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第五章 ハルバータの姫君
第百五十五話 本当の継承者
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零夜達はボリスからの話を聞く事になり、彼の話を真剣に聞き始めた。今から話す事はかなり重要と言えるので、見過ごす理由にはいかないだろう。
「では、この国の事について説明しよう。まず、我々ヴァルムントは国民を守る事は勿論、誰も犠牲者を出さずに戦うのが信条である。全員が生きて帰る信念を持つからこそ、今の我々がいるのだ」
ボリスはこの国の信条を説明し、零夜達は興味深く話を聞いていた。
この国には平和を守り続ける信条があると知り、誰も犠牲を出さずに戦う姿勢は理にかなっていると感じるのだった。
この話を聞いた零夜とルリカはその信条に感心していた。
「素晴らしい理念ですね」
「ええ。見事だと思います!」
ボリスは誇り高き民族で、誰もが生き残ろうとする気持ちを持っている事を知り、二人はそれを良いものだと思っているようだった。すると倫子がメルトが連行されていた事を思い出し、ボリスに質問する。
「じゃあ、メルトが連行されたのは……この国の理念を彼は認識していなかったのですか?」
倫子からの質問にボリスはコクリと頷きながら、深刻な表情をしていた。メルトがここまで理念を認識していなかった以上、この様な結末になっていたのである。
「そうだ。メルトだけでなく、ハインもこの国の理念を忘れていた……いや、忘れていたと言うよりは放棄していたに違いない」
「放棄していたって……まさか、彼等は自ら王位を手に入れる事に夢中になっていたのですか!?」
倫子はメルトとハインがこの国の理念を忘れていた事に気付き、彼等が自らの王位に執着していたと判断する。その質問にボリスは深く頷くしかなく、真剣な表情をするしかなかった。
「その通りだ。彼等は本当に愚か者としか言えないだろう……」
ボリスは俯きながらも、この国の現状を静かに語り始める。
この国は平和を求め続ける信念があり、国民を守ると言う強い意志を持ちながら戦っていた。ハインとメルトも当初はその信念を大事にしていたが、変わっていたのは彼等が選ばれし戦士達を授けていた時だった。
ハインは自らの能力に絶対なる自信を持っており、国を守ると言う意志を軽視していた。それと同時に自らエリートだという事を認識し、シルバーウルフと共に新たな革命を起こそうとしていた。
メルトは落ちこぼれでも何でもできる事を信念にしていた。文学や訓練に励むだけでなく、民の為に何をすべきかも考えていた。しかし、平和を求める事は考えておらず、この国の誇示を念入りに考えていたのだ。
それによって彼等が王位継承に夢中になってしまい、今の様になってしまうのも無理なかった。
「そんな……それではこの国にいる意味がないじゃないですか!」
倫子は彼等が国の理念すらも忘れていた事に絶望しており、この国の存在意義にも疑問を持ち始めていた。
「国の存在意義か……確かにそうかも知れないな」
ボリスは倫子の意見に同意し、そのままアメリアに視線を移す。彼女は頷いたと同時に前に出て、そのまま一礼をする。
「わしとしては王位を継ぐのはアメリアだと信じている。彼女はこの国の信念を第一に考え、誰も死なせずにどうすれば平和になるのかを考えていたからな」
ボリスはアメリアに視線を合わせ、彼女の頑張りを認めながら、王位継承する事を勧める。確かにアメリアは文学更にはこの国の資源などの事も念入りに勉強しているし、民衆からの支持も厚い。まさに王としては相応しいと感じている。
「私ですか?ですが、父上。私は王位第三継承者でありますし、その上にはハインお兄様がいます。私も王位を狙う者としては考えておりますが、お兄様を差し置いていきなり王になるなど……」
アメリアはボリスに自分が王位を継ぐ事について疑問を持ち、更にはハインが王位を継承するべきだと反論する。
確かにアメリアの言っている事は間違っておらず、ハインとメルトも王位継承者である。その二人を差し置き、自分が王位を継ぐのはおかしいと感じていたのだ。
だがボリスはそれでも彼女を王として認めており、倫子達にも視線を移す。
「わしとしてはアメリアこそ王位に相応しいと思う。皆の意見はどう思うかね?」
ボリスからの質問に倫子は前に出たと同時に、彼女はアメリアの両肩に両手を置いた。その様子だと彼女を信じている証拠だろう。
「アメリアちゃん。自分に自信を持って。それにあなたは私達の前で王になると決意したじゃない。あの時の約束は忘れていたの?」
「あ……」
倫子からの優しい質問に、アメリアは顔を赤くしながら忘れていた事に気付く。確かにこの件に関しては、倫子達にとっても重要な事であり、ここで立ち止まっていたら先に進めないからだ。同時にアークスレイヤーを終わらせる決意も、全てが水の泡になってしまう。
それすら気付けなかったアメリアはすまなさそうな表情をしていて、倫子達に視線を移して一礼しながら謝罪する。
「すみません。私が弱気になっていました。ですが、あなた達とならどんな困難でも乗り越えますし、必ずや王になってみせます!この国を守るだけでなく、平和なハルバータが永久に続く為にも!」
「そうこなくっちゃ!だったら皆で力を合わせてやりましょう!」
「はい!」
アメリアの決意に倫子も笑顔で同意し、零夜達も元気を分け与えるかのように笑顔になっていた。そのまま彼女達の決意が固まった所で、ボリスは改めてアメリアに王になるよう促す。
「ではアメリアよ。改めて聞くが、本当に王になる覚悟はあるか?」
ボリスからの問いにアメリアは深く頷き、そのまま一礼しながら答える。その答えには迷いがなく、まさに凛としていた。
「はい!信念を守りつつ、必ず王になります!そして……アルメリアスの紋章を必ず手に入れてみせましょう!」
アメリアの決意にボリスは感心の表情をしていて、顔には笑顔も宿っていた。自身の娘がここまで成長してくれた事に驚きを隠せず、感動してしまうのも無理ないだろう。
「なら、アルメリアスの紋章を手に入れる事を信じているぞ。では、そのままマギアスについても説明するか……」
ボリスはそのままマギアスについても説明し、零夜達がメモを取ろうとしたその時だった。
「その件については異議あります!」
「この声は……!」
アメリアが声のした方に視線を移すと、なんとハインが王の間に突如姿を現したのだ。その後ろにはシルバーファングの面々もいて、零夜達は彼等の姿に真剣な表情をしていた。
「ハインお兄様!」
「まさかお前が帰っていたとはな……少しばかり話をしないとな」
ハインは真剣な表情でアメリアを睨みつけ、彼女は思わずゴクリと息を呑んでしまった。
「では、この国の事について説明しよう。まず、我々ヴァルムントは国民を守る事は勿論、誰も犠牲者を出さずに戦うのが信条である。全員が生きて帰る信念を持つからこそ、今の我々がいるのだ」
ボリスはこの国の信条を説明し、零夜達は興味深く話を聞いていた。
この国には平和を守り続ける信条があると知り、誰も犠牲を出さずに戦う姿勢は理にかなっていると感じるのだった。
この話を聞いた零夜とルリカはその信条に感心していた。
「素晴らしい理念ですね」
「ええ。見事だと思います!」
ボリスは誇り高き民族で、誰もが生き残ろうとする気持ちを持っている事を知り、二人はそれを良いものだと思っているようだった。すると倫子がメルトが連行されていた事を思い出し、ボリスに質問する。
「じゃあ、メルトが連行されたのは……この国の理念を彼は認識していなかったのですか?」
倫子からの質問にボリスはコクリと頷きながら、深刻な表情をしていた。メルトがここまで理念を認識していなかった以上、この様な結末になっていたのである。
「そうだ。メルトだけでなく、ハインもこの国の理念を忘れていた……いや、忘れていたと言うよりは放棄していたに違いない」
「放棄していたって……まさか、彼等は自ら王位を手に入れる事に夢中になっていたのですか!?」
倫子はメルトとハインがこの国の理念を忘れていた事に気付き、彼等が自らの王位に執着していたと判断する。その質問にボリスは深く頷くしかなく、真剣な表情をするしかなかった。
「その通りだ。彼等は本当に愚か者としか言えないだろう……」
ボリスは俯きながらも、この国の現状を静かに語り始める。
この国は平和を求め続ける信念があり、国民を守ると言う強い意志を持ちながら戦っていた。ハインとメルトも当初はその信念を大事にしていたが、変わっていたのは彼等が選ばれし戦士達を授けていた時だった。
ハインは自らの能力に絶対なる自信を持っており、国を守ると言う意志を軽視していた。それと同時に自らエリートだという事を認識し、シルバーウルフと共に新たな革命を起こそうとしていた。
メルトは落ちこぼれでも何でもできる事を信念にしていた。文学や訓練に励むだけでなく、民の為に何をすべきかも考えていた。しかし、平和を求める事は考えておらず、この国の誇示を念入りに考えていたのだ。
それによって彼等が王位継承に夢中になってしまい、今の様になってしまうのも無理なかった。
「そんな……それではこの国にいる意味がないじゃないですか!」
倫子は彼等が国の理念すらも忘れていた事に絶望しており、この国の存在意義にも疑問を持ち始めていた。
「国の存在意義か……確かにそうかも知れないな」
ボリスは倫子の意見に同意し、そのままアメリアに視線を移す。彼女は頷いたと同時に前に出て、そのまま一礼をする。
「わしとしては王位を継ぐのはアメリアだと信じている。彼女はこの国の信念を第一に考え、誰も死なせずにどうすれば平和になるのかを考えていたからな」
ボリスはアメリアに視線を合わせ、彼女の頑張りを認めながら、王位継承する事を勧める。確かにアメリアは文学更にはこの国の資源などの事も念入りに勉強しているし、民衆からの支持も厚い。まさに王としては相応しいと感じている。
「私ですか?ですが、父上。私は王位第三継承者でありますし、その上にはハインお兄様がいます。私も王位を狙う者としては考えておりますが、お兄様を差し置いていきなり王になるなど……」
アメリアはボリスに自分が王位を継ぐ事について疑問を持ち、更にはハインが王位を継承するべきだと反論する。
確かにアメリアの言っている事は間違っておらず、ハインとメルトも王位継承者である。その二人を差し置き、自分が王位を継ぐのはおかしいと感じていたのだ。
だがボリスはそれでも彼女を王として認めており、倫子達にも視線を移す。
「わしとしてはアメリアこそ王位に相応しいと思う。皆の意見はどう思うかね?」
ボリスからの質問に倫子は前に出たと同時に、彼女はアメリアの両肩に両手を置いた。その様子だと彼女を信じている証拠だろう。
「アメリアちゃん。自分に自信を持って。それにあなたは私達の前で王になると決意したじゃない。あの時の約束は忘れていたの?」
「あ……」
倫子からの優しい質問に、アメリアは顔を赤くしながら忘れていた事に気付く。確かにこの件に関しては、倫子達にとっても重要な事であり、ここで立ち止まっていたら先に進めないからだ。同時にアークスレイヤーを終わらせる決意も、全てが水の泡になってしまう。
それすら気付けなかったアメリアはすまなさそうな表情をしていて、倫子達に視線を移して一礼しながら謝罪する。
「すみません。私が弱気になっていました。ですが、あなた達とならどんな困難でも乗り越えますし、必ずや王になってみせます!この国を守るだけでなく、平和なハルバータが永久に続く為にも!」
「そうこなくっちゃ!だったら皆で力を合わせてやりましょう!」
「はい!」
アメリアの決意に倫子も笑顔で同意し、零夜達も元気を分け与えるかのように笑顔になっていた。そのまま彼女達の決意が固まった所で、ボリスは改めてアメリアに王になるよう促す。
「ではアメリアよ。改めて聞くが、本当に王になる覚悟はあるか?」
ボリスからの問いにアメリアは深く頷き、そのまま一礼しながら答える。その答えには迷いがなく、まさに凛としていた。
「はい!信念を守りつつ、必ず王になります!そして……アルメリアスの紋章を必ず手に入れてみせましょう!」
アメリアの決意にボリスは感心の表情をしていて、顔には笑顔も宿っていた。自身の娘がここまで成長してくれた事に驚きを隠せず、感動してしまうのも無理ないだろう。
「なら、アルメリアスの紋章を手に入れる事を信じているぞ。では、そのままマギアスについても説明するか……」
ボリスはそのままマギアスについても説明し、零夜達がメモを取ろうとしたその時だった。
「その件については異議あります!」
「この声は……!」
アメリアが声のした方に視線を移すと、なんとハインが王の間に突如姿を現したのだ。その後ろにはシルバーファングの面々もいて、零夜達は彼等の姿に真剣な表情をしていた。
「ハインお兄様!」
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