昆虫採集部の伊山くん

nandemoarisa

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伊山くんとの遭遇

会話

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 校庭近くの水道に着くと、地面に虫かごを置いた。

 伊山くんは、すぐにポケットからスマホを取り出した。

「助かった、ありがとう。今日は俺一人だったから。」

「どういたしまして。そうなんだ。部員って何人いるの?」

「3人。最低3人いないと部として承認されないんで。1人はあんまり来ないけど。」

 そう言って、「ん。」とLINEのQRコードを差し出してきた。

「あ、うん。」
 自分のスマホで彼のQRコードを読み取る。微かに手が震える。

(伊山くんの連絡先ゲットだ~~~~~!!)

「この間の写真、送っといて。」
 そう言って虫かごを洗うためにしゃがみ込んだ。

「はーい。」
 生返事をしながら、どうやったらここに居座り続けられるか考える。

「あとさ、あれ。」

「ん?」

 しゃがんだ足に肘をつき、頬杖をついて、いたずらっぽく笑ってこちらを見上げてくる。

(んあ~~~~!可愛い~~~!!写真撮りたすぎる~~~!!!)

「俺の写真も送ってよ。見たい。」

「……。」

 伊予は一瞬ぽかんとした。脳内で超高速処理。

(……あ! あの時のか!)

 すでに伊山くんの写真を撮りすぎていたので、一瞬どの写真か分からなかった。

「いいよ~。一緒に送っておくね。」

 ここは、年上の女子らしく、余裕のある感じで対応した。彼は少し面白くなさそうだったけれど、また、くすっと笑って「ありがとう。」と言った。

 伊予は2枚の写真を送り、伊山くんの隣に座り込んだ。

「これ、洗うの?」

「うん。カブトムシとクワガタ入れてたんだけど孵化したから。違うのに移した。」

「あの、手伝おうか?」

「……。」

 伊山くんは不思議そうな顔をした。
(しまった……踏み込みすぎたかもしれない……)

「あ、ごめん。部員でもないのに、おかしいよね。いや~暇だったし、誰かの役に立てればと思って。」

「いや、虫好きじゃないんじゃないの? なんで手伝えるのか、不思議だなって。」

 伊予は、冷や汗をかいていた。
(私がただただ伊山くんに興味があるって、普通にバレてしまうので
 は........?)

「伊山くんが……その……一生懸命だから。
 一生懸命な人って手伝ってあげたくなるっていうか……」

「へー……。」

 伊山くんは目線を手元に戻して、作業を続ける。
 何か考えているような顔だ。

「じゃあ、部に入れば?」

「へ……?」

「そしたら、もっと手伝ってもらえるんでしょ?」

 にやにやとこちらを見てくる。

(こ、こいつ~~~~~!!!
 絶対、部員増やすことしか考えてないやつ~~~!
 でも、やっぱり腹立つのに可愛い~~~!!!)

 伊予は心の中で伊山くんの可愛さに泣いた。

「でも、私もう受験生だし。」

「あー。部室で勉強すれば?」

「え?」

「部室提供するからさ。写真撮ってよ。あと、こうやってたまに手伝ってくれれば……」

 言っている途中で、何かに気づいたようにはっとして、顔を赤らめて目を逸らした。耳まで赤い。

「ごめん、やっぱなし。俺の都合よすぎだよね。やっぱやめよ。」

 胸で何かが跳ねた。

「いいよ。」

「え?」

「入るよ。昆虫採集部。勉強できる場所、提供してもらえるの助かるし。」

 そう言うと、伊山くんは

「まじか。」

 と、すごく可愛い顔で笑った。

つづく


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