409 / 422
第2章 いよいよ開幕!――物語は“影”の深層へ!
401
しおりを挟む
(ハンスside)
私は夜明けの一連の流れ、光景を思い出していた。
ふぅーっ、胸の中のこのムヤムヤした気持ちを腹の中から全て出すように息を吐く。私は興奮が抑えられない。
ああ、羨ましくも、それがいい意味で妬ましくもある。あの幼な子が立てた戦術。
見事に、圧倒的な頭脳戦。
カイト坊ちゃんが積み上げた防壁のところに来た奴ら。
先に我らが騎士団が塀の内側に全員が入ったと同時にカイト坊ちゃんが岩を積み上げて入口を閉じた。
その後、すぐに坊ちゃんはまた塀を登っていく。
その後を置いながら私は疑問を投げかけた。
「カイト坊ちゃん、何故また上へ?」
「積み上げた岩には、ミソがついてないからね、そこにミソを流し込むの。あと、胡椒を撒かないと」
あぁ、なるほど。今積み上げた岩壁にはミソがない事にすぐ気づいて、すぐに対応している、抜かりない。
そして、やはり、あれを撒くんだな。
これから起こる奴らの状況を想像して、ブルッと身震いがする。
ほんの少しでも辛いのに、敵を気の毒に思うが、甘いことは言ってられん。
カイト坊ちゃんの指示の元、セルジュの風の魔法に乗せて、あの胡椒が撒かれた。
もうだいぶ明るくなっている夜明けの空に、うっすらと漂い、間違いなく、真っ直ぐ奴らの元へ。
ゆらゆら薄く空中を漂う胡椒は、夜明けの柔らかな光に反射して、キラキラしていた。
なんだか、幻想的だ。
しかし、威力は、破壊的だ。
「うぎゃー、なんだこれは…」
「ゴホッゴホッ!………っ!」
「目が痛い、鼻が痛い、喉に…ゴフッ」
一斉に苦しみ、もがき出した奴らの様子はまさに地獄だ。――気の毒に。
一瞬同情してしまった、あの苦しみを知っているからな。見ていて顔が歪む。
けれど、一言言ってやる!
ざまぁ、見やがれ。
(ルーク団長とマーシュ領騎士)
なっ、なんだ。
いつの間にあんな防壁ができたんだ?
あんな物なかったはずだ。
しかし、ある程度の足止めにはなるが、あれくらいなら登れちまう。
防壁を作る労力に対して、奴らには大した障害にはならない。
いったい誰が?
ん?なんだ?奴ら登れないのか?
あー、この臭い。ミソだな。
私が間違えるわけない。
あぁ、トン汁が飲みたくなったぞ。
あのホロホロ口溶けするブタ肉とナダンソウソウ。うっすら浮かぶ油さえも、美味い。
はて?なぜミソの匂いがする?
うわーっ、思わず脳裏に浮かんだ一言
――もったいないぞ。
あれだけ味噌があれば何杯トン汁がの飲めるんだ。イカルンミソ汁だって。
うわーっ、なんてことしてるんだぁ。
これは、絶対にっ、カイト坊ちゃんの仕業だな。
まあ、しかし、奴らの無様なことだな。
ズルッ、ズルッ、ズテン!
ミソで岩に掴まれずに、転んでるんだな。
ミソを、私の好きなミソを、クソーッ。
防壁の上を見る、あの後光を背にしてるあの小さなシルエットは、カイト坊ちゃんだな。後光がお似合いだ。
ん?なにか撒いたか?
あれは、なんだ?
朝日にキラキラ、幻想的な景色に、相対してミソにすっ転ぶケンブルクのヤツら。
なんか、ちぐはぐだぞ。笑える。
ん?なんだ?
クシュン、クシュン。喉が痛い。
これはなんだ。
「おい、お前たち、退散だ。この粉はまずいぞ。俺達もやられるぞ。引けーっ」
ゴホッゴホッ。
ハークションッ。
「なんだ?なんだ?毒か?」
「まずいぞ、逃げろっ…」
「私たちが、後ろに居たのに…」
「仲間にやられちまうのか…」
やばいぞ。目が開けられないぞ。
鼻水が止まらないぞ。
甲冑の中で鼻水が…舞う。
まずい、色々。
「西門に向かえ!」
私たちは、あのキラキラの粉の正体が分からないまま、退避した。
もちろん。ケンブルクの奴らが網に掛かり、逃げられない事はちゃんと確認したところは、抜かりない。
私は夜明けの一連の流れ、光景を思い出していた。
ふぅーっ、胸の中のこのムヤムヤした気持ちを腹の中から全て出すように息を吐く。私は興奮が抑えられない。
ああ、羨ましくも、それがいい意味で妬ましくもある。あの幼な子が立てた戦術。
見事に、圧倒的な頭脳戦。
カイト坊ちゃんが積み上げた防壁のところに来た奴ら。
先に我らが騎士団が塀の内側に全員が入ったと同時にカイト坊ちゃんが岩を積み上げて入口を閉じた。
その後、すぐに坊ちゃんはまた塀を登っていく。
その後を置いながら私は疑問を投げかけた。
「カイト坊ちゃん、何故また上へ?」
「積み上げた岩には、ミソがついてないからね、そこにミソを流し込むの。あと、胡椒を撒かないと」
あぁ、なるほど。今積み上げた岩壁にはミソがない事にすぐ気づいて、すぐに対応している、抜かりない。
そして、やはり、あれを撒くんだな。
これから起こる奴らの状況を想像して、ブルッと身震いがする。
ほんの少しでも辛いのに、敵を気の毒に思うが、甘いことは言ってられん。
カイト坊ちゃんの指示の元、セルジュの風の魔法に乗せて、あの胡椒が撒かれた。
もうだいぶ明るくなっている夜明けの空に、うっすらと漂い、間違いなく、真っ直ぐ奴らの元へ。
ゆらゆら薄く空中を漂う胡椒は、夜明けの柔らかな光に反射して、キラキラしていた。
なんだか、幻想的だ。
しかし、威力は、破壊的だ。
「うぎゃー、なんだこれは…」
「ゴホッゴホッ!………っ!」
「目が痛い、鼻が痛い、喉に…ゴフッ」
一斉に苦しみ、もがき出した奴らの様子はまさに地獄だ。――気の毒に。
一瞬同情してしまった、あの苦しみを知っているからな。見ていて顔が歪む。
けれど、一言言ってやる!
