取り出すことに集中。
指で感じる肉の感触、さっきまで生きていたと実感しちゃう肉の生温かさ、それを気にしないように、気にしないようにしながら、頑張ったんだよ!?
ハーレン団長、褒めてくれないの?
うっ、褒めて欲しいのか?褒めて欲しいんだな?褒めないぞ。私をその目で見つめないでくれ。だめだ。
「はい、よく出来ました」
更にニカーッって笑うこの子供の無邪気な笑顔に私は戸惑うしか無かった。
そこで私は、そこに留まっていてはいけなかった事を思い出した。
はっ!囲まれてる?失敗した、この場から早く立ち去っていれば!!!
あの魔石がこの子の手に触れた途端、一気に魔力が流れ込んだぞ。奇跡なのか?……いや、そんな、それだけで説明がつかないぞ、イカルダの女神様の加護なのか?それとも、本当にこの子が稀人なのか?いや、ま、まさかな、馬鹿な。
私は、気づけば周囲の存在など忘れ、思考の渦に沈み込まれてしまう。
このまま、あいつらにこの子を渡していいのだろうか?
「ハーレン団長っ、あのダークウルフの魔石も取って、ねっ、ねっ」
はぁ、くそっ。仕方ないな。
やらせてみるか。
「カイト様!」
ん?なあに?早く、早く魔石取ってみて!
「さっきのベアの魔石、魔力をかなり取られていましたけど、体調は大丈夫ですか?」
ここで死なれたら困るからな。
「うん、平気。それよりもすごいね、凄く綺麗だった。あっという間に黒くなったね。」
いや、それ、普通じゃないから。
そ、れ、に!お前、大丈夫なのか?
何ともないのか?
気分悪くなったりしてないか?
ダークウルフの魔石を取り出す。
これも胸の辺りに魔石になった心臓がある。ダークウルフから取れる魔石は手のひらで握れる子供の拳くらいだ。
胸にナイフを刺し、指を入れて魔石を取り出す。魔石は石になるから硬い。だから、触るとすぐに分かる。
「カイト様、経験しましょう」
「えーっ、怖ーい」
嫌だから、怖ーい。
「怖くないですよ」
「やだー」
はぁ、めんどくさいな。
「カイト様、いつかは学ばなければなりませんよ、それが今です。」
なぜ、私はこんなことをしているんだろう?教えたい気持ちがある。なんだろな。
さっさと終わらせて先を行けばいいものを。
「うーん、気持ち悪いけど、やってみようかな?」
「じゃあ、このダークウルフでやってみましょう」
ボクはハーレン団長に導かれて、先程ボクが横に切り裂いて倒したダークウルフの前に出る。後ろからハーレン団長が指示を出してくれながら、ボクはダークウルフの胸から魔石を探す。
ダークウルフはまだ生温かい。ウッってなりながらもハーレン団長が教えてくれた場所を手探りで探す。ブニョブニョだったり、固かったりする肉をかき分け、1つの硬い塊を探し当てる。
「ハーレン団長、石みたいに硬いのがあるよ、これが魔石?」
「はい、そうだと思います。ナイフで肉を割いて取り出してみてください。はい、そう、上手ですよ。そうそれを取り出してみてください」
気持ち悪くなりながらも取り出してみた。
そしてハーレン団長から手ぬぐいを受け取り、魔石の血を拭き取ってみた。
ボクの手より少し小さく、手を握ると、手にすっぽり納まるくらいのサイズ。
光にかざすとも透明で綺麗な石。
けど、すぐに色付き始めた。
また、ボクの魔力を吸ってるみたい。
ほら、マーブルから、赤!
それ以上染まる前に、ハーレン団長に取り上げられて布袋に入れられちゃった。
「えー、キレイだったのにぃー」
いやいや。またすぐ赤く染まったんだぞ。
有り得ない。魔力がそんなにすぐ吸収されてしまうのも。
魔力をあんなに吸われても平気でいられるこいつも!なんなんだ?化け物か?
信じられないぞ。なんなんだー!!
驚愕する私に、魔石を取り出したことを褒めてほしそうに笑いかけてくるこのガキ!
ねー、ねー、褒めて、ボク、ちゃんと魔石を取り出せたよ。気持ち悪さは必死で我慢して、魔石を取り出すことに集中。
指で感じる肉の感触、さっきまで生きていたと実感しちゃう肉の生温かさ、それを気にしないように、気にしないようにしながら、頑張ったんだよ!?
ハーレン団長、褒めてくれないの?
うっ、褒めて欲しいのか?褒めて欲しいんだな?褒めないぞ。私をその目で見つめないでくれ。だめだ。
「はい、よく出来ました」
更にニカーッって笑うこの子供の無邪気な笑顔に私は戸惑うしか無かった。
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