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第2章 いよいよ開幕!――物語は“影”の深層へ!
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(ケンブルクの兵士ら)
あっ………暑いな。
俺たちが受けている、何も与えて貰えない拷問に近いこの扱い。
どこのどいつ…だ?
汗臭さに、尿の臭いが混じる。
だれが漏らしたのか?…臭ぇ。
太陽もすっかり登りきって、ジリジリ肌を刺す太陽の日差しが、俺たちの気力も、体力も、勢力も奪っていく。
ここに、我がケンブルクの同士達が集められ、目隠しをされ、黙ったまま、ただ座らされている。あぐらをかいたままだ、ケツが痛てぇ。
騒ぐ同士には猿ぐつわを噛まされ、うーっ、うーっ、唸ることしか出来ない。
全員目隠しをされているから何が起きているのかが分からない。
聴覚だけが、鋭くなる。
さっきから奴ら、何をしている?
なんの音だ。
地面に微妙に重ねられる振動。
ドコッ、ドゴッ。
いくつかの場所から聞こえる。なにか積み上げられている?
―――岩か?
ガラッガラッガラッ。
乾いた音、木材が重なる音。
俺たちの国で使われる材料は木材ばかりだ、だから、この音だけは、木を積み重ねた音だとわかる。
ガンッ、ガンッ。
今度は一体なんだ?ガンッって鈍い金属音だ。
何を作ってるんだ?
得体のしれない、想像すらできない。
これから、もしかして、何かの装置か?
それを使って、俺たちを吊し上げ…る?
あらゆる事を考えるが、考えるたびに全部悪い方にしか、たどり着かない。
ゴクッ!さっきから汗が止まらねぇ。
喉が乾いて仕方がねぇ。
水が欲しいと言うと、与えられるのは薄い塩水だ。
これだけ炎天下の下に晒されているのに、俺たちは誰も倒れてはいない。
つなぎ止めた体力も普段は持たない。
何故か、まだみんな意識がありそうだ。
何がそうさせてる?―――塩水か?
その時、さっきまで絶え間なく聞こえていた音が、ふっと途切れた。
何も聞こえない。
それが一番怖かった。
あの水になにか仕掛けられてるのか?
まさかな。
しかし、暑い……こいつらの汗臭さも、じっとしているのも辛えぞ……
ボフッ、ボフッ。
あちらこちらで聞こえる。
火魔法だぞ。いくつも火をつけた?
風下にいる俺たちに、今度は熱風だ。
ジリジリ、ジリジリ。くそっ。
地味な拷問なんてやめろっ、さっさと締め上げるなら、さっさとしろよ。
ネチネチ、ネチネチしやがって、くそっ、くそっ。
さっきから、奴らは何も話すじゃなく、ただなにか動いているだけだ。
見えねえから、何をしているのか、さっぱりだ。イライラするなっ。
俺たちは、視覚を奪われたまま、得体のしれない音に戸惑い、焦るしかない。
(マーシュ領騎士達)
「さあ、用意はいいか?」
これまでの1連の作業は誰も喋らずに黙々と進められた。
1mくらいの高さを四角に囲んだ積まれた岩。
その中には乾いた木材を積み上げる。
岩の上には鉄板や金網が置かれる。
上からの指示を受け黙々と作業を進め、20個ほどの、“何か”が出来上がった。
木に火をつける。
火魔法が得意な仲間がどんどん着火していく。
パチパチとあっという間に火を纏う木材は音も楽しそうだ。
きっとなにかあるんだ。
何かわからないが、騎士団の仲間も徐々に集まってきた。
ん?あれは?