ざまぁ、見やがれ。
(ルーク団長とマーシュ領騎士)
なっ、なんだ。
いつの間にあんな防壁ができたんだ?
あんな物なかったはずだ。
しかし、ある程度の足止めにはなるが、あれくらいなら登れちまう。
防壁を作る労力に対して、奴らには大した障害にはならない。
いったい誰が?
ん?なんだ?奴ら登れないのか?
あー、この臭い。ミソだな。
私が間違えるわけない。
あぁ、トン汁が飲みたくなったぞ。
あのホロホロ口溶けするブタ肉とナダンソウソウ。うっすら浮かぶ油さえも、美味い。
はて?なぜミソの匂いがする?
うわーっ、思わず脳裏に浮かんだ一言
――もったいないぞ。
あれだけ味噌があれば何杯トン汁がの飲めるんだ。イカルンミソ汁だって。
うわーっ、なんてことしてるんだぁ。
これは、絶対にっ、カイト坊ちゃんの仕業だな。
まあ、しかし、奴らの無様なことだな。
ズルッ、ズルッ、ズテン!
ミソで岩に掴まれずに、転んでるんだな。
ミソを、私の好きなミソを、クソーッ。
防壁の上を見る、あの後光を背にしてるあの小さなシルエットは、カイト坊ちゃんだな。後光がお似合いだ。
ん?なにか撒いたか?
あれは、なんだ?
朝日にキラキラ、幻想的な景色に、相対してミソにすっ転ぶケンブルクのヤツら。
なんか、ちぐはぐだぞ。笑える。
ん?なんだ?
クシュン、クシュン。喉が痛い。
これはなんだ。
「おい、お前たち、退散だ。この粉はまずいぞ。俺達もやられるぞ。引けーっ」
ゴホッゴホッ。
ハークションッ。
「なんだ?なんだ?毒か?」
「まずいぞ、逃げろっ…」
「私たちが、後ろに居たのに…」
「仲間にやられちまうのか…」
やばいぞ。目が開けられないぞ。
鼻水が止まらないぞ。
甲冑の中で鼻水が…舞う。
まずい、色々。
「西門に向かえ!」
私たちは、あのキラキラの粉の正体が分からないまま、退避した。
もちろん。ケンブルクの奴らが網に掛かり、逃げられない事はちゃんと確認したところは、抜かりない。
293
あなたにおすすめの小説
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
【完結】令嬢憧れの騎士様に結婚を申し込まれました。でも利害一致の契約です。
稲垣桜
恋愛
「君と取引がしたい」
兄の上司である公爵家の嫡男が、私の前に座って開口一番そう告げた。
「取引……ですか?」
「ああ、私と結婚してほしい」
私の耳がおかしくなったのか、それとも幻聴だろうか……
ああ、そうだ。揶揄われているんだ。きっとそうだわ。
* * * * * * * * * * * *
青薔薇の騎士として有名なマクシミリアンから契約結婚を申し込まれた伯爵家令嬢のリディア。
最低限の役目をこなすことで自由な時間を得たリディアは、契約通り自由な生活を謳歌する。
リディアはマクシミリアンが契約結婚を申し出た理由を知っても気にしないと言い、逆にそれがマクシミリアンにとって棘のように胸に刺さり続け、ある夜会に参加してから二人の関係は変わっていく。
※ゆる〜い設定です。
※完結保証。
※エブリスタでは現代テーマの作品を公開してます。興味がある方は覗いてみてください。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~
八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。
しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。
それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。
幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。
それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。
そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。
婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。
彼女の計画、それは自らが代理母となること。
だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。
こうして始まったフローラの代理母としての生活。
しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。
さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。
ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。
※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります
※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
分厚いメガネを外した令嬢は美人?
しゃーりん
恋愛
極度の近視で分厚いメガネをかけている子爵令嬢のミーシャは家族から嫌われている。
学園にも行かせてもらえず、居場所がないミーシャは教会と孤児院に通うようになる。
そこで知り合ったおじいさんと仲良くなって、話をするのが楽しみになっていた。
しかし、おじいさんが急に来なくなって心配していたところにミーシャの縁談話がきた。
会えないまま嫁いだ先にいたのは病に倒れたおじいさんで…介護要員としての縁談だった?
この結婚をきっかけに、将来やりたいことを考え始める。
一人で寂しかったミーシャに、いつの間にか大切な人ができていくお話です。
『まて』をやめました【完結】
かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。
朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。
時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの?
超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌!
恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。
貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。
だから、もう縋って来ないでね。
本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます
※小説になろうさんにも、別名で載せています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる