塩しかない世界に転生したので、料理で無双しながら領地を発展させます

あんり

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第1章 カイト、五歳までの軌跡

76 ライナスの最後に関わる謎の女

 遡る事数日前。
 カイチェア詐欺一味の下っ端が捕まった日。

 はっはぁはぁ、クソっ、あいつら捕まりやがった。気づかれたのはいつだ?いつバレちまった?ちっ、さっぱりわからねー。
 まずいぞ、かなりまずい。

 身を隠さねーと俺も捕まっちまうぞ。
 とりあえずは報告してってからズラかるか。


「ウーラとエドガーが捕まっちまった。」

「そう、あなたも捕まるかもねぇ」

「いや、その前にズラかる予定さ」
「なぁ、しばらく来れねーんだ、一晩付き合ってくれや」

「うーん、どうしましょう、私、あなたの事好きじゃないし、あなたがどうなろうがどうだっていいのよねぇ」

「なんだと?なんだ、その言い方。今まで俺に惚れてただろ?散々甘えた声出してよっ」

 惚れてる?なにを言ってるの?お前が私に惚れてんでしょ。ンフ、だから?使いやすかったけどもっ。

「そうね、甘えた声は出したかもね、そうしたらお前はなんでも私のいう事聞いてくれたもの、便利だったわ」

 女が男にお願いを聞いてもらうために、甘えた声出すのなんて当たり前でしょ?そんなこともわからないなんてねぇ。

「はぁ?便利だと?俺を物扱いしやがって。それにお前ってなんだ。今日こそお前を抱くからな。優しくなんかしねーぞ。」

 吠えるしか脳がないんだから。お前はお前呼ばわりでいいんだよ。敬う要素ひとつもないんだし。小太りの油ぎったおっさん、目はギョロってしていつも気持ち悪いほどニヤニヤしてさ、なーにが俺に惚れてる?なに言ってんの、お前になんかにちーっとも惚れちゃいないよ。
 こいつの子分たちが捕まったんなら、こいつも用なしね。もう要らないわ。
 ま、少し優しくしてやるわ、冥土の土産ってことね。サヨナラよ、ライナス。


「まぁまぁ、ねぇ、ライナスさん、落ち着いてっ。あの2人が捕まったって聞いて私もイライラしちゃったの。ごめんなさい。だから、貴方に冷たくしちゃったわ、許して。今、お茶淹れるから、それ飲んで落ち着いて、それからなら、ねっ」

 さっきまで怒っていたのに、私がちょっと甘えるフリするとすーぐ鼻の下伸ばしてさ、鼻の穴も膨らんじゃってさ、ニヤニヤしてさ、ほんと気持ち悪い嫌なやつ。でも~、やっと今日でサヨナラよ。

「あぁ、ならいいが次からそんな態度取るなら俺はなにするかわからねーからな、気をつけろっ」

「わかったわ、さぁ、これ飲んで。熱いから気をつけてね」

 ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ  ウッ。

「お‥‥ぃ、お茶になに入れやがった‥うぐっ」

 バタっ。

 最後までバカね、ライナス。
 さっ、おしまい。ライナスの死因は、子分が捕まった、自分も捕まるかもしれん。捕まる前に口を閉じました。
 とまぁ、そんな筋書きでいいわよね?
 こんなミスをして良いといいの?だめよねぇ、ミスするからこんな事になるの。
 さ、私は行くわ。サヨナラ、ライナス。

 静かに開かれるドア。
 街角にある小さな小屋ほどの家。
 静けさの中に軽やかな女の足取りがあり、先にある馬車のドアに身を潜め、女を乗せた馬車もまた闇に紛れるように消えていった。
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