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伊予の部活動
ルーズリーフ
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伊予は、焼酎瓶やバナナが昆虫採集のトラップのためだったことを蛍に伝えた。
「なるほどね。知ってる人にしか分かんないよね、それ。」
「案外真面目なんだよね~、サクは。」
掃除当番のため、箒で床を掃きながら話す。
蛍はサクのことを身内のように話す伊予を見て、「好きなんだね。」とコソッと言うと、伊予は「しー!」と頬を赤らめた。
「蛍さん、人をからかうのは良くないですよ!」
「だって、面白いんだもん。」
へへっと、悪気もなく笑う。
「そういえば伊予、今日一緒に勉強しない?」
「え、うん。いいよ~。私もどこかカフェでも行こうかと思ってたんだよね。」
なんだか家は集中できなくて……と言う伊予に、蛍は良い考えがあると言った。
「この間申し込んだ夏期講習あるじゃん。あの塾、申し込んだ月から自習室使わせてくれるって書いてたからさ。どうかと思って。」
「えー!そうだったんだ。それ良い!コンビニで飲み物とかお菓子とか買っていこ~!」
二人は秘密基地を見つけたような気持ちになって、コンビニでお菓子や飲み物を買い込み、塾に向かった。
*
「は?何でいんの?ストーカー?」
静かな自習室に響いたのは、蛍の乾いた声だった。
シンと静まり返る自習室が、その声に反応したかのように、皆少し腕を動かしたり、息を吐いたりした。
「は?こっちのセリフなんですけど。」
そう言って、普段は掛けない眼鏡をかけて勉強しているのは由紀だった。
何故か最近、やたらと接点が多くなりつつある。
「まあまあ、たまたま一緒の塾だったんだよ、ね?由紀?」
「俺は春期講習から来てるんで。キミらがあとなんで。たまたま一緒の塾来たの、キミらなんで。」
それを聞いた伊予は、メラメラと由紀に対する怒りがわいてきた。蛍はその後ろで(あーやっちゃった。馬鹿由紀。)と頭を抱えた。
「あのねえ!もうちょっと優しく言えないの!?」
「これでも優しいと思うけど?」
「キー!小憎たらしい!」
周りの視線が彼らに集中する。
蛍は焦って、教室を後にしようかと迷いだした。
「伊予、今日はもう帰る?」
「え、ああ……そうだね……。」
その時、がしりと由紀の手が伊予の腕を掴んだ。
「ここ、空いてるから勉強していけば?」
“ここ”と言ってシャーペンで指したのは、由紀の後ろの席だった。
伊予と蛍は顔を合わせて、
(親切な由紀、珍しいね。後でなんか請求されそうだね。でもまあ、有難く使わせてもらうか。顔だけは良いんだから、態度ももうちょっと良くすればいいのにね。)
というところまで電波で会話して、由紀の後ろの席に着いた。
がさごそと問題集やノート、筆記用具を出して準備をしていると、由紀が後ろ手に四つ折りにしたルーズリーフを渡してきた。
伊予はそれを受け取って、カサっと開く。
“お前ら、顔見てるだけで二人で何考えてるか丸わかり。”
伊予が蛍に見せると、蛍は由紀に「べー」っと舌を出した。
同じ紙に伊予は“由紀もだよ”と書いて、由紀の肩にそっと置いた。
由紀は、肩にふわっと触れた紙なのか、伊予の手なのか分からない何かにびくっとして驚き、紙を間一髪で取った。
そうすると、由紀は伊予を振り向いて、赤い耳を見せながら「バーカ!」と言った。
“由紀もだよ”のあとに、伊予は“さすが、幼なじみだよね”とも書いていた。
由紀は照れ隠しなのか、それからはこちらを振り返らなかった。
おやつのチョコをおすそ分けするときも、伊予が肩に置いたチョコを取って、手を上げて「ありがと」と言っただけだった。
