341 / 422
第1章 カイト、五歳までの軌跡
339
しおりを挟む
私は、未だにあの瞬間の光景を脳裏から振り払えずにいた。
あの魔石がこの子の手に触れた途端、一気に魔力が流れ込んだぞ。奇跡なのか?……いや、そんな、それだけで説明がつかないぞ、イカルダの女神様の加護なのか?それとも、本当にこの子が稀人なのか?いや、ま、まさかな、馬鹿な。
私は、気づけば周囲の存在など忘れ、思考の渦に沈み込まれてしまう。
このまま、あいつらにこの子を渡していいのだろうか?
「ハーレン団長っ、あのダークウルフの魔石も取って、ねっ、ねっ」
はぁ、くそっ。仕方ないな。
やらせてみるか。
「カイト様!」
ん?なあに?早く、早く魔石取ってみて!
「さっきのベアの魔石、魔力をかなり取られていましたけど、体調は大丈夫ですか?」
ここで死なれたら困るからな。
「うん、平気。それよりもすごいね、凄く綺麗だった。あっという間に黒くなったね。」
いや、それ、普通じゃないから。
そ、れ、に!お前、大丈夫なのか?
何ともないのか?
気分悪くなったりしてないか?
ダークウルフの魔石を取り出す。
これも胸の辺りに魔石になった心臓がある。ダークウルフから取れる魔石は手のひらで握れる子供の拳くらいだ。
胸にナイフを刺し、指を入れて魔石を取り出す。魔石は石になるから硬い。だから、触るとすぐに分かる。
「カイト様、経験しましょう」
「えーっ、怖ーい」
嫌だから、怖ーい。
「怖くないですよ」
「やだー」
はぁ、めんどくさいな。
「カイト様、いつかは学ばなければなりませんよ、それが今です。」
なぜ、私はこんなことをしているんだろう?教えたい気持ちがある。なんだろな。
さっさと終わらせて先を行けばいいものを。
「うーん、気持ち悪いけど、やってみようかな?」
「じゃあ、このダークウルフでやってみましょう」
ボクはハーレン団長に導かれて、先程ボクが横に切り裂いて倒したダークウルフの前に出る。後ろからハーレン団長が指示を出してくれながら、ボクはダークウルフの胸から魔石を探す。
ダークウルフはまだ生温かい。ウッってなりながらもハーレン団長が教えてくれた場所を手探りで探す。ブニョブニョだったり、固かったりする肉をかき分け、1つの硬い塊を探し当てる。
「ハーレン団長、石みたいに硬いのがあるよ、これが魔石?」
「はい、そうだと思います。ナイフで肉を割いて取り出してみてください。はい、そう、上手ですよ。そうそれを取り出してみてください」
気持ち悪くなりながらも取り出してみた。
そしてハーレン団長から手ぬぐいを受け取り、魔石の血を拭き取ってみた。
ボクの手より少し小さく、手を握ると、手にすっぽり納まるくらいのサイズ。
光にかざすとも透明で綺麗な石。
けど、すぐに色付き始めた。
また、ボクの魔力を吸ってるみたい。
ほら、マーブルから、赤!
それ以上染まる前に、ハーレン団長に取り上げられて布袋に入れられちゃった。
「えー、キレイだったのにぃー」
いやいや。またすぐ赤く染まったんだぞ。
有り得ない。魔力がそんなにすぐ吸収されてしまうのも。
魔力をあんなに吸われても平気でいられるこいつも!なんなんだ?化け物か?
信じられないぞ。なんなんだー!!
驚愕する私に、魔石を取り出したことを褒めてほしそうに笑いかけてくるこのガキ!
ねー、ねー、褒めて、ボク、ちゃんと魔石を取り出せたよ。気持ち悪さは必死で我慢して、魔石を取り出すことに集中。
指で感じる肉の感触、さっきまで生きていたと実感しちゃう肉の生温かさ、それを気にしないように、気にしないようにしながら、頑張ったんだよ!?
ハーレン団長、褒めてくれないの?
うっ、褒めて欲しいのか?褒めて欲しいんだな?褒めないぞ。私をその目で見つめないでくれ。だめだ。
「はい、よく出来ました」
更にニカーッって笑うこの子供の無邪気な笑顔に私は戸惑うしか無かった。
そこで私は、そこに留まっていてはいけなかった事を思い出した。
はっ!囲まれてる?失敗した、この場から早く立ち去っていれば!!!
あの魔石がこの子の手に触れた途端、一気に魔力が流れ込んだぞ。奇跡なのか?……いや、そんな、それだけで説明がつかないぞ、イカルダの女神様の加護なのか?それとも、本当にこの子が稀人なのか?いや、ま、まさかな、馬鹿な。
私は、気づけば周囲の存在など忘れ、思考の渦に沈み込まれてしまう。
このまま、あいつらにこの子を渡していいのだろうか?
「ハーレン団長っ、あのダークウルフの魔石も取って、ねっ、ねっ」
はぁ、くそっ。仕方ないな。
やらせてみるか。
「カイト様!」
ん?なあに?早く、早く魔石取ってみて!
「さっきのベアの魔石、魔力をかなり取られていましたけど、体調は大丈夫ですか?」
ここで死なれたら困るからな。
「うん、平気。それよりもすごいね、凄く綺麗だった。あっという間に黒くなったね。」
いや、それ、普通じゃないから。
そ、れ、に!お前、大丈夫なのか?
何ともないのか?
