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第2章

第172話 職人探しにアルムナイの町へ

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 一瞬、いつまででも触れていたいって、ちょっと思ってしまった。ヒルデのことを抱きしめたくなっちゃったのは内緒だ。

「僕、行かなきゃいけないところが出来たから!またね!ヒルデ!」
「な、なんなの?もう……。」

 僕はその足で職人ギルドへと向かった。
「すみません!化粧品を作れる職人か、錬金術師を探しているんですが!」

 食い気味の僕の勢いに職員さんは圧倒されたみたいで、少し後ろに上半身が下がっている。そしてパラパラと台帳をめくった。

「化粧品ですか?それですと、このあたりにはおりませんね。アルムナイのほうが職人は多いですから、そちらに行かれてみては?」

 アルムナイに向かう馬車の、定期便の出る時間まではまだ結構ありますが、と職人ギルドの職員さんが教えてくれた。

 僕はお礼を言って、職人ギルドの建物を出た。確かにアルムナイは職人の町で、町全体にたくさんの武器防具工房や、家具工房、魔道具工房なんてのも揃っていたよね。

 叔父さんと一緒に町を歩いた時にも、素材そのものを取り扱ってる店もたくさんあったのを覚えているよ。材料や職人を揃えるには適した場所だ。

 アタモの町で素材をたくさん納品すると目立つというのもあるけど、需要が高い分、冒険者ギルドの買い取り価格が、アルムナイの町のほうが高いこともあるんだって。

 冒険者ギルドは国中の平均で買い取るのが基本だから、どこで売っても一律だけど、商人ギルドはそうじゃない。

 商人ギルドの買い取り価格によっては、そっちで売って、レベル上げには他の素材を使うってことで、あの時も一応念のため、先に商人ギルドを覗いていたんだよね。

 まあ、結局大差ないってことで、商人ギルドには売らなくて、予定通り冒険者ギルドに提出して、レベル上げをしたんだけどさ。

 アルムナイに向かう馬車の定期便の時間までに、僕は商人ギルドへ向かうことにした。
 他の商人たちがどうやって、在庫や売り上げ金を安全に確保してるのか聞くためだ。

「商人ギルドでは、マジックバッグに入れた状態のものをお預かりして、1ヶ月ごとの集計の際に、お預かりしている商品に対して一定の金額を、手数料として頂いています。」

 そのためにあんな透明の板のようなもので受付をガードしたり、商人ギルドの中に入るのには、魔法を使って出した扉からだけ、中に入れる仕組みになってるんだって。

 ちなみに現金は、このあたりの領主であるギルベルト・カーマン子爵が、銀行を営んでいるから、そこに手数料なしであずけられるみたいた。

 ただし取引はカーマン子爵の領地に限られるから、他の人の領地では引き出しは出来ない。その土地ごとの領主の営む銀行に預ける必要があるみたいだ。ちょっと不便だね。

 口座の対象者を指定出来るから、引き出しは誰でも出来るわけじゃないけど、預け入れだけなら、口座の所有を示す札を窓口に持参すれば、誰でも出来るんだって。

 なら売り上げは銀行へ、在庫はマジックバッグに大量に入れておいて、商人ギルドに預けておけば、僕が一定期間その土地に立ち寄れなかったとしても、商売が成り立つね!

 なんか具体的に見えてきたぞ。
 僕は早速商人ギルドで預け入れの手続きをして、預け入れ証明書を受け取った。

 これを持ってくれは、誰でも預け入れしたマジックバッグを出し入れ出来るというもので、従業員にそれを任せる店が大半らしい。

 その足で銀行に向かって、銀行の支店で口座を作った。今は個人口座だけど、商会を作れば商会用の口座も作れるみたい。

 個人口座だと、預け入れの上限額が、商会よりも少ないそうで、最大で小白金貨1枚までなんだって。だけど商会用口座なら、そこに上限は存在しないのだそう。

 商会の作り方も、あとで調べておかないとなあ。小白金貨1枚なんて、僕の店の場合、たぶんあっという間だもの。

 今アタモの町でやれることを終えて、アルムナイに向かう馬車の乗り場まで急いだ。
 ちょうど出発するところだった馬車に駆け込むと、席についてホッと一息ついた。

 なんだか朝から急に慌ただしくなっちゃったなあ。すごい事ばっかりだ!
 新しい商品のことを考えるとワクワクが止まらないよ!

 だけど色々一気にやり過ぎたのか、馬車に揺られだしたら急に眠気が襲ってきたよ。僕が眠気にうとうとしていたら、向かいの席のおばあさんが、フフフと目を細めて笑った。

 気が付けば僕は、そのおばあさんに、つきましたよ、と起こされるまで、馬車の上ですっかり眠りこけてしまったのだった。
 ──しまった!早く降りなきゃ!
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