ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

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第一章 戦士達の集結

第七話 戦いの始まり

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 ベクトルの姿に皆が驚いてざわつきを隠せない中、トラマツとノースマンがすぐにリングに上がる。
 彼等は真剣な表情をしていて、ベクトルに対して警戒をしているのも無理はない。

「まさかベクトルが来るとはな。どういうつもりだ?」
「まずはこれを見てもらおう」

 するとスクリーンに映像が流され、アークスレイヤーの皇帝であるザルバッグが姿を現す。
 スクリーンからしてもカリスマ性のオーラが溢れているのは勿論、観客達はざわつきながらもスクリーンに視線を移し始める。

『この世界の皆様、ご機嫌よう。私がアークスレイヤーの皇帝ザルバッグだ』
(こいつがザルバッグ……見た目だけでも手強そうだな……)

 ザルバッグの姿を見た零夜は、思わず心の中で息を呑んでしまい、顔には冷や汗も流れている。
 今、戦えば返り討ちに遭うのは確定の上、会うだけで倒れそうになるのも時間の問題と言えるだろう。

『なお、これはこの世界全てに配信されているので、よく聞いておく様に』
「電波ジャックか!何が目的だ!?」
『簡潔に言えばこの世界を我々アークスレイヤーが支配する事だ。既に他の世界は陥落している』

 すると映像が切り替わり、破壊された街、多くの死人、アークスレイヤーの旗が映されていた。
 零夜達は事前にメディアからの映像で見ていたので覚えているが、この有り様を何度見ても気分が悪くなってしまうのも無理もないだろう。

「なんて有り様だ……これ、全てアークスレイヤーがやったのか!?」
「ええ。抵抗した者は次々とやられてしまい、男性は処刑、女性は奴隷として扱われています」

 観客達の驚きの声にベクトルが冷静な表情で普通に答える。
 その内容を聞いた観客達はガタガタと恐怖で怯えてしまい、誰も声を発せなくなってしまう。

『どんな国が相手でも、我々の強さには敵うまい。だが……選ばれし8人となれば別だがな……まあ、猶予については1年間を与えるとしよう。それまでお前達がどう動くかだな……』

 映像が切られたと同時に、会場が不安な表情をしたままざわついてしまう。この世界がどうなってしまうのか不安であり、すぐにでも神に祈る人達がいるのも少なくない。
 そんな中、ベクトルは真剣な表情をしながらすぐに観客達の方を向く。

「今回ここに来たのは、選ばれし戦士達がこの中にいる事が明らかになった。その4人を倒す為に我々は来たのだよ」
「その4人って誰なんだ?」

 観客達がベクトルの宣言を疑問に思いながらざわつく中、彼はすぐ天井を指差して目を見開く。


東零夜あずまれいや春川はるかわミミ、藍原倫子あいはらりんこ国重くにしげヒカリだ!」


 ベクトルが宣言した直後、会場内はどよめきを隠せないまま零夜達に注目する。
 呼ばれてしまったミミ達はキョロキョロ見回しながら慌ててしまうが、零夜だけは冷静な表情をしながらため息をつく。

「やはりか……呼ばれるのも無理ないな……」

 零夜はすぐに真剣な表情をしながらリングに上がり、そのままベクトルと対峙しながら睨みつける。
 その様子を見たミミ達も急いでリングへと上がり、すぐに彼の傍に移動し始める。

「狙いは最初から俺達という事か。観客達に被害を与えるのなら容赦はしない!」

 零夜の怒りの睨みにミミ達も強く頷きながら同意し、すぐにでも戦おうと身構え始める。
 その様子を見ていたトラマツは冷静な表情をしながら彼等に近付き始める。

「まさかこの展開で初めての戦闘になるとは驚いたな……それなら……このバングルを受け取れ!」

 トラマツは自身の荷物である特殊バッグを取り出し、中を開いて目的の物を探し始める。
 このバッグは様々な空間とつながっている為、いろんな道具を取り出せる。食べ物やキャンプ道具、さらには武器やマジカルアイテムも含まれているのだ。
 そこから四個のバングルを取り出して上に向けて投げた途端、バングルは零夜達の元に移動しながら彼等の手首に自動装着される。
 この光景に零夜達は驚きを隠せず、目をパチクリさせてしまった。