「「「「「「「「おぉー」」」」」」」」
大歓声だ。山盛りに盛り上げられた肉、肉、肉。
これは、オークだな。
あれは、最近流行りの我が領の特産品のビービー、ダブルジーの鶏肉じゃないか。
私たちが大量の肉に歓喜している後ろからルーク団長率いる団長たちがやってきた。
「さあ、みんな、良いか。今から手順を教える。私の指示の通りに。」
ひとつの鉄板に、豚の油が置かれ、同時に熱に溶け出した油が食欲をそそる。
ジュー、ジュー、ジュー。
パチ、パチ、パチ。
そこに投入されたスライスされたガリガリクゥー。くぅー、匂いがたまらん。
あれは?
次にオーク肉が投入された。
鉄板の中の油はバチバチはねる。
辺り一面、ラードにガリガリクゥーに、肉の匂いの三重奏だ。早く食べたいぞ。
「隊長、分かりました。私達も焼き始めてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わんよ」
「あと、串に刺してある鳥の肉は塩と胡椒と言う新しい調味料も振ってある。美味いらしいぞ。よし、これは網の上で焼くんだ。そして焦がさないように時々串をひっくり返すんだ。」
「お前、初めて料理法だぞ、上手く焼いているな。見ない顔だ、誰だ?名を申せ」
「私は名を申せません。お耳を」
他に聞こえない声で告げてきた。
「所属はゼロ。あの祭りのあとの掃除をしていました」
ああ、そんな奴がいると聞いた。
「わかった」
「よし、皆頂こうじゃないか。隊長からのご褒美だ。…ああ、あそこのあいつらには拷問だけどな」
カイト坊ちゃん、みんな喜んでます。
外で、みんなで、豪快に食べられるって教わった“バーベキュー”って奴は最高ですね。ここはある意味、戦争だ。
カイト坊ちゃんが教えてくれたなんて、敵の前でカイト坊ちゃんの話は出来ん。
だから、私が考案した食べ方だとしている。
またひとつ、食べる楽しみが増えたな。
改めて凄いですよ、坊ちゃん。
やつらが口を悔しそうにつぐんでやる。
あと、喉仏が動いてる奴がうじゃうじゃいるな。ヨダレ垂れてて、お前らみっともないぞ。
あー、美味いなっ。
礼儀作法?今はいらないな。
夢中で肉にがぶりついた。
あっ………暑いな。
俺たちが受けている、何も与えて貰えない拷問に近いこの扱い。
どこのどいつ…だ?
汗臭さに、尿の臭いが混じる。
だれが漏らしたのか?…臭ぇ。
太陽もすっかり登りきって、ジリジリ肌を刺す太陽の日差しが、俺たちの気力も、体力も、勢力も奪っていく。
ここに、我がケンブルクの同士達が集められ、目隠しをされ、黙ったまま、ただ座らされている。あぐらをかいたままだ、ケツが痛てぇ。
騒ぐ同士には猿ぐつわを噛まされ、うーっ、うーっ、唸ることしか出来ない。
全員目隠しをされているから何が起きているのかが分からない。
聴覚だけが、鋭くなる。
さっきから奴ら、何をしている?
なんの音だ。
地面に微妙に重ねられる振動。
ドコッ、ドゴッ。
いくつかの場所から聞こえる。なにか積み上げられている?
―――岩か?
ガラッガラッガラッ。
乾いた音、木材が重なる音。
俺たちの国で使われる材料は木材ばかりだ、だから、この音だけは、木を積み重ねた音だとわかる。
ガンッ、ガンッ。
今度は一体なんだ?ガンッって鈍い金属音だ。
何を作ってるんだ?
得体のしれない、想像すらできない。
これから、もしかして、何かの装置か?
それを使って、俺たちを吊し上げ…る?
あらゆる事を考えるが、考えるたびに全部悪い方にしか、たどり着かない。
ゴクッ!さっきから汗が止まらねぇ。
喉が乾いて仕方がねぇ。
水が欲しいと言うと、与えられるのは薄い塩水だ。
これだけ炎天下の下に晒されているのに、俺たちは誰も倒れてはいない。
つなぎ止めた体力も普段は持たない。
何故か、まだみんな意識がありそうだ。
何がそうさせてる?―――塩水か?
