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五章
Ⅵ
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目覚めた瞬間、頭が重い。内側が脳ごと斧で打ちつけられているようにガンガンと痛む。少し動くたびに瞬間的な吐き気とまとまらない思考。確実に二日酔い。今日が休日で助かったと安心する。
「おはようございます」
あ、好き・・・・・・。そんな俺の不調を一瞬で和らげてくれる愛しい存在。すぐに挨拶を返そうとしたけど、昨夜のシエナの言葉がフラッシュバックする。
――彼女を優先するかユーグを優先するか――
「あ、ああ。おはよう」
後悔するくらいの素っ気なさで、そそくさと椅子に座る。少し不審がられたが、ルウはすぐに食事の準備に取りかかるのか、パタパタと走っていった。
揺れる頭と体をなんとか引きずって食卓に。最近、ルウの食事の腕は上がってきている。今日も本当は美味しそうなんだけどいかんせん、昨日の酒が残っているせいで食欲があまりない。けど、ルウの作ってくれたんだから残すなんてことできるわけがない。もはや食べきることがルウへの愛の証明だと自分に言い聞かせて食べ進める。
「カモ肉のステーキとにんにくスープとバターライスと骨付き肉の盛り合わせはどうでしょうか」
なんでよりによって重いメニューなんだ・・・・・・いつもは朝もっと軽いものなのに・・・・・・。
「昨日はお楽しみだったようですね」
「・・・・・・どうかな」
シエナと飲んでいた記憶はあるが、ほとんど後半シエナの愚痴に付き合い続けた記憶しかない。というかどうやって帰ってきたのかも不透明。
「シエナ様と二人で痣だらけたんこぶだらけ、服もぼろぼろで泥だらけで驚きましたが」
なにがあった。というかシエナはなんで一緒に来たし。
「背負っていらした魔物の剥製や可愛らしい人形はどうされたのですか?」
まじでなにがあった! そんなものどこで手に入れた昨日の俺!
「ベッドの上で一時間以上逆立ちをされてこれが俺の答えだぁ! と叫ばれたときはお医者様を呼ぼうかと」
「いやごめん」
は・・・・・・恥ずかしい・・・・・・! 我ながらいみわからん!
「そのあと、撒き散らされた吐瀉物の処理が一番大変でした」
「いやまじでごめん!」
ルウにとんでもない迷惑をかけてた! 穴があったら入りたい!
「一時間前にすべてが終わっておやすみになられて、ようやく私も肩の荷が降りたところだったのですが」
「俺何時に帰ってきたんだ!?」
まさか徹夜で酒飲んでたのかよ!
「いつっ・・・・・・」
ツッコミすぎた反動でまだ二日酔いの辛さがぶり返してきた。
「二日酔いのお薬を持ってきます」
「あ、ああ、うん。頼む」
最近はルウからどんな薬があるか尋ねる頻度が多かったから、工房に向かっていった。一人でうなだれていたとき、あることに気付いてしまった。動くのもしんどかったが、大声で確認するのも嫌だった。
「ルウ。朝方誰か来たのか?」
かつん・・・・・・。
薬の入った小瓶を床に落とした。珍しいけど、割れてない様子。そんなことよりも、ほぼ同時にだらんと垂れていた尻尾がびくぅ! といきなり直立したことのほうに注目してしまう。全ての毛が逆立ちつつ、震えている。今までこんなルウの尻尾の反応見たことがない。
「な、なにゆえに?」
「いや、机にポットと飲みかけのカップが残ってたから」
それも、湯気がたっているからまだ用意されてから時間を置いていないんじゃないか。
「あ、え、ええ。そうですね」
「誰が来たんだ?」
「そ、そうですね。少々お待ちください。ご主人様がいきなり声をかけられたせいで大変なことになっているので」
瓶を落としただけじゃないの?
「え、ええ。そうですね。先ほどシエナ様がいらっしゃいました。お詫びにと」
「? そうか」
あいつも俺と一緒にしこたま長いこと飲んでいたはずだろうに、そんなことができる余裕があったのだろうか。それもわざわざ? 俺より酔いが残っていたとか早くさめたとか?
