昆虫採集部の伊山くん

nandemoarisa

文字の大きさ
3 / 13
伊山くんとの遭遇

会話

しおりを挟む
 校庭近くの水道に着くと、地面に虫かごを置いた。

 伊山くんは、すぐにポケットからスマホを取り出した。

「助かった、ありがとう。今日は俺一人だったから。」

「どういたしまして。そうなんだ。部員って何人いるの?」

「3人。最低3人いないと部として承認されないんで。1人はあんまり来ないけど。」

 そう言って、「ん。」とLINEのQRコードを差し出してきた。

「あ、うん。」
 自分のスマホで彼のQRコードを読み取る。微かに手が震える。

(伊山くんの連絡先ゲットだ~~~~~!!)

「この間の写真、送っといて。」
 そう言って虫かごを洗うためにしゃがみ込んだ。

「はーい。」
 生返事をしながら、どうやったらここに居座り続けられるか考える。

「あとさ、あれ。」

「ん?」

 しゃがんだ足に肘をつき、頬杖をついて、いたずらっぽく笑ってこちらを見上げてくる。

(んあ~~~~!可愛い~~~!!写真撮りたすぎる~~~!!!)

「俺の写真も送ってよ。見たい。」

「……。」

 伊予は一瞬ぽかんとした。脳内で超高速処理。

(……あ! あの時のか!)

 すでに伊山くんの写真を撮りすぎていたので、一瞬どの写真か分からなかった。

「いいよ~。一緒に送っておくね。」

 ここは、年上の女子らしく、余裕のある感じで対応した。彼は少し面白くなさそうだったけれど、また、くすっと笑って「ありがとう。」と言った。

 伊予は2枚の写真を送り、伊山くんの隣に座り込んだ。

「これ、洗うの?」

「うん。カブトムシとクワガタ入れてたんだけど孵化したから。違うのに移した。」

「あの、手伝おうか?」

「……。」

 伊山くんは不思議そうな顔をした。
(しまった……踏み込みすぎたかもしれない……)

「あ、ごめん。部員でもないのに、おかしいよね。いや~暇だったし、誰かの役に立てればと思って。」

「いや、虫好きじゃないんじゃないの? なんで手伝えるのか、不思議だなって。」

 伊予は、冷や汗をかいていた。
(私がただただ伊山くんに興味があるって、普通にバレてしまうので
 は........?)

「伊山くんが……その……一生懸命だから。
 一生懸命な人って手伝ってあげたくなるっていうか……」

「へー……。」

 伊山くんは目線を手元に戻して、作業を続ける。
 何か考えているような顔だ。

「じゃあ、部に入れば?」

「へ……?」

「そしたら、もっと手伝ってもらえるんでしょ?」

 にやにやとこちらを見てくる。

(こ、こいつ~~~~~!!!
 絶対、部員増やすことしか考えてないやつ~~~!
 でも、やっぱり腹立つのに可愛い~~~!!!)

 伊予は心の中で伊山くんの可愛さに泣いた。

「でも、私もう受験生だし。」

「あー。部室で勉強すれば?」

「え?」

「部室提供するからさ。写真撮ってよ。あと、こうやってたまに手伝ってくれれば……」

 言っている途中で、何かに気づいたようにはっとして、顔を赤らめて目を逸らした。耳まで赤い。

「ごめん、やっぱなし。俺の都合よすぎだよね。やっぱやめよ。」

 胸で何かが跳ねた。

「いいよ。」

「え?」

「入るよ。昆虫採集部。勉強できる場所、提供してもらえるの助かるし。」

 そう言うと、伊山くんは

「まじか。」

 と、すごく可愛い顔で笑った。

つづく


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)

MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。 しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。 ​母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。  その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。 ​純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。 交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。

繰り返す夜と嘘 〜【実録】既婚の僕と後輩の彼女、あの夜のキスから始まった13年の秘密〜

まさき
恋愛
結婚して半年の僕と、同じ職場の彼女。 出会った頃は、ただの先輩と新入社員だった。   互いに意識しながらも、 数年間、距離を保ち続けた。   ただ見つめるだけの関係。   けれど――   ある夏の夜。 納涼会の帰り道。   僕が彼女の手を握った瞬間、 すべてが変わった。   これは恋でも、友情でもない。   けれど理性では止められない、 名前のない関係。   13年続いた秘密。 誓約書。 そして、5年の沈黙。   これは――   実際にあった「夜」の記録。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

再会した幼馴染は××オタクになっていました。

星空永遠
恋愛
小さい頃から幼なじみの黒炎(こくえん)くんのことが好きな朱里(あかり)。そんな彼は引っ越してしまい、気持ちは伝えられず。しかし、高校で再会することができ、それを喜ぶ朱里だったが、彼は以前とは変わっていて……。 だけど、黒炎くんのお家にお泊りしたり、遊園地では朱里にとっては驚くハプニングが!?二人の距離はどんどん近づいて……。イケメンの幼なじみにドキドキが止まらない!じれったい二人の恋の行方は……? この恋は本気なんです……! 表紙絵=友人作。

姉の引き立て役の私は

ぴぴみ
恋愛
 アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。 「どうしたら、お姉様のようになれるの?」 「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」  姉は優しい。でもあるとき気づいて─

12年目の恋物語

真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。 だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。 すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。 2人が結ばれるまでの物語。 第一部「12年目の恋物語」完結 第二部「13年目のやさしい願い」完結 第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中 ※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...