ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

文字の大きさ
192 / 277
第六章 山口観光騒動記

第百九十話 健康パークでリフレッシュ

しおりを挟む
 刺客である川松が死んだ事で、健康パークは難なく開放する事が出来た。それを聞いた鶴松は大喜びで、マーリンの手を取りながら涙を流していた。

「ありがとうございます!本当に助かりました!なんとお礼を言っていいか……」
「いえいえ。大した事じゃないですし、倒したのは日和ですから」

 マーリンは苦笑いしながら日和に視線を移し、彼女はペコリと頭を下げながら一礼。日和が素早く動いたからこそ、ダメージを受けずに早く倒す事ができたのだ。今回の戦いの功労者は、日和で間違いないだろう。

「今、スタッフさん達が再び開業できる事を伝えていますが、再開できるのは明日となりそうです。今日はあなた達の貸し切りなので、思いっきり楽しんでください!」
「「「やったー!」」」
(まさか貸し切りとはな……まあ、いいか)

 潔からのお礼にミミ達は喜んでいて、零夜は苦笑いをしながらもそのお礼を受け入れる事にした。
 川松のせいで入れないお客の事を考えたら、少し悪い思いをしたと感じてしまう。だが、お客の安全の事を考えたら、適度な判断と言えるしかない。零夜はそれを心に受け入れたと同時に、そのままプールに遊びに向かい出した。



「「「イヤッホーイ!」」」

 ミミ、キララ、コーネリア、ソニア、杏の五人はウォータースライダーを滑りながら、笑顔で精一杯楽しんでいた。流れるスピードもスリルがあって調子が良く、お客もいないので迷惑をかける事もないのだ。

「もう少しよ。頑張って!」
「うん!」
「まだやれる?」
「勿論!」

 アミリスとマーリンは倫子と日和に泳ぎを指導していて、今ではバタ足が上手くなっている。このまま行けば自由形であるクロールの泳ぎ方も、自力で出来るようになるだろう。

「楽ちん楽ちん」
「のんびりできるわね」
「こんなプールもあるのですね」
「昼寝したくなるわね」

 ヒカリ、美津代、ジャンヌ、マリーは流れるプールでのんびりしていた。泳がなくても楽なので、彼女達はその方が適任だろう。

「私達は普通に泳げるわね」
「ええ!」
「負けませんよ!」

 エヴァ、ルリカ、ジェニーは普通のプールで泳ぎながら、充実した運動を満喫している。彼女達は基本運動系なので、泳ぐ事も得意なのだ。

(皆、リフレッシュできて楽しんでいるな……)

 零夜はこの様子を見ながら、滝の出るプールで滝行をしていた。忍者は精神力を鍛えるのが主であり、滝行もその内の一つに入る。彼は真っ先にここに来たのは言うまでも無いだろう。

(やっぱり俺はこの方が似合うかもな)

 零夜は心から思いながら滝行を続けている中、エヴァが隣に移動してきた。泳ぎを満喫したので次に行こうとしたその時、零夜の姿を見て滝行しようと決めたのだ。

「隣良いかな?」
「別に良いけど……」

 エヴァは零夜の隣に移動し、彼と共に滝行を開始する。滝の強さは普通位となっているが、エヴァにとっては問題ないだろう。

「零夜はヒーローアイランドでも滝行をしていると聞いたけど、あれ毎日しているの?」

 エヴァは前から気になる事を、零夜に質問してきた。ヒーローアイランドに住む様になってから、毎朝一番に滝行をしている事を目撃している。普通なら一ヶ月ぐらいだが、毎日やるのは異常過ぎるだろう。

「ああ。忍者は精神力が必要だからな。だからこそ、滝行は日課となっている。エヴァも毎日やれば良いのに」
「いや、流石に勘弁かな……」

 零夜は説明したと同時にエヴァにも勧めるが、彼女は苦笑いしながら拒否する。毎日滝行なんかしたら風邪をひく事もあり得るので、あまりしたくない気持ちが強いと言えるだろう。
 その様子を見たルリカとジェニーも滝行に参加し、滝に打たれながら精神を鍛え始める。ルリカは零夜のやる事に興味を示し、ジェニーは武術家としての意地があるので参加し始めたのだ。

「零夜様、滝行が終わったら温泉に入りましょう。ここは天然温泉で疲れも癒されますよ」
「そうだな。終わり次第皆で入るとするか!」
「「「賛成!」」」

 ルリカが健康パークの温泉について説明し、零夜は皆で入る事を提案。それに彼女達も同意して、滝行が終わったと同時に温泉に入る事になったのだ。



 プールから温泉に移動した零夜達は、男女別に分かれて温泉を楽しんでいた。展望風呂、水素風呂、トロン湯、泡風呂、露天風呂、サウナがあり、皆はそれぞれの風呂に入って疲れを癒していた。

「下松にこんな温泉があるなんて驚いたわね」
「ええ。零夜君が紹介した温泉、気持ちいいです~」

 倫子と日和は温泉を満喫していて、他の皆もゆっくりと湯船に浸かりながら満喫していた。下松では健康パークを選んで大正解だと言えるし、また行きたくなる気持ちも強くなるだろう。

「上がったらお昼はここで食べましょう。メニューも豊富と聞いているわ」
「そうね。今はハワイアン料理があるけど、気に入った物を注文して食べましょう」
「「「はーい!」」」

 ミミの提案に倫子も頷き、メニューについては気に入った物を頼んで食べる事を提案。それにエヴァ達も返事をしながら同意している中、零夜は一人で露天風呂に入っていた。

「ふぃー……癒やされるぜ……」

 零夜はゆっくりと湯船に浸かりながら疲れを癒し、外の景色に視線を移していた。穏やかな風が彼に当たっている為、丁度いい温度で気持ち良さを感じていたのだ。



 その後、お昼は皆でそれぞれの料理を注文。ハワイアンプレート、ロコモコ丼、エビマヨ丼定食、カレー、さばの味噌煮定食、味噌カツ丼、天ぷらざる蕎麦、おにぎり、ポテト、たこ焼きなどを注文し、皆でシェアしながら食べまくっていた。

「美味しい、このハワイアンプレートの料理!」
「ロコモコ丼も美味いな!」
「はい、たこ焼き」
「ありがとうございます!」

 皆が仲良く料理を食べていたその時、彼等の目の前にスタンプカードが光りながら姿を現したのだ。

「あっ、このパターン……」

 ジェニーが推測したその時、スタンプが自動的に映し出されていく。これで下松と光エリアもクリアし、残るエリアはあと五つとなったのだ。

「下松は健康パークでクリアみたいだな。後は周南、防府、萩と阿東徳佐、山口、宇部と下関の五つだ」
「刺客達もまだいるし、油断は出来ない。その時は精一杯立ち向かわないとな!」

 ソニアと杏の意見に全員が頷く中、ヒカリが店員に視線を移しながら声を掛けていた。

「すいません!ホットケーキお願いします!」
「はーい!」
「「「ららーっ!」」」
(まだ食べるのかよ……)

 ヒカリがホットケーキを注文した事で、その場にいた零夜達がずっこけるのも無理ない。何はともあれ、下松と光はクリアしたのだった。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...