もちろん、その時も耳は赤くて、伊予は少し面白かった。
そして、勉強中のルーズリーフに目を落とした。
「なるほどね。知ってる人にしか分かんないよね、それ。」
「案外真面目なんだよね~、サクは。」
掃除当番のため、箒で床を掃きながら話す。
蛍はサクのことを身内のように話す伊予を見て、「好きなんだね。」とコソッと言うと、伊予は「しー!」と頬を赤らめた。
「蛍さん、人をからかうのは良くないですよ!」
「だって、面白いんだもん。」
へへっと、悪気もなく笑う。
「そういえば伊予、今日一緒に勉強しない?」
「え、うん。いいよ~。私もどこかカフェでも行こうかと思ってたんだよね。」
なんだか家は集中できなくて……と言う伊予に、蛍は良い考えがあると言った。
「この間申し込んだ夏期講習あるじゃん。あの塾、申し込んだ月から自習室使わせてくれるって書いてたからさ。どうかと思って。」
「えー!そうだったんだ。それ良い!コンビニで飲み物とかお菓子とか買っていこ~!」
二人は秘密基地を見つけたような気持ちになって、コンビニでお菓子や飲み物を買い込み、塾に向かった。
*
「は?何でいんの?ストーカー?」
静かな自習室に響いたのは、蛍の乾いた声だった。
シンと静まり返る自習室が、その声に反応したかのように、皆少し腕を動かしたり、息を吐いたりした。
「は?こっちのセリフなんですけど。」
そう言って、普段は掛けない眼鏡をかけて勉強しているのは由紀だった。
何故か最近、やたらと接点が多くなりつつある。
「まあまあ、たまたま一緒の塾だったんだよ、ね?由紀?」
「俺は春期講習から来てるんで。キミらがあとなんで。たまたま一緒の塾来たの、キミらなんで。」
それを聞いた伊予は、メラメラと由紀に対する怒りがわいてきた。蛍はその後ろで(あーやっちゃった。馬鹿由紀。)と頭を抱えた。
「あのねえ!もうちょっと優しく言えないの!?」
「これでも優しいと思うけど?」
「キー!小憎たらしい!」
周りの視線が彼らに集中する。
蛍は焦って、教室を後にしようかと迷いだした。
「伊予、今日はもう帰る?」
「え、ああ……そうだね……。」
その時、がしりと由紀の手が伊予の腕を掴んだ。
「ここ、空いてるから勉強していけば?」
“ここ”と言ってシャーペンで指したのは、由紀の後ろの席だった。
伊予と蛍は顔を合わせて、
(親切な由紀、珍しいね。後でなんか請求されそうだね。でもまあ、有難く使わせてもらうか。顔だけは良いんだから、態度ももうちょっと良くすればいいのにね。)
というところまで電波で会話して、由紀の後ろの席に着いた。
がさごそと問題集やノート、筆記用具を出して準備をしていると、由紀が後ろ手に四つ折りにしたルーズリーフを渡してきた。
伊予はそれを受け取って、カサっと開く。
“お前ら、顔見てるだけで二人で何考えてるか丸わかり。”
伊予が蛍に見せると、蛍は由紀に「べー」っと舌を出した。
同じ紙に伊予は“由紀もだよ”と書いて、由紀の肩にそっと置いた。
由紀は、肩にふわっと触れた紙なのか、伊予の手なのか分からない何かにびくっとして驚き、紙を間一髪で取った。
そうすると、由紀は伊予を振り向いて、赤い耳を見せながら「バーカ!」と言った。
“由紀もだよ”のあとに、伊予は“さすが、幼なじみだよね”とも書いていた。
由紀は照れ隠しなのか、それからはこちらを振り返らなかった。
おやつのチョコをおすそ分けするときも、伊予が肩に置いたチョコを取って、手を上げて「ありがと」と言っただけだった。
もちろん、その時も耳は赤くて、伊予は少し面白かった。
そして、勉強中のルーズリーフに目を落とした。
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