塩しかない世界に転生したので、料理で無双しながら領地を発展させます

あんり

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第1章 カイト、五歳までの軌跡

累計ポイント100万越え達成㊗️記念SS

(前世の快斗の家族)

快斗兄ちゃん、美緒みおよ。
快斗兄ちゃんが事故で亡くなって5年。
美緒はお兄ちゃんの年齢を追い越して3年が過ぎちゃった。早いものね。

お父さんは定年したわ。
お母さんと二人でたまに旅行に行ってる。
この間は北海道に初めて行ったって言って、その時のお土産が未だに仏壇にあるの、いつ下げるのかしらね。

いつも旅行から帰ってきたら、お兄ちゃんと私にもお土産を買ってくるけど、必ず快斗兄ちゃんの分もあるのよ。

お土産を仏壇にお供えしたらね、お父さんは「土産話を快斗に聞かせるんだ」って言ってね、泡盛にシークヮーサーを絞ったグラスを持って仏壇の前に居座るのよ。
お母さんはその傍で、オリオンビールを飲みながら一緒に仏壇に話しかけてるわ。

快斗兄ちゃんが亡くなって、お父さんも、お母さんも一気に老いちゃった。
うちの家族はみんな泣いてばかりだったの。
でもね、お兄ちゃんが言ったの。
「快斗はいつも俺達を笑わせてくれた。あいつはいつも明るかった。夜道を歩く時は“ハブにハブって噛まれないようにな”とかさ、“ハブの話はそろそろハブくさ、ハブだけに”あとはあれだな、1番笑わせてくれたのは!」

「「“ハブに気をつけろよ、今日も𝐇𝐚𝐯𝐞 𝐚 𝐧𝐢𝐜𝐞 𝐝𝐚𝐲”ハブだけに~」」

あははは。お兄ちゃんと私の声が重なる。
快斗兄ちゃんのギャグでいちばん面白かった、家族みんなで大爆笑したわよね。

「懐かしいな」寂しくお兄ちゃんが微笑んで仏壇の快斗兄ちゃんの写真を見てる。
私も、その視線に誘われて同じ写真に目を向けた。

笑うとえくぼが出る快斗兄ちゃん。
あの頃の生きていた時のままの笑顔が写真としてそこにある。

快斗兄ちゃん、こっちではみんな元気だよ。今日は快斗兄ちゃんの5回目の命日。

仏壇にお供えする重箱料理、お母さんの作る快斗兄ちゃんの好物もいっぱいあるよ。
私は豚汁作ったの。私の作る豚汁は我が家の直伝。玉ねぎたっぷりのやつ。豚肉も奮発してアグー豚にしちゃった。きっと美味しいはずよ。

そうそう、私、結婚したの。お兄ちゃんが亡くなった時に色々親身になって助けてくれた弁護士の春馬さん。
春馬さんが言うには、私の豚汁がお母さんの豚汁の味に似てきたって。
だから、今日は私が作った豚汁をお供えしたの。草葉の陰で味わって食べてよねっ。

「なんだ、美緒。やけに長いこと仏壇に話しかけているな」
「あ、お父さん、快斗兄ちゃんに色々報告してたの」
「あなた、ほら、美緒は快斗と仲が良かったもの」
「俺からも報告しなくちゃな、快斗、俺、今度結婚することになったぞ」

「え?初見だけど、お兄ちゃん、彼女居たの?」

「お母さんは知っていたわ」
「父さんも知っていたぞ」

「私だけ知らなかったのー、えー」
「お義兄さん、おめでとうございます」

「ありがとう、みんな。」

「快斗の分もお前たちは幸せにならないとな」

快斗兄ちゃん、お父さんが言った言葉、もちろんよ、みんな幸せになるわ。
だから、見守っててね。

「美緒、体調は大丈夫なの?あまり無理しちゃだめよ」

「ありがとう、お母さん、大丈夫よ。それよりね、みんなに発表しまーす」

「お、なんだ?」
「あら、なにかしら?」
「なんだ、美緒、食べすぎて医者に注意されたか?」

「も~、お兄ちゃん、酷いっ」
「お義兄さん、美緒は栄養管理頑張ってますよ」

あはは…笑いあってる、みんな笑顔だ。

そんなふうに笑えるようになった。

「あのね、この間検診に行ったらね、男の子だって!」

「あら、そうなの!」
「初孫だー」
「俺も、とうとうおじさんかぁ」

「やだ、お兄ちゃん。ずっと前からおじさんじゃない、ほら、頭うっすら」

「ばか、傷つくだろ」

んふふ
快斗兄ちゃん、ほら、いつもの我が家よ。

そして、もうひとつ、報告があるの。
私は春馬さんと見つめ合い頷きあう。

「あのね、春馬さんと話して決めたの。この子が男の子と分かって話したの。この子の名前“かいと”にするわ。」

――っつ!
一瞬、家族の顔が固まる。

「美緒、いいのか?」「いいの?」

「お父さん、お母さん、この子はかいと。でも、漢字はね、海と、北斗七星の斗を使うわ。」

「“海斗”か。いい名前だな。」

お父さんもお母さんも泣かないでよ。
お兄ちゃん、鼻水垂れてるっ。
慌てて鼻をかむの、快斗兄ちゃんの仕草が似てる。鼻をかんだら1度開いて見る癖、やめてよね、もー。

快斗兄ちゃん、もうすぐ生まれるの。
快斗兄ちゃんと同じ響きの“かいと”よ。

みんな、海斗に会えるの楽しみにしてくれてる。私たち、生きてる。
快斗兄ちゃんも向こうで楽しく生きてね。

「さあさあ、ご飯にしましょう」
「そうだな、ご飯にしようか」

「今日の豚汁は私が作ったのよ」
「美味いのか?」
「お兄ちゃん、ひどーい」
「お義兄さん、美緒の豚汁、お義母さんの味に似てきましたよ」

「では、みんなで頂こう。快斗も一緒に」

「「「「「頂きます」」」」」

(いただきます)

ん?快斗兄ちゃん?
快斗お兄ちゃんの声が聞こえた気がして、私はフッと微笑んだ。
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