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婚約破棄されて勝利宣言する令嬢の話
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「セレスティーナ・ルーベンブルク! 貴様との婚約を破棄する!!」
「よっしゃー!! ありがとうございます!!」
今婚約破棄を宣言したアッシュ・ロマーリア王子の成人を記念したパーティーの場は、さっきまでのお祝いムードが一変。
セレスティーナ・ルーベンブルク侯爵令嬢は、貴族令嬢には似つかわしくない態度でその宣言に答えた。
「陛下―。賭けは私の勝ちですねー」
「ムムム……あと少しだったのに……この阿呆は」
と王子そっちのけでセレスティーナは、国王陛下と不敬ともとれるやり取りを始める。
国王も咎めることもなく、親しげに会話をしている。
「それじゃあ賭けの条件通り。アデライド様は私が頂戴しますね」
「へっ!? わたくし!?」
と突然自分の名前が出てきたことに戸惑いを見せているアデライド・ロマーリア王女。
「……しょうがないのう……」
「お父様!? 一体何の話をしてますの!?」
事態が呑み込めていないアデライドに国王が説明する。
「じつはのう……セレスティーナ嬢と賭けをしていたのじゃ。アッシュがセレスティーナ嬢に婚約破棄をするかどうかというの」
「そうそう。陛下と私、ギャンブル友達なんですよ」
セレスティーナの生家であるルーベンブルク家といえば、貴族の中でもいろんな意味で有名だった。
『ギャンブル好きの一族』として。
一族の人間にとどまらず、婿や嫁として入った人間もたちまちのうちにギャンブル好きになるという、ある意味病気みたいなものだった。
その結果借金まみれで貧乏なのかと思いきや、その逆で領地経営は堅実で安定しているのがまた不思議なものだった。
セレスティーナも両親の影響を色濃く受け継ぎ、物心ついたころには両親に混じってギャンブルに興じていた。
「陛下ともカードやルーレットとかいろいろやってきたけど、偶には違う賭けも面白そうだよねーって話して」
「わしから提案したのじゃ」
「その商品が何でわたくしなんですの!!」
「いやーそっちの方が面白かったし……流石に婚約破棄はせんだろうと思ったんじゃがな……」
「残念でしたね」
とドヤ顔のセレスティーナ。
いつになく落ち込んでいる国王。
「そんなに落ち込むなら賭けなんてしなければいいのに」と国王のギャンブル好きを知っている参加者は思ったが口には出さなかった。
そもそも相手が悪い。
ルーベンブルク家の人間は、ここぞという時の勝負事では負けたことがないのは有名な話だったから。
「それじゃあアデライド様。こちらへ」
「……これからわたくしをどうするつもりですの?」
「? いや……パーティーの続きを……」
「こんな雰囲気で出来るわけないでしょう!」
とアデライドを伴い何食わぬ顔で会場に出されていた料理を食べだしたセレスティーナ。
周りの参加者もそれに倣って、各々パーティーを楽しんでいた。
もはや主役はセレスティーナな気がするけど、誰もそれを指摘するものはいなかった。
ちなみに婚約破棄宣言をしたアッシュ王子は、なんやかんやあって時期国王の資格無しと判断されて臣籍降下となった。
任された領地にいる使用人は、ゴリマッチョの男性ばかりで、女性は皆無だったそうな……
「あぁ、そんな素晴らしい筋肉で抱きしめられたら僕は、僕は……アァーーーー!!」
セレスティーナが賭けに勝ったパーティーから1週間後。
ルーベンブルク領の教会では、セレスティーナとアデライドの結婚式が執り行われることとなった。
「いや早すぎじゃありませんの!?」
「そうなんですか?」
「普通婚約期間とかありますの! というかわたくしたち女同士!!」
「お父様たち、婚約期間3日だったって話だったし、十分じゃない?」
と色々混乱しているアデライドを放置したまま、結婚式は滞りなく進行していった。
会場に来ていた国王が、セレスティーナの両親とギャンブルを始めていたが、誰も気に留めることはなかった。
「またわしが負けたーー」
結果はお察し……
――迎えた初夜。
「え、本当に?」
「私とアデライド様の子供かぁ……アデライド様似の美人だといいなぁ……」
「わたくしたち女同士ですわよ? 隣国で開発された魔法薬がないと……まさか」
「え? ありますけど」
「ですわよね……ちなみにどうやって入手したかお聞きしても?」
「普通に隣国の賭場行って、景品にもらってきた」
「あ、ソウデスカ……」
アデライドはついに思考を放棄した。
その後彼女たちの間には女の子が2人生まれた。
子供たちは例にもれず、ギャンブル好きとなっていた。
そしてアデライドも……