気分悪くなったりしてないか?
ダークウルフの魔石を取り出す。
これも胸の辺りに魔石になった心臓がある。ダークウルフから取れる魔石は手のひらで握れる子供の拳くらいだ。
胸にナイフを刺し、指を入れて魔石を取り出す。魔石は石になるから硬い。だから、触るとすぐに分かる。
「カイト様、経験しましょう」
「えーっ、怖ーい」
嫌だから、怖ーい。
「怖くないですよ」
「やだー」
はぁ、めんどくさいな。
「カイト様、いつかは学ばなければなりませんよ、それが今です。」
なぜ、私はこんなことをしているんだろう?教えたい気持ちがある。なんだろな。
さっさと終わらせて先を行けばいいものを。
「うーん、気持ち悪いけど、やってみようかな?」
「じゃあ、このダークウルフでやってみましょう」
ボクはハーレン団長に導かれて、先程ボクが横に切り裂いて倒したダークウルフの前に出る。後ろからハーレン団長が指示を出してくれながら、ボクはダークウルフの胸から魔石を探す。
ダークウルフはまだ生温かい。ウッってなりながらもハーレン団長が教えてくれた場所を手探りで探す。ブニョブニョだったり、固かったりする肉をかき分け、1つの硬い塊を探し当てる。
「ハーレン団長、石みたいに硬いのがあるよ、これが魔石?」
「はい、そうだと思います。ナイフで肉を割いて取り出してみてください。はい、そう、上手ですよ。そうそれを取り出してみてください」
気持ち悪くなりながらも取り出してみた。
そしてハーレン団長から手ぬぐいを受け取り、魔石の血を拭き取ってみた。
ボクの手より少し小さく、手を握ると、手にすっぽり納まるくらいのサイズ。
光にかざすとも透明で綺麗な石。
けど、すぐに色付き始めた。
また、ボクの魔力を吸ってるみたい。
ほら、マーブルから、赤!
それ以上染まる前に、ハーレン団長に取り上げられて布袋に入れられちゃった。
「えー、キレイだったのにぃー」
いやいや。またすぐ赤く染まったんだぞ。
有り得ない。魔力がそんなにすぐ吸収されてしまうのも。
魔力をあんなに吸われても平気でいられるこいつも!なんなんだ?化け物か?
信じられないぞ。なんなんだー!!
驚愕する私に、魔石を取り出したことを褒めてほしそうに笑いかけてくるこのガキ!
ねー、ねー、褒めて、ボク、ちゃんと魔石を取り出せたよ。気持ち悪さは必死で我慢して、魔石を取り出すことに集中。
指で感じる肉の感触、さっきまで生きていたと実感しちゃう肉の生温かさ、それを気にしないように、気にしないようにしながら、頑張ったんだよ!?
ハーレン団長、褒めてくれないの?
うっ、褒めて欲しいのか?褒めて欲しいんだな?褒めないぞ。私をその目で見つめないでくれ。だめだ。
「はい、よく出来ました」
更にニカーッって笑うこの子供の無邪気な笑顔に私は戸惑うしか無かった。
そこで私は、そこに留まっていてはいけなかった事を思い出した。
はっ!囲まれてる?失敗した、この場から早く立ち去っていれば!!!
381
あなたにおすすめの小説
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
【完結】令嬢憧れの騎士様に結婚を申し込まれました。でも利害一致の契約です。
稲垣桜
恋愛
「君と取引がしたい」
兄の上司である公爵家の嫡男が、私の前に座って開口一番そう告げた。
「取引……ですか?」
「ああ、私と結婚してほしい」
私の耳がおかしくなったのか、それとも幻聴だろうか……
ああ、そうだ。揶揄われているんだ。きっとそうだわ。
* * * * * * * * * * * *
青薔薇の騎士として有名なマクシミリアンから契約結婚を申し込まれた伯爵家令嬢のリディア。
最低限の役目をこなすことで自由な時間を得たリディアは、契約通り自由な生活を謳歌する。
リディアはマクシミリアンが契約結婚を申し出た理由を知っても気にしないと言い、逆にそれがマクシミリアンにとって棘のように胸に刺さり続け、ある夜会に参加してから二人の関係は変わっていく。
※ゆる〜い設定です。
※完結保証。
※エブリスタでは現代テーマの作品を公開してます。興味がある方は覗いてみてください。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~
八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。
しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。
それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。
幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。
それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。
そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。
婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。
彼女の計画、それは自らが代理母となること。
だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。
こうして始まったフローラの代理母としての生活。
しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。
さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。
ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。
※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります
※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
分厚いメガネを外した令嬢は美人?
しゃーりん
恋愛
極度の近視で分厚いメガネをかけている子爵令嬢のミーシャは家族から嫌われている。
学園にも行かせてもらえず、居場所がないミーシャは教会と孤児院に通うようになる。
そこで知り合ったおじいさんと仲良くなって、話をするのが楽しみになっていた。
しかし、おじいさんが急に来なくなって心配していたところにミーシャの縁談話がきた。
会えないまま嫁いだ先にいたのは病に倒れたおじいさんで…介護要員としての縁談だった?
この結婚をきっかけに、将来やりたいことを考え始める。
一人で寂しかったミーシャに、いつの間にか大切な人ができていくお話です。
『まて』をやめました【完結】
かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。
朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。
時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの?
超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌!
恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。
貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。
だから、もう縋って来ないでね。
本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます
※小説になろうさんにも、別名で載せています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる