ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

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第六章 山口観光騒動記

第百八十九話 健康パークの怪人騒動

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 零夜達は岩国を旅立ち、電車で下松に向かっていた。次の目的地は健康パークだが、そこは天然温泉とプールがある。しかもレジャープールなので、家族連れが多いだろう。

「今は平日だから、人が少ない。けど、今は夏休みだから子供が多いだろうな……」

 零夜の呟きにヒカリ達も同意する。今は夏休みなので子供達がプールに行って遊ぶ事が多く、騒がしくて大変な事になるだろう。おまけにミミ、倫子、ヒカリ、日和は有名人。エヴァ達も人気があるので子供達が寄ってくる可能性があるのだ。

「まあ、しょうがないわよ。これもファンサービスと思って考えた方がいいわ」
「そうそう。たまにはこういう事もしないとね」

 ミミと日和の意見に皆も同意する。彼女達は子供の面倒を見るのが得意である為、この様な事は慣れている。其の為、子供達から凄く人気があるのだ。

「兩人には敵わないな……まあ、下松に着いたらすぐ健康パークに行こう!」
「「「はーい!」」」

 零夜の合図にミミ達は返事をしながら応え、電車はそのまま下松へと進んで行く。しかし、その先でハプニングがある事をまだ知らなかった。



 下松駅に着いた零夜達は、歩きながら健康パークへと向かい出す。タクシーで五分掛かる為、歩きならその二倍掛かるのだ。

「十分ぐらいなら大丈夫だけど、健康パークに着いたらプールと温泉を楽しまないと!」
「そうね。レジャープールは人気があるから静かにできないけど、温泉ならゆっくりと入れるわね」
「じゃあ、まずはプールに入ってから、温泉に行きましょう!」

 コーネリア、マリー、ヒカリの意見に皆が頷く中、ジェニーの耳が反応して違和感を覚え始める。どうやら行き先である健康パークに何かあったのだろう。

「どうしたの、ジェニー?何かあった?」

 ヒカリが気になる表情でジェニーの顔を見ると、彼女は真剣な表情をしていた。この様子だと何かあったのは確かと言えるだろう。

「健康パークですが……人の気配がしません……」
「「「えっ?」」」

 ジェニーの推測に皆が疑問に感じる中、アミリスは千里眼で行き先方向をまっすぐに見つめる。すると異様な気配を感知し、すぐに全員の方を向いてきた。

「どうやら健康パークで何かあったわ!只事では無いし、すぐに急ぎましょう!」
「分かったわ!すぐに急がないと!」

 アミリスからの報告にマーリン達は頷き、彼女達は急いで健康パークへと向かい出した。もしかするとデビルキラーズの刺客である可能性もある為、戦う事になるのは確定と言えるだろう。



 零夜達が健康パークに辿り着くと、駐車場の車の数はガラガラであまりなかった。しかも、お客が一人もいないのだ。

「お客さんがいない!?」
「どういう事!?」
「普通なら人が沢山いる筈なのに……一体何があったのかしら……」

 倫子達が呆然とする中、健康パークの支配人の男が姿を現した。彼の名は鶴松潔。健康第一の男でツルッパゲが特徴である。

「おお!選ばれし戦士達ですか!」
「あなたは?」
「健康パークの支配人の鶴松潔です。実は昨日、謎の刺客がレジャープールに現れてしまい、お客が恐怖で次々と逃げ出しました!そのおかげでお客はすっかり来なくなってしまい、この健康パークは奴によって占拠されました……」
「「「ええっ!?」」」

 鶴松は事情を説明した直後、項垂れながら涙を流してしまう。楽しい健康パークなのに、刺客のせいで全てとんでもない事になってしまった。このままだと倒産するのも時間の問題で、どうすれば良いか分からないのだ。
 その様子を見たマーリンは鶴松に近付き、優しく声をかけ始める。

「大丈夫です!ここは私達に任せてください!必ず刺客を倒してみせましょう!」
「おお!戦士達、お願いします!ウチの施設を取り戻してください!」
「「「了解!」」」

 マーリンの笑顔に鶴松は彼女の手を取りながら、健康パークを取り戻して欲しいと頼み込む。それに零夜達も了承し、彼等は健康パークへと突入を開始し始めた。



 健康パークの中に入った零夜達は、刺客がいるプールレジャーへと向かう事に。彼は先に水着に着替え終えていて、ミミ達の合流を待っていた。因みに零夜の水着はボクサーパンツスタイルだ。

「彼奴等が水着に着替えるとしても、ビキニかスクール水着だろうな……いや、何考えているんだ俺は……」

 零夜が呟きながら推測したその時、ミミ達が一斉に姿を現した。

「お待たせ!」
「おっ、来たか……な!?」

 零夜が後ろを振り向くと、なんとミミ達はオーバーオールスタイルの全身水着を着ていたのだ。ロベリアの娼館の時とは違うが、デニム生地の肩紐オーバーオール風になっていた。しかも普通のオーバーオールとは違い、身体の横部分にもデニム水着の生地が精製されているのだ。
 おまけに水に濡れても安心な素材である為、ミミ達はすっかり気に入っているのも無理はないだろう。

「その水着……オーバーオールに似ているが、気に入ったのか?」
「うん。お気に入りだから」

 零夜はポカンとしながらミミ達に質問し、彼女達はコクリと頷く。彼はビキニかと思っていたが、まさかこの水着で来るとは想定外だっただろう。だが、こうする事で水着が脱がされる心配も無いし、むしろその選択は正しいと言えるだろう。

「取り敢えずは準備運動してから、プールに入りましょう」
「そうだな……(まあ、この水着なら安心だけど、逆に俺が顔真っ赤になりそうかもな……)」

 倫子の提案に零夜も同意するが、心の中では複雑な思いを抱いていた。彼はいつもミミ達に身体を抱き寄せられている為、その苦労は絶えない。おまけにデニムオーバーオールやサスペンダージーンズを着ている為、それによって顔真っ赤で倒れる事もある。最近では倒れる事は無いみたいだが、再び倒れるかどうか不明である。
 そのまま全員が準備体操に入り、ストレッチや柔軟体操を中心に行っていた。念入りに準備体操を終えた後、身体に水をかけて入り始める。こうする事で水没事故を防ぐ事ができるのだ。

「後は奴が来るだけだが、その行方は分かるか?」
「探してみるわ」

 ソニアの質問を聞いたアミリスは、千里眼で刺客の行方を探し始める。すると敵の位置がすぐに判明し、そのまま真剣な表情で皆に視線を移す。

「敵が来るわ!戦闘態勢に入って!」

 アミリスの合図で全員が戦闘態勢に入った直後、水の中から怪人が姿を現した。頭にカッパのお皿を着けていて、身体は人間で赤褌を着用していたのだ。しかもその顔は中年のおっさんで、身体はデブである。

「こいつが刺客なのか!何者だ!」
「俺は仕事人の一人、水着取りの川松。縄張りに入った奴等は成敗する!」

 川松は自己紹介をしたと同時に、プールサイドに着地して戦闘態勢に入る。ウインドウが同時に出現し、川松のデータが映し出された。

水着取りの川松
プールや温泉などを縄張りとしていて、中に入った奴等から水着を奪い取る危険人物。性別関係なく奪い取るが、男は捨てて女は取っておく変態である。

「水着取りの仕事人って何だ!間違いなく変態じゃねーか!」

 零夜のツッコミが響き渡り、それにミミ達も呆然とする。まさか次の刺客が変態だとは思ってもいなかっただろう。

「俺はお前等が来る事を予測して、事前にここを支配していたからな!さあ、覚悟しろ!」
「そうはさせない!はっ!」
「あがっ!」

 川松は零夜達に勢いよく襲い掛かるが、彼の背後から日和が接近し、頭のお皿をガントレットのパンチで叩き割ってしまった。カッパの皿は割れてしまうと死んでしまうので、当然川松にも絶命大ダメージだ。

「俺の皿が……ガハ……」

 川松は血を吐きながら絶命し、煙がボワンと出てしまう。煙が消えた直後、そこにいたのは川松ではなく、カッパのぬいぐるみだった。それこそ川松の正体である。

「弱点をすぐに見つけたけど、呆気なかったとしか言いようがなかったね……」
「「「ああ、納得……」」」

 日和は苦笑いしながらカッパのぬいぐるみを持ち上げていて、それに皆は唖然としながらも同意する。二人目の刺客は無事に倒せたが、あまりの弱さに唖然とするのも無理なかった。
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