ボクは転生者!塩だけの世界で料理&領地開拓!

あんり

文字の大きさ
414 / 422
第2章 いよいよ開幕!――物語は“影”の深層へ!

406

しおりを挟む
(カイトとカマチョ)

バナナは採れるだけ採った。
もうね、いっぱい!
屋敷のみんなに1人1本はあたるくらい。

5mくらい進んだあたりから少しバナナの成長がゆっくりになった。
多分、土中の肥料の栄養分を使いきったのかな?

だけど、すごいねー!
この何も植えられてなかった辺り1面あっという間にバナナ畑だよ。
あのバナナの熟した甘さのとろーりとした香りがボクの鼻から入ってくる。
思わずもう1本ってなっちゃいそう。

これだけあれば、人々に配給してもいいかもね。
栄養価も高いし、腹持ちするし、何より甘い食べ物だからね。
今まで食べたことない甘みをどうするかは、パパが起きてから、ママも一緒に考えようかな。だから、パパ早く起きてっ。

ほらほら、
カマチョ、食べたそうにしなーい。
さっき食べたじゃん。

マール、初めて嗅ぐ甘い匂いに誘われちゃうよねー、わかるー。
あ、何気に匂い探してる?
背筋伸ばして、顔を左右にゆっくり動かしながら深呼吸を繰り返してるの、マールっ、ボクにばれてるからねっ。

ほらほら、カマチョ、作業続けるよっ。

「バナナ見てないで、手を動かすよ、ほらっ」

さて、次はシナモン。
実は発見した時に、皮だけじゃなくて、若木も採って、時間停止のリュックに入れてある。

これは、どうしたらいいのかな?
そのまま土に植える?

まずは植えてみようかな?
何事も経験、ダメなら考える。

根に着いた腐葉土もそのまま土に植えてみよう。

様子みてダメなら、今度は挿し木してみよう。

「坊ちゃん、これはなんの木ですかえ?
なんか少しいい香りがするか、…な?」

「ほらほら、カマチョ。ボクの手を嗅がないでよっ。」

若木を持ってるボクの手のところ嗅いでる、なんかやだ。

「いや、坊ちゃんの手からバナナの匂いがしてちまって…」

やだー、なんかカマチョにボク舐められちゃいそう。さっきの甘さ、初めて食べたから夢中になるの分かるよ。

「早く作業が終わったら、早く食べられると思うんだけどなー」

チラチラ見てると、作業する手が格段と早くなってない?カマチョやればできるじゃん。うんうん。

あれ?マールも手伝うのー?
頑張ってるから、マールにあげちゃお。
本当は、黒糖とは違う“果物の美味しさ”とか、“バナナ自体の美味しさ”を、皆と一緒に味わって欲しかったんだけど。

これだけ甘い匂いが溢れていたら、何かが寄って来そうだよ。心配!
あ、でも柵もあるし、城塀もあるし、領地の塀もあるしね、あ、鳥に狙われたりしちゃうかな?
後で、ビニールはないから、網で囲おう。

その前にバーベキューが先だね。
ボクが考えている間にバナナはカマチョとマールによってすっかり採り終えられていた。
ちょっと2人とも、作業が早いよっ。

「マール、カマチョありがと。バナナは積み上げると良くないから吊るさなきゃいけないの、食料庫に運んで、バナナの房同士がぶつからないように吊るしてて。」

「分かりました。」
「カマチョ、まだまだあるから誰か手伝いをよこして」
「坊ちゃん、分かりましただ、運ぶっす。セバス様や手が空いてる人に手伝ってもらうです。」

倉庫に向かうカマチョを見送り、マールはボクのそばだ。まだ屋敷内だけど、万が一のことを考えてボクはまだ1人にはしてもらえない。

「マール、バナナを収穫したご褒美だよ。はい、1本あげるね」

「ありがとうございます。よろしいのですか?」

「うん、いいよ。あんなに恨めしそうにしていたら、みんなと食べて、みんなと感動して欲しいから、それまで待ってなんて言えないじゃん」

「ありがとうございます。どんなに美味しいのか、ずっと我慢するのは実は拷問に近かったので嬉しい限りです。」

「あはは、そうだったの?ごめんね。じゃ、みんなが来る前に食べちゃいなよ」

「よろしいですか?では、早速っ」

嬉しそうにしているマール。
ニコニコでバナナの皮をむいてる。
初めて食べるはずなのに、ちゃんと皮をむけるのはさっき、ボクとカマチョが食べているのを見ていたからだよね。

「ではっ」
ボクに会釈をしてくるマールにボクは頷き返す。
1口バナナを食べたマールの幸せそうな顔。
目を閉じて頷きながらお口をもぐもぐ。

「美味しい?」

聞くまでもないよね。もう、マールの目が輝き、満点の笑顔でうんうんと頷く。

そして、また1口口に運び、ゆっくり味わって咀嚼している。

「あっ」 セバスが来たよ、早っ。

「マール、美味しそうですね、パクッ」

えー、セバス、それ盗み食いじゃん。
マールは手に持っていたバナナは半分以上はまだ残っていたよ。
なのに、今は皮だけだよ、まずいよ、不味くない?

バナナを食べ終わったマールは続きをもう1口食べようとして、空振り。目を開けるとあったはずのバナナがなくて、皮だけになっていた。
そばには美味しそうに咀嚼しているセバス。

やばいよ、マールの顔が鬼の形相だよ。
セバース!

「なんです…か?これは、…凄く…甘いっ」

いや、まずいよ、セバス、やっちゃたよー

「今、ここにあったのを食べたのは、セバスかしら?」

「あっ、…あまりにも、美味しそうで…」

こわいよ、こわいよ、食べ物の恨みは怖いよ。
セバスー、ダメなやつだよ、それっ!

バチ―――ンッ!

「グホッ…」

あーあ、ほらぁ、怒らせちゃったじゃん。

「許さないからっ。しばらく話したくもありません。そして、みんなで食べるこのバナナは、あなたのものは私のもの、私のものは私のもの。いいわねっ。」

「……………えっ?」

鳩が豆鉄砲食らった顔してもダメよ、セバス。セバスが悪いからね。
ボクは見てるだけ。
夫婦喧嘩は犬も食わぬって言うからね!

「では、坊ちゃん、参りますよ」

ボクはマールに連れられて屋敷に戻る。

「ごめんなさーい」

マールのビンタって強烈!
あのセバスが今動けないんだから。
馬の格好で、右手を伸ばすセバス。

ボク助けてあげないよ、今のはセバスが悪いからねっ。
………でも、あのバナナ、また直ぐに必要になるねっ。面白くなってきた。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

【完結】令嬢憧れの騎士様に結婚を申し込まれました。でも利害一致の契約です。

稲垣桜
恋愛
「君と取引がしたい」 兄の上司である公爵家の嫡男が、私の前に座って開口一番そう告げた。 「取引……ですか?」 「ああ、私と結婚してほしい」 私の耳がおかしくなったのか、それとも幻聴だろうか…… ああ、そうだ。揶揄われているんだ。きっとそうだわ。  * * * * * * * * * * * *  青薔薇の騎士として有名なマクシミリアンから契約結婚を申し込まれた伯爵家令嬢のリディア。 最低限の役目をこなすことで自由な時間を得たリディアは、契約通り自由な生活を謳歌する。 リディアはマクシミリアンが契約結婚を申し出た理由を知っても気にしないと言い、逆にそれがマクシミリアンにとって棘のように胸に刺さり続け、ある夜会に参加してから二人の関係は変わっていく。 ※ゆる〜い設定です。 ※完結保証。 ※エブリスタでは現代テーマの作品を公開してます。興味がある方は覗いてみてください。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~

八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。 しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。 それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。 幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。 それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。 そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。 婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。 彼女の計画、それは自らが代理母となること。 だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。 こうして始まったフローラの代理母としての生活。 しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。 さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。 ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。 ※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります ※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。

玖保ひかる
恋愛
[完結] 北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。 ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。 アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。 森に捨てられてしまったのだ。 南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。 苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。 ※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。 ※完結しました。

分厚いメガネを外した令嬢は美人?

しゃーりん
恋愛
極度の近視で分厚いメガネをかけている子爵令嬢のミーシャは家族から嫌われている。 学園にも行かせてもらえず、居場所がないミーシャは教会と孤児院に通うようになる。 そこで知り合ったおじいさんと仲良くなって、話をするのが楽しみになっていた。 しかし、おじいさんが急に来なくなって心配していたところにミーシャの縁談話がきた。 会えないまま嫁いだ先にいたのは病に倒れたおじいさんで…介護要員としての縁談だった? この結婚をきっかけに、将来やりたいことを考え始める。 一人で寂しかったミーシャに、いつの間にか大切な人ができていくお話です。

『まて』をやめました【完結】

かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。 朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。 時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの? 超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌! 恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。 貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。 だから、もう縋って来ないでね。 本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます ※小説になろうさんにも、別名で載せています

処理中です...