その時、さっきまで絶え間なく聞こえていた音が、ふっと途切れた。
何も聞こえない。
それが一番怖かった。
あの水になにか仕掛けられてるのか?
まさかな。
しかし、暑い……こいつらの汗臭さも、じっとしているのも辛えぞ……
ボフッ、ボフッ。
あちらこちらで聞こえる。
火魔法だぞ。いくつも火をつけた?
風下にいる俺たちに、今度は熱風だ。
ジリジリ、ジリジリ。くそっ。
地味な拷問なんてやめろっ、さっさと締め上げるなら、さっさとしろよ。
ネチネチ、ネチネチしやがって、くそっ、くそっ。
さっきから、奴らは何も話すじゃなく、ただなにか動いているだけだ。
見えねえから、何をしているのか、さっぱりだ。イライラするなっ。
俺たちは、視覚を奪われたまま、得体のしれない音に戸惑い、焦るしかない。
(マーシュ領騎士達)
「さあ、用意はいいか?」
これまでの1連の作業は誰も喋らずに黙々と進められた。
1mくらいの高さを四角に囲んだ積まれた岩。
その中には乾いた木材を積み上げる。
岩の上には鉄板や金網が置かれる。
上からの指示を受け黙々と作業を進め、20個ほどの、“何か”が出来上がった。
木に火をつける。
火魔法が得意な仲間がどんどん着火していく。
パチパチとあっという間に火を纏う木材は音も楽しそうだ。
きっとなにかあるんだ。
何かわからないが、騎士団の仲間も徐々に集まってきた。
ん?あれは?
「「「「「「「「おぉー」」」」」」」」
大歓声だ。山盛りに盛り上げられた肉、肉、肉。
これは、オークだな。
あれは、最近流行りの我が領の特産品のビービー、ダブルジーの鶏肉じゃないか。
私たちが大量の肉に歓喜している後ろからルーク団長率いる団長たちがやってきた。
「さあ、みんな、良いか。今から手順を教える。私の指示の通りに。」
ひとつの鉄板に、豚の油が置かれ、同時に熱に溶け出した油が食欲をそそる。
ジュー、ジュー、ジュー。
パチ、パチ、パチ。
そこに投入されたスライスされたガリガリクゥー。くぅー、匂いがたまらん。
あれは?
次にオーク肉が投入された。
鉄板の中の油はバチバチはねる。
辺り一面、ラードにガリガリクゥーに、肉の匂いの三重奏だ。早く食べたいぞ。
「隊長、分かりました。私達も焼き始めてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わんよ」
「あと、串に刺してある鳥の肉は塩と胡椒と言う新しい調味料も振ってある。美味いらしいぞ。よし、これは網の上で焼くんだ。そして焦がさないように時々串をひっくり返すんだ。」
「お前、初めて料理法だぞ、上手く焼いているな。見ない顔だ、誰だ?名を申せ」
「私は名を申せません。お耳を」
他に聞こえない声で告げてきた。
「所属はゼロ。あの祭りのあとの掃除をしていました」
ああ、そんな奴がいると聞いた。
「わかった」
「よし、皆頂こうじゃないか。隊長からのご褒美だ。…ああ、あそこのあいつらには拷問だけどな」
カイト坊ちゃん、みんな喜んでます。
外で、みんなで、豪快に食べられるって教わった“バーベキュー”って奴は最高ですね。ここはある意味、戦争だ。
カイト坊ちゃんが教えてくれたなんて、敵の前でカイト坊ちゃんの話は出来ん。
だから、私が考案した食べ方だとしている。
またひとつ、食べる楽しみが増えたな。
改めて凄いですよ、坊ちゃん。
やつらが口を悔しそうにつぐんでやる。
あと、喉仏が動いてる奴がうじゃうじゃいるな。ヨダレ垂れてて、お前らみっともないぞ。
あー、美味いなっ。
礼儀作法?今はいらないな。
夢中で肉にがぶりついた。
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