「セレスティーナ、今日は勝たせてもらいますわね!」
「負けませんよー」
見事にルーベンブルク家の血に染まっていた……
「よっしゃー!! ありがとうございます!!」
今婚約破棄を宣言したアッシュ・ロマーリア王子の成人を記念したパーティーの場は、さっきまでのお祝いムードが一変。
セレスティーナ・ルーベンブルク侯爵令嬢は、貴族令嬢には似つかわしくない態度でその宣言に答えた。
「陛下―。賭けは私の勝ちですねー」
「ムムム……あと少しだったのに……この阿呆は」
と王子そっちのけでセレスティーナは、国王陛下と不敬ともとれるやり取りを始める。
国王も咎めることもなく、親しげに会話をしている。
「それじゃあ賭けの条件通り。アデライド様は私が頂戴しますね」
「へっ!? わたくし!?」
と突然自分の名前が出てきたことに戸惑いを見せているアデライド・ロマーリア王女。
「……しょうがないのう……」
「お父様!? 一体何の話をしてますの!?」
事態が呑み込めていないアデライドに国王が説明する。
「じつはのう……セレスティーナ嬢と賭けをしていたのじゃ。アッシュがセレスティーナ嬢に婚約破棄をするかどうかというの」
「そうそう。陛下と私、ギャンブル友達なんですよ」
セレスティーナの生家であるルーベンブルク家といえば、貴族の中でもいろんな意味で有名だった。
『ギャンブル好きの一族』として。
一族の人間にとどまらず、婿や嫁として入った人間もたちまちのうちにギャンブル好きになるという、ある意味病気みたいなものだった。
その結果借金まみれで貧乏なのかと思いきや、その逆で領地経営は堅実で安定しているのがまた不思議なものだった。
セレスティーナも両親の影響を色濃く受け継ぎ、物心ついたころには両親に混じってギャンブルに興じていた。
「陛下ともカードやルーレットとかいろいろやってきたけど、偶には違う賭けも面白そうだよねーって話して」
「わしから提案したのじゃ」
「その商品が何でわたくしなんですの!!」
「いやーそっちの方が面白かったし……流石に婚約破棄はせんだろうと思ったんじゃがな……」
「残念でしたね」
とドヤ顔のセレスティーナ。
いつになく落ち込んでいる国王。
「そんなに落ち込むなら賭けなんてしなければいいのに」と国王のギャンブル好きを知っている参加者は思ったが口には出さなかった。
そもそも相手が悪い。
ルーベンブルク家の人間は、ここぞという時の勝負事では負けたことがないのは有名な話だったから。
「それじゃあアデライド様。こちらへ」
「……これからわたくしをどうするつもりですの?」
「? いや……パーティーの続きを……」
「こんな雰囲気で出来るわけないでしょう!」
とアデライドを伴い何食わぬ顔で会場に出されていた料理を食べだしたセレスティーナ。
周りの参加者もそれに倣って、各々パーティーを楽しんでいた。
もはや主役はセレスティーナな気がするけど、誰もそれを指摘するものはいなかった。
ちなみに婚約破棄宣言をしたアッシュ王子は、なんやかんやあって時期国王の資格無しと判断されて臣籍降下となった。
任された領地にいる使用人は、ゴリマッチョの男性ばかりで、女性は皆無だったそうな……
「あぁ、そんな素晴らしい筋肉で抱きしめられたら僕は、僕は……アァーーーー!!」
セレスティーナが賭けに勝ったパーティーから1週間後。
ルーベンブルク領の教会では、セレスティーナとアデライドの結婚式が執り行われることとなった。
「いや早すぎじゃありませんの!?」
「そうなんですか?」
「普通婚約期間とかありますの! というかわたくしたち女同士!!」
「お父様たち、婚約期間3日だったって話だったし、十分じゃない?」
と色々混乱しているアデライドを放置したまま、結婚式は滞りなく進行していった。
会場に来ていた国王が、セレスティーナの両親とギャンブルを始めていたが、誰も気に留めることはなかった。
「またわしが負けたーー」
結果はお察し……
――迎えた初夜。
「え、本当に?」
「私とアデライド様の子供かぁ……アデライド様似の美人だといいなぁ……」
「わたくしたち女同士ですわよ? 隣国で開発された魔法薬がないと……まさか」
「え? ありますけど」
「ですわよね……ちなみにどうやって入手したかお聞きしても?」
「普通に隣国の賭場行って、景品にもらってきた」
「あ、ソウデスカ……」
アデライドはついに思考を放棄した。
その後彼女たちの間には女の子が2人生まれた。
子供たちは例にもれず、ギャンブル好きとなっていた。
そしてアデライドも……
「セレスティーナ、今日は勝たせてもらいますわね!」
「負けませんよー」
見事にルーベンブルク家の血に染まっていた……
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