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第1章 カイト、五歳までの軌跡
5 残念な女神様と異世界転生
ボクの質問に女神様は答えてくれなかった。
気がつくと、世界は暗闇に飲み込まれていく。
「待って、女神様、せめてあなたのお名前でも教えてください」
そう願った瞬間、目の前にまた女神様が現れた。
「ごめんなさい。私の名前はイカルダ。人々は私のことを《 イカルダの女神》と呼ぶわ。神殿もあるから祈りに来てちょうだい。それがあなたと私の唯一の連絡手段だから。あ、それと言語訳翻訳機能もつけとくわ。だから言葉には困らないでしょ!」
(んふふ、私っていい事したわ)
とまあ、そんなやり取りをしつつ、ボクは今、ママのお腹の中にいる。
羊水に浮かんでる状態だ。
何がどうしたものかと考えているうちに生まれることになったらしい。
そして――
ボクはこの世界に生まれた。
ボク、カイト·ブラウン·マーシュとして。
赤子のボクが生まれてから数時間後。
走馬灯のように前世の記憶を夢の中で再確認しながら、今、目が覚めたんだけれど、今猛烈にお腹がすいた。
そして濡れたお下が気持ち悪い。
産まれたばかりの赤子は何も出来ない、だから泣くんだ。
びぇーーっ
(お腹すいたぁーおしり洗ってー)
するとすぐドアが開く音がする。
ボクは音のする方へ顔を向けて
エッグッ、エッグッ、びぇーーっ
(早くー、ママン)
「はいはい、お坊ちゃま、お腹が空きましたか?それともお着替えでしょうか?」
この人は、ボクが生まれた日、お風呂に入れてくれた人?
あぅ、あぅ…(あなただあれ?お腹すいたぁ)
ふぇーん、んっ、うきゃー(早く、気持ち悪いよー)
「カイト様、お待たせしました。このマールがいますよ。カイトお坊ちゃまのお世話係です。まずはキレイキレイして、その後にお着替えをして、カイトお坊ちゃまのお母様にお乳を貰いに行きますよ。カイトお坊ちゃまのお母様はお貴族の中でも大変珍しく自らの手で子育てをしたいと仰るんですよ。」
「はい、キレイになりましたね。では早速お母様の所に参りましょ」
マールはボクに優しく語りかけながら素早くボクの汚物の処理をし、キレイにしてくれた。
気持ち悪さが無くなった僕はちょっとご機嫌だ。
バブーバブー!ボクはニタァーって、何となく笑ってみえるかもどうか、頬の筋肉が僅かに上がる。
ボクの顔を見たマールは
「坊っちゃんは私たちの言葉を理解しているみたいね」って優しく笑い、ボクを抱いてママの寝室に向かう。
ドアが急に開き「カイくん?どーしたのかしら?お腹すいたの?」
ボクを抱いたマールは、ずっと先のドアから顔を出すママに
「奥様、ご出産されてまだ数時間ですよ、今はお部屋でお休みくださいませ。カイト坊っちゃんはマールが奥様の傍にお連れしますよ」
「ありがとう、マール。カイくんの声が聞こえてしまって気になってついドアまで来てしまったわ。さぁ、カイくんをこちらに寄越して。」
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