塩しかない世界に転生したので、料理で無双しながら領地を発展させます

あんり

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第1章 カイト、五歳までの軌跡

7 妹の誕生と嫉妬

ボクが生まれて1ヶ月が過ぎた。

相変わらず子煩悩な両親とマールは、ボクを可愛がってくれて、たくさんの愛情を与えてくれる。

ボクの一日は
寝て、起きて、泣いて、オムツを変えてもらい、ママのおっぱいを飲んで、また寝る。

その繰り返しだ。

視界がだいぶ開けてきた。
マール以外の人も時々見かけるけど、まだよく分からない。

少しずつ覚えていけばいい。
だってボクはまだ赤ちゃんだから。

さて、今はもう寝る時間だけど、お腹の空いたボクはマールに泣いて訴える。

おぎゃー、おぎゃー、おぎゃぁー
(お腹すいたよー)

「はいはい、カイトお坊ちゃま、お母様のところにお乳を貰いに行きましょうね」

そう言ってマールは慣れた手つきでボクを抱っこして、ママの部屋へ向かう。

3時間おきに来ているから、もう道も覚えたよね。

コンコン!!

マールがドアを叩くと、すぐにママが出迎えてくれた。

「マール待っていたわ、さっ、カイくんを!」

ママは慣れた手つきで服を脱ぎ、ボクにお乳を飲ませてくれる。

ボクはお腹いっぱいになってきて、少し余裕が出来たから、ちょっとだけ周囲を見渡した。

すると―――

ママのベッドの上で、前ボタンを3つも外したシャツの隙間から、筋肉細マッチョなパパが色気ダダ漏れでボクを見ていた。

「カイト、お乳をいっぱい飲んで早く大きくなれよ!アマナのおっぱいは、本当は私のだからな!お前には貸しているだけだ」

ガハハと笑うパパ。

「もう、あなたったら」

ママは少し照れながらパパをたしなめる。

……なにこれ?

ボクは何を聞かされてるんだ。

まあ、パパとママが仲良しなのはいいことだ。
そう思っていた。

そう思っていたことが現実なんだと実感したのは―――
ボクが生後2ヶ月の頃だった。

2ヶ月を過ぎた頃から、ママのお乳ではなく、、乳母からお乳を貰うようになった。

そして生後7ヶ月。

ママが太った。

いや、太ったんじゃない。
どうやらお腹が大きくなっている。

そして――

ボクが生後11ヶ月になった頃。

屋敷のなかが、いつもより騒がしかった。

廊下を行き交う人の足音。
慌ただしい声。

マールも落ち着かない様子だ。

「カイトお坊ちゃま、今日はお部屋でお利口にしていましょうね」

どうやらママの部屋の方が騒がしい。

しばらくして――

赤ちゃんの泣き声が響いた。

「おぎゃあああああ!」

その瞬間、屋敷が歓喜に包まれた。

「奥様が無事にご出産されたぞ」

「元気な女の子だ!」

……え?

女の子?

そして、マールがボクを抱き上げて言った。

「カイトお坊ちゃま。妹がお生まれですよ。
カイトお坊ちゃまはお兄様になりました」

その日。

ボクはお兄ちゃんになった。

……まだよく分からないけど。

その時――
パパがボクの頭を優しく撫でた。

「カイト、お前は今日からお兄ちゃんだな」

いつもの豪快な声じゃなくて、
少しだけ優しい声だった。

ボクに――

妹が生まれた。

なんだ、そうか。

そーゆーことか!

ママからお乳をもらえなくなったのも、ママのお腹がどんどん大きくなっていったのも、

妹が出来たからなんだね!

 
……って。

ふたりとも仲良すぎでしょー!

オヤジ、やるな!

妹の名前はアリアーナ。

パパもママも、妹にメロメロだ。
女の子ってこともあるみたい。

ママはもちろんボクにも優しいけど、やっぱりまだ小さいアリアーナの方についていることが多い。

ちょっぴり寂しくなったボクは――

仕方なく、パパの硬い胸に抱かれて、絶賛甘え中だ。

アリアーナが寝ている時だけ、ママがボクを抱っこしてくれる。
 
大好きなママの温もり。
甘い匂い。

「カイくんは甘えん坊ね。アリちゃんが生まれて、少しママと一緒に居られなくなっちゃっから甘えちゃうのかな?」

ママは優しく微笑んだ。

「カイくんはママの大事で大切な可愛い息子よ、大好きよ」

そう言って、ボクのおでことほっぺに優しくキスをしてくれる。

……ママ、大好き。

ちなみに。

さっき、ママを取られた気分になって――

嫉妬でアリのおでこを叩いて泣かせたのは、

ママには内緒だ。

……絶対に内緒。

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