「それよりも、お顔を洗ってこられたほうがよろしいのではないでしょうか。昨夜の惨劇がまだ残られてますし」
「惨劇ってなんだ!? 俺まだなにかしてたのか!?」
「それはご自分でご確認を」
なにがあったのか、そして顔がどうなっているか。急に不安になった俺は外へ出て井戸へと走る。ルウがほっと胸を撫で下ろしたのも、いつの間にか尻尾が元に戻っていたのにも気づかなかった。
そして工房に入る頃には、ルウに抱いた疑問もすっかり忘れていたのだ。
「おはようございます」
あ、好き・・・・・・。そんな俺の不調を一瞬で和らげてくれる愛しい存在。すぐに挨拶を返そうとしたけど、昨夜のシエナの言葉がフラッシュバックする。
――彼女を優先するかユーグを優先するか――
「あ、ああ。おはよう」
後悔するくらいの素っ気なさで、そそくさと椅子に座る。少し不審がられたが、ルウはすぐに食事の準備に取りかかるのか、パタパタと走っていった。
揺れる頭と体をなんとか引きずって食卓に。最近、ルウの食事の腕は上がってきている。今日も本当は美味しそうなんだけどいかんせん、昨日の酒が残っているせいで食欲があまりない。けど、ルウの作ってくれたんだから残すなんてことできるわけがない。もはや食べきることがルウへの愛の証明だと自分に言い聞かせて食べ進める。
「カモ肉のステーキとにんにくスープとバターライスと骨付き肉の盛り合わせはどうでしょうか」
なんでよりによって重いメニューなんだ・・・・・・いつもは朝もっと軽いものなのに・・・・・・。
「昨日はお楽しみだったようですね」
「・・・・・・どうかな」
シエナと飲んでいた記憶はあるが、ほとんど後半シエナの愚痴に付き合い続けた記憶しかない。というかどうやって帰ってきたのかも不透明。
「シエナ様と二人で痣だらけたんこぶだらけ、服もぼろぼろで泥だらけで驚きましたが」
なにがあった。というかシエナはなんで一緒に来たし。
「背負っていらした魔物の剥製や可愛らしい人形はどうされたのですか?」
まじでなにがあった! そんなものどこで手に入れた昨日の俺!
「ベッドの上で一時間以上逆立ちをされてこれが俺の答えだぁ! と叫ばれたときはお医者様を呼ぼうかと」
「いやごめん」
は・・・・・・恥ずかしい・・・・・・! 我ながらいみわからん!
「そのあと、撒き散らされた吐瀉物の処理が一番大変でした」
「いやまじでごめん!」
ルウにとんでもない迷惑をかけてた! 穴があったら入りたい!
「一時間前にすべてが終わっておやすみになられて、ようやく私も肩の荷が降りたところだったのですが」
「俺何時に帰ってきたんだ!?」
まさか徹夜で酒飲んでたのかよ!
「いつっ・・・・・・」
ツッコミすぎた反動でまだ二日酔いの辛さがぶり返してきた。
「二日酔いのお薬を持ってきます」
「あ、ああ、うん。頼む」
最近はルウからどんな薬があるか尋ねる頻度が多かったから、工房に向かっていった。一人でうなだれていたとき、あることに気付いてしまった。動くのもしんどかったが、大声で確認するのも嫌だった。
「ルウ。朝方誰か来たのか?」
かつん・・・・・・。
薬の入った小瓶を床に落とした。珍しいけど、割れてない様子。そんなことよりも、ほぼ同時にだらんと垂れていた尻尾がびくぅ! といきなり直立したことのほうに注目してしまう。全ての毛が逆立ちつつ、震えている。今までこんなルウの尻尾の反応見たことがない。
「な、なにゆえに?」
「いや、机にポットと飲みかけのカップが残ってたから」
それも、湯気がたっているからまだ用意されてから時間を置いていないんじゃないか。
「あ、え、ええ。そうですね」
「誰が来たんだ?」
「そ、そうですね。少々お待ちください。ご主人様がいきなり声をかけられたせいで大変なことになっているので」
瓶を落としただけじゃないの?
「え、ええ。そうですね。先ほどシエナ様がいらっしゃいました。お詫びにと」
「? そうか」
あいつも俺と一緒にしこたま長いこと飲んでいたはずだろうに、そんなことができる余裕があったのだろうか。それもわざわざ? 俺より酔いが残っていたとか早くさめたとか?
「それよりも、お顔を洗ってこられたほうがよろしいのではないでしょうか。昨夜の惨劇がまだ残られてますし」
「惨劇ってなんだ!? 俺まだなにかしてたのか!?」
「それはご自分でご確認を」
なにがあったのか、そして顔がどうなっているか。急に不安になった俺は外へ出て井戸へと走る。ルウがほっと胸を撫で下ろしたのも、いつの間にか尻尾が元に戻っていたのにも気づかなかった。
そして工房に入る頃には、ルウに抱いた疑問もすっかり忘れていたのだ。
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