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第1章 カイト、五歳までの軌跡
368話
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(ケンブルク王城 軍事司令室)
狭い。
ここは王城の中でも選ばれた者しか入れない軍事司令室。
石壁に油の灯りが揺れ、影が天井に伸びている。所々にある煤がこの部屋の暗さや息しずらしさを表していることが否めない。
人が10人ほどの狭い場所。
王城と言えど、ここは腰高までの石積みに木で覆っただけの簡素な作り。
これでやっとなのだ。
私たちの国は、過去に起きた10年前の戦で多くの戦士を亡くした。
今の王、カタカタル王は貪欲だ。
欲しいと思ったならどんな手を使ってでも手に入れてきた。
自分の贅沢のため国民の税をあげる。
美しいと思う女は攫ってくる。
それが既婚者でも関係ない。
歯向かうなら配偶者までも殺めてしまう残忍で、傲慢で、貪欲で、血も涙もない王だ。
10年前のイスカダルとの戦は、稀人の残した遺品がイスカダルの城に残されていると聞いたからだ。当時イスカダルに紛れ込ませていた密偵から聞いた情報。
どんな深手であっても、一瞬で治せるという“透明な容器”
稀人が残したと噂される、ありえない力の遺物。
それ欲しさに侵した戦争。
しかし、あえなく散った。
多くの兵士や騎士たちは、あの第二王子とそのそばにいた騎士の手で葬られたのだ。
たった一つの容器の為に。
それからカタカタル王はなりを潜めたかに思えたのに、しかし、そうではなかった。
虎視眈々とチャンスを伺っていたのだ。獲物を狙う蛇のように。
ねっとりと、そしてジリジリと。
きっかけは、やはりイスカダルに放っていた密偵からの1報だった。
イスカダルの第二王子ダウニーは、あの戦争を含めた過去の功績からマーシュ領を治めることになり、この10年で豊かな領へと発展させた、戦だけではなく、統治にも才能を持っていたのだ。
それに比べ我が国は、この10年、何をしてきたのだ。何も変わってない。
いや、むしろ後退していった。
物がない、食べるものも最低限、仕事もない。だから治安が悪い。利益がないから発展もしない。そこに重くのしかかる重税。
そんなところに、マーシュ領は明らかに変わっていった。カイチェアというものが利益を産んだ。その後、怒涛のように発展し続けている。なぜだ?一体誰が起こした軌跡なんだ?
放った者たちから次々に舞い込む情報。
我が国にはない煌びやかな発展。
さらに情報を得るために我々は、イスカダル国を内側からも、そして外側からも、同時に攻めることにした。それが2年前。
夜会で噂されてる“愛されない王太子妃”
彼女の気持ちや感情を、政治の道具として使わない手はない。
我が国に通じるルドン公爵。
あいつの悪事は私たちが揉み消してきた。
恐喝、賄賂、武器の横流し、殺人、色々やってきた。全てルドン公爵を懐に囲うために。
ルドン公爵の屋敷に間者を潜り込ませた。1人はメイド。
メイドには、ルドンの娘アーシャだったか?あの下品な女に吹き込んだ嘘。
「アーシャ様こそ、ダウニー様に相応しい」、アーシャはすぐその気になった。
しかし、あの女は使えなかった。
だから、壊してしまおうともう1人の間者を使った。そいつに溺れたアーシャはさっさと第二王子に捨てられた。
いつも偉そうにしていたルドン公爵が溺愛している娘を壊してやった。
頭がおかしい。他の女を愛してる男に振り向いてもらえると思うのか?
明らかに間者と不貞をしているのに、第二王子の妻になれるというのか?
有り得るはずがないだろう…笑える。
アーシャは第二王子にとっては最初から“眼中に無い女”だ。
第二王子は別の女をみつけ、さっさと結婚までこぎつけたんだ。
――ピチャン
水時計が我々の計画の始まりを告げる。
そろそろだな。
「おい、準備はどうだ?」
「はい!レイ大佐、何時でも我々は動けます。今から動きますか?」
「ああ、その前に計画のすり合わせをするぞ。ガイ、……始めろ」
私は、目の前の無骨で無表情な男に問う。
レイ大佐の声は低かった。
室内にいる者たちの喉が同時に鳴る。
この張り詰めた空気を、鋭く突き刺す冷気のように、それは恐れか、それとも興奮か。
ここにいる男たちの気を引き締めるには十分な、静かで重たい声だ。
………戦が始まる。
----------------------------------------------------------
こんばんは。今回は黒い話になってます。
さあ、カイトはどうなっていくの?
