塩しかない世界に転生したので、料理で無双しながら領地を発展させます

あんり

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第2章 物語は“影”の深層へ!

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(ハンスside)

私は夜明けの一連の流れ、光景を思い出していた。

ふぅーっ、胸の中のこのムヤムヤした気持ちを腹の中から全て出すように息を吐く。私は興奮が抑えられない。

ああ、羨ましくも、それがいい意味で妬ましくもある。あの幼な子が立てた戦術。
見事に、圧倒的な頭脳戦。

カイト坊ちゃんが積み上げた防壁のところに来た奴ら。
先に我らが騎士団が塀の内側に全員が入ったと同時にカイト坊ちゃんが岩を積み上げて入口を閉じた。

その後、すぐに坊ちゃんはまた塀を登っていく。
その後を置いながら私は疑問を投げかけた。
「カイト坊ちゃん、何故また上へ?」

「積み上げた岩には、ミソがついてないからね、そこにミソを流し込むの。あと、胡椒を撒かないと」

あぁ、なるほど。今積み上げた岩壁にはミソがない事にすぐ気づいて、すぐに対応している、抜かりない。

そして、やはり、あれを撒くんだな。

これから起こる奴らの状況を想像して、ブルッと身震いがする。

ほんの少しでも辛いのに、敵を気の毒に思うが、甘いことは言ってられん。

カイト坊ちゃんの指示の元、セルジュの風の魔法に乗せて、あの胡椒が撒かれた。
もうだいぶ明るくなっている夜明けの空に、うっすらと漂い、間違いなく、真っ直ぐ奴らの元へ。
ゆらゆら薄く空中を漂う胡椒は、夜明けの柔らかな光に反射して、キラキラしていた。
なんだか、幻想的だ。
しかし、威力は、破壊的だ。

「うぎゃー、なんだこれは…」
「ゴホッゴホッ!………っ!」
「目が痛い、鼻が痛い、喉に…ゴフッ」

一斉に苦しみ、もがき出した奴らの様子はまさに地獄だ。――気の毒に。
一瞬同情してしまった、あの苦しみを知っているからな。見ていて顔が歪む。

けれど、一言言ってやる!
ざまぁ、見やがれ。



(ルーク団長とマーシュ領騎士)

なっ、なんだ。
いつの間にあんな防壁ができたんだ?
あんな物なかったはずだ。

しかし、ある程度の足止めにはなるが、あれくらいなら登れちまう。

防壁を作る労力に対して、奴らには大した障害にはならない。

いったい誰が?

ん?なんだ?奴ら登れないのか?
あー、この臭い。ミソだな。
私が間違えるわけない。

あぁ、トン汁が飲みたくなったぞ。
あのホロホロ口溶けするブタ肉とナダンソウソウ。うっすら浮かぶ油さえも、美味い。

はて?なぜミソの匂いがする?

うわーっ、思わず脳裏に浮かんだ一言
――もったいないぞ。

あれだけ味噌があれば何杯トン汁がの飲めるんだ。イカルンミソ汁だって。
うわーっ、なんてことしてるんだぁ。
これは、絶対にっ、カイト坊ちゃんの仕業だな。

まあ、しかし、奴らの無様なことだな。

ズルッ、ズルッ、ズテン!

ミソで岩に掴まれずに、転んでるんだな。
ミソを、私の好きなミソを、クソーッ。

防壁の上を見る、あの後光を背にしてるあの小さなシルエットは、カイト坊ちゃんだな。後光がお似合いだ。

ん?なにか撒いたか?
あれは、なんだ?

朝日にキラキラ、幻想的な景色に、相対してミソにすっ転ぶケンブルクのヤツら。

なんか、ちぐはぐだぞ。笑える。

ん?なんだ?
クシュン、クシュン。喉が痛い。
これはなんだ。

「おい、お前たち、退散だ。この粉はまずいぞ。俺達もやられるぞ。引けーっ」

ゴホッゴホッ。
ハークションッ。

「なんだ?なんだ?毒か?」
「まずいぞ、逃げろっ…」
「私たちが、後ろに居たのに…」
「仲間にやられちまうのか…」

やばいぞ。目が開けられないぞ。
鼻水が止まらないぞ。
甲冑の中で鼻水が…舞う。

まずい、色々。
「西門に向かえ!」

私たちは、あのキラキラの粉の正体が分からないまま、退避した。

もちろん。ケンブルクの奴らが網に掛かり、逃げられない事はちゃんと確認したところは、抜かりない。
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