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第一章
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しおりを挟む「クローディア!」
「わぁぁっ!」
いきなりレーヴァンは、剣を投げ捨てると私に抱き着いてきた。
「レ、レーヴァン! ど、どいてっ」
正面から私を覆い隠すように抱きしめてくる彼に、私は手も足も動かせない。
「レオンっ、レオンっ、みたっ? 私、一本とれたっ?」
かろうじて出せる声をだすと、ポカンとした顔のレオンがハッとして、答えた。
「い、一本! クローディア!」
やった! 勝てた! こんな破廉恥な技を使うのは気が引けたけど、これならばレーヴァンの隙をつくることができると思っていた。卑怯な技を使うのは、体格差がある以上仕方がない。私にとって、卑怯はすでに褒め言葉として受け止めている。
「レ、レーヴァン、とれたよ!」
レーヴァンに宣言するように話しかけると、彼はギロッとレオンの方を見て声を張り上げた。
「お前たち、何もみていないなっ!」
彼の言う何も見ていないとは……、やっぱり私の片乳だろうか。
「「「はいっ、見てませんっ」」」
レオンをはじめ、後輩達も一斉に返事をした。その声を聴いたレーヴァンは、行け、と命じるようにレオン達に目で合図をすると、それを受け取ったレオンはサッと行動した。
「それではレーヴァン指導官、お先に失礼しますっ」
レオン達は、蜘蛛の子が散るように鍛錬場から姿を消してしまった。
「あっ、レオン、今から手合わせしたかったのに……」
「何を言っているっ、そんな姿になって、これ以上見せるつもりかっ!」
よくよくレーヴァンの顔をみると、彼は真っ赤になっていた。そんな彼の顔を見ていたら、私も恥ずかしくなってきてしまう。こんな風に、彼に抱きしめられるのも初めてでドキドキしてしまう。
「レーヴァン、ごめん。でも、こうでもしないと貴方から一本なんて無理だと思って」
しゅん、とうなだれた私を見たレーヴァンは、少し落ち着いてきたのか顔を背けながら私に上着をかけてくれた。
「俺だけならともかく。他の野郎どもがいるところで、こんなことをするな」
「ん? レーヴァンだけなら、良かった?」
きょとん、と首をかしげて上目遣いにレーヴァンをみると、彼はさらに顔を赤らめてしまった。
「ばっ、馬鹿野郎っ、そういうわけでは……あるが……と、とにかく上着を着ろっ!」
「ありがとう」
ばさり、と私には大きな上着を羽織ると、レーヴァンの匂いがふわりと漂った。さっきまで包んでくれていた彼の腕と胸板を思い出してしまう。
「も、戻るぞ」
レーヴァンは私の顔をみないようにしながら、剣を二振り腕に持つと、空いた方の手で私の手をとった。大きな手だ。
「はい」
勝ったはずなのに、なんだか嬉しくない。私の予想以上にレーヴァンが照れているから、こっちまで恥ずかしくなってしまう。
レーヴァンにこうして手を握られるのはすごく久しぶりだということを思い出した。
彼の手は大きくて、私の手をしっかりと握っている。迷うことなく引っ張っていく彼についていきながら、私は自分の中の何かが変わっていくのを感じていたが、それはまだ言葉にならなかった。
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