気になる方は♡♡押しまくっちゃえー!
狭い。
ここは王城の中でも選ばれた者しか入れない軍事司令室。
石壁に油の灯りが揺れ、影が天井に伸びている。所々にある煤がこの部屋の暗さや息しずらしさを表していることが否めない。
人が10人ほどの狭い場所。
王城と言えど、ここは腰高までの石積みに木で覆っただけの簡素な作り。
これでやっとなのだ。
私たちの国は、過去に起きた10年前の戦で多くの戦士を亡くした。
今の王、カタカタル王は貪欲だ。
欲しいと思ったならどんな手を使ってでも手に入れてきた。
自分の贅沢のため国民の税をあげる。
美しいと思う女は攫ってくる。
それが既婚者でも関係ない。
歯向かうなら配偶者までも殺めてしまう残忍で、傲慢で、貪欲で、血も涙もない王だ。
10年前のイスカダルとの戦は、稀人の残した遺品がイスカダルの城に残されていると聞いたからだ。当時イスカダルに紛れ込ませていた密偵から聞いた情報。
どんな深手であっても、一瞬で治せるという“透明な容器”
稀人が残したと噂される、ありえない力の遺物。
それ欲しさに侵した戦争。
しかし、あえなく散った。
多くの兵士や騎士たちは、あの第二王子とそのそばにいた騎士の手で葬られたのだ。
たった一つの容器の為に。
それからカタカタル王はなりを潜めたかに思えたのに、しかし、そうではなかった。
虎視眈々とチャンスを伺っていたのだ。獲物を狙う蛇のように。
ねっとりと、そしてジリジリと。
きっかけは、やはりイスカダルに放っていた密偵からの1報だった。
イスカダルの第二王子ダウニーは、あの戦争を含めた過去の功績からマーシュ領を治めることになり、この10年で豊かな領へと発展させた、戦だけではなく、統治にも才能を持っていたのだ。
それに比べ我が国は、この10年、何をしてきたのだ。何も変わってない。
いや、むしろ後退していった。
物がない、食べるものも最低限、仕事もない。だから治安が悪い。利益がないから発展もしない。そこに重くのしかかる重税。
そんなところに、マーシュ領は明らかに変わっていった。カイチェアというものが利益を産んだ。その後、怒涛のように発展し続けている。なぜだ?一体誰が起こした軌跡なんだ?
放った者たちから次々に舞い込む情報。
我が国にはない煌びやかな発展。
さらに情報を得るために我々は、イスカダル国を内側からも、そして外側からも、同時に攻めることにした。それが2年前。
夜会で噂されてる“愛されない王太子妃”
彼女の気持ちや感情を、政治の道具として使わない手はない。
我が国に通じるルドン公爵。
あいつの悪事は私たちが揉み消してきた。
恐喝、賄賂、武器の横流し、殺人、色々やってきた。全てルドン公爵を懐に囲うために。
ルドン公爵の屋敷に間者を潜り込ませた。1人はメイド。
メイドには、ルドンの娘アーシャだったか?あの下品な女に吹き込んだ嘘。
「アーシャ様こそ、ダウニー様に相応しい」、アーシャはすぐその気になった。
しかし、あの女は使えなかった。
だから、壊してしまおうともう1人の間者を使った。そいつに溺れたアーシャはさっさと第二王子に捨てられた。
いつも偉そうにしていたルドン公爵が溺愛している娘を壊してやった。
頭がおかしい。他の女を愛してる男に振り向いてもらえると思うのか?
明らかに間者と不貞をしているのに、第二王子の妻になれるというのか?
有り得るはずがないだろう…笑える。
アーシャは第二王子にとっては最初から“眼中に無い女”だ。
第二王子は別の女をみつけ、さっさと結婚までこぎつけたんだ。
――ピチャン
水時計が我々の計画の始まりを告げる。
そろそろだな。
「おい、準備はどうだ?」
「はい!レイ大佐、何時でも我々は動けます。今から動きますか?」
「ああ、その前に計画のすり合わせをするぞ。ガイ、……始めろ」
私は、目の前の無骨で無表情な男に問う。
レイ大佐の声は低かった。
室内にいる者たちの喉が同時に鳴る。
この張り詰めた空気を、鋭く突き刺す冷気のように、それは恐れか、それとも興奮か。
ここにいる男たちの気を引き締めるには十分な、静かで重たい声だ。
………戦が始まる。
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こんばんは。今回は黒い話になってます。
さあ、カイトはどうなっていくの?
気になる方は♡♡押しまくっちゃえー!
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