「このバングルこそマジカルバングルだ。まだまだこれからだよ」

 更に零夜達はバングルから発光される光に包まれ、適性の姿の衣装と変化する。
 それは零夜達が夢の中にいた時の衣装と同じで、零夜は忍者服、ミミはブラシャツとオーバーオール、倫子はジャンプスーツ、ヒカリは裸オーバーオールという服装だ。

「服が変わった!」
「まさかこんな服になるなんて……」
「もしかすると、これが私達の本来の姿なのかな?」
「きっとそうかもね。でも、この服もとても似合うかな?」

 ヒカリが自身の服を見ながら照れ臭そうにしていて、ミミと倫子も同様に頷いていた。しかし、彼女達の衣装が変わった事に観客達は驚きを隠せず、ざわつくのも無理はない。
 何かのマジックじゃないかとか、どんな仕組みになっているのかとか、皆は不思議そうな表情をしながらざわついているのだ。

「いくらなんでもやり過ぎじゃないか?」
「そうかもね……あとは武器も用意しておかないと」
 
 零夜が唖然とした表情でトラマツに質問し、彼は苦笑いしながらも引き続き特殊バッグの中から武器を取り出し始める。
 すると、バッグの中から忍者刀などの忍者セット、リングブレード、剣と盾が姿を現して、宙に浮かびながらそれぞれの所有者に自動装着される。
 零夜は忍者セット、ミミはリングブレード、ヒカリは剣と盾が自動的に武器として装着されたのだ。

「忍者セットか。忍者としてはこの武器は必須だからな!」

 零夜は笑顔を見せつつ、すぐに忍者刀を背中に掛けて手裏剣を忍者服の懐にしまう。
 心の中では自身が忍者になっている事が嬉しさでいっぱいになっているが、すぐに気を切り替えて戦闘態勢に入ろうとしていた。

「リングブレードね。この武器の方が上手く扱えるかも知れないわ」

 ミミはリングブレードを受け取って扱いやすさを感じつつ、嬉しそうな表情を浮かべていた。

「剣と盾ね。私にピッタリの武器かも!」

 ヒカリは笑顔を見せながら武器を構えていたその時、倫子が頬を膨らましながら嫉妬の表情でトラマツに視線を移す。

「ウチのがないんやけど……」
「ああ。倫子はプロレス技を駆使しているので武器はいらないが、格闘技の取得を覚える必要がある。そこでこれを授けよう」

 トラマツはゴソゴソと特殊バッグの中から巻物を取り出し、それを倫子に手渡す。

「これは?」
「格闘技を覚える巻物だ。これを読めばすぐ取得可能だ」
「よし!」

 トラマツの説明に倫子が納得の表情で応え、すぐに巻物を読み始める。すると読む毎に次々と技が頭の中に入り始め、わずか数分で取得する事ができた。
 
「取得完了!色んな技も覚えとるで!」
「よし!これで戦える事ができるな」

 倫子の笑顔のVサインに、零夜はグッドサインをしながらウインクで返す。この様子にミミとヒカリは微笑みを見せた。

「私に逆らうと言うのなら……相手になってあげよう。出て来い、部下達よ!奴等を倒せ!」

 ベクトルの合図で天井からワープゲートが姿を現し、黒い戦闘服を着た男達が一斉に姿を現す。
 しかも、彼等は顔を仮面で隠している為、表情がよく分からない。

「彼等はアークスレイヤー戦闘員!油断は禁物だ!」
「ここが私達の初戦闘か……まあ、やるからには気を引き締めないとね!」

 ヒカリの笑顔と同時に、全員が真剣な表情で戦闘態勢に入り始め、ベクトル達を倒そうと意気込みを入れる。
 そのまま次の瞬間、戦いのゴングが始まりを告げられたのだった。
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