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第2章

第220話 滅鬼族の根城

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「きゃあっ!!」
「うわっ!?」
「ぐあっ!?」

 ヒナさんが絡ませていた鎖鎌の鎖ごと、みんなの体が壁際まで弾き飛ばされた!
 この人強い!サンダーショックなんて中級の全体魔法なのに、それであの威力なんて!

 魔法は本人のMP総量と知力と攻撃力で、同じ魔法でも強さが異なるものだ。中級であの威力なら、上級だったらどれだけなのか。

 その隙に、僕と叔父さんの体ごと、オニヒメの周囲が光の球体に包まれる。
「みんなー!!」

 僕と叔父さんの体がどんどん、みんなから遠ざかり、そして突然、目の前からみんなが消えたかと思うと、僕らは赤い絨毯の敷かれた玉座に座る女の人の前にいた。

 みんなが消えたんじゃなく、僕らがここに連れて来られたんだ!目の前の女の人は、オニヒメと同じく、目頭と目尻に赤い化粧を施したキレイな人だった。

 オニヒメのお母さんだって言うけど、お姉さんくらいの年齢に見えるよ。獣人と一緒で亜人の年齢もよく分からないなあ……。

 キモノのスソが、スリットみたいに割れてて、キレイな足が覗いてるし、かなりセクシーな感じの人だよね。

 僕らが目の前に現れると、肘をついて座っていた玉座から立ち上がり、満面の笑顔で両手を広げてこちらに近寄って来た。

「おお!セオドアよ!ついにわらわと子をなす気になったか!おぬしからわらわを訪ねて来てくれるとは、やれ嬉しや!」

 パチン!と球体が割れて、僕と叔父さんは地面に着地した。オニヒメは腕組みしたまま空中に浮いたままだ。

 叔父さんは地面に着地するなり、そう言った女の人に抱きしめられた。
「……マリーア……。」
 ハァ……、と叔父さんがため息をつく。

「その話は何度も断っただろう……。」
「なんじゃ、わらわよりも、ウサ姫のほうがよいと申すか!」
 マリーアさんは眉間にシワを寄せて睨む。

「クローディアさまとも、そういう仲じゃない!クローディアさまのことも、断ってるんだ。いい加減分かってくれよ。」

 ……叔父さん、この人にもかつて求愛されてたんだあ……。クローディアさまといい、やっぱり叔父さんって、父さまよりモテるなあ。そろそろ誰か選んだらいいのにね?

「それで?本当の目的はなんだ。
 そんなことを言うために、俺をここまで連れて来たわけじゃないんだろう?」

 叔父さんが、マリーアさんの、首に巻き付いた両腕を引っ剥がしながら尋ねる。
「なんじゃ、気付いておったのか。まあ、それも半分の目的ではあったのじゃがの。」

 そう言って、嫣然と微笑むマリーアさん。
「そろそろ我が城も手狭でのう。最下層の奴らを仕留めて奪わねばならんのじゃが。」
 ちらり、と叔父さんを見上げる。

「ボスがなかなか倒せんでのう。あやつさえ倒してわらわが玉座に座れば、すぐにでもダンジョンがものに出来るのじゃが。」
 ──え?どういうこと?

「あの……、最下層って、ダンジョンのオニのことですか?ダンジョンのボスって、倒しても時間でわいてくると聞いているけど、そこに取って代われるものなんですか?」

「──この者は誰じゃ?
 ……まさかセオドア、もう誰かと?」
 いきなり質問した僕に、訝しげな視線で睨んでくるマリーアさん。

 俺の甥っ子だ、と叔父さんが答える。僕は挨拶が遅れたことを詫びて自己紹介をした。
 するとご機嫌を直したのか、マリーアさんはニコニコとしながら、

「なんじゃ、甥御であったか。早くもうせ。
 ──そうじゃ。ダンジョンはボスの位置に強い者がおれば、それを代わりのボスと認めてくれるのよ。過去にそうした例がある。」

 と教えてくれた。マリーアさんいわく、時間で復活するボスが出る前に、ボスのわく場所に一定以上の強さの存在があると、その存在を新たなボスと定めるものなんだそうだ。

 もともと別のダンジョンボスがいたところに、ドラゴンが住み着いて、新たなダンジョンボスになった例があるんだって。

 水晶の館と呼ばれるダンジョンがそれに当たるらしい。──水晶の館……!ドラゴンマスターだった勇者が使役していたとされるドラゴンが眠っているとされるダンジョンだ! 

 もともとダンジョンにいたドラゴンを使役したんじゃなくて、使役が解かれたあとに、ダンジョンに住み着いたってことなんだ!

 これは新事実だよ!亜人は基本長生きだから、そんな昔の出来事を、実体験として先祖が知っていたのだとマリーアさんは言った。

「わらわの力でもなせぬで、難儀しておったのじゃが、セオドアがいれば造作もないことじゃ。手伝ってくれぬか?セオドアよ。
 過去にボスを倒しておるじゃろう?」

 閉じ込められているんじゃ、住処を増やそうと思ったら、ダンジョンを攻め落とす他ないってことか。というか叔父さん、過去にここのボスをクリアしたことがあったんだ!

「あの時は俺1人じゃなかった。
 いくらマリーアたちがいたとしても、俺1人じゃさすがに無理な話だが……。
 アレックスなら出来るだろうな。」

「え?ぼ、僕?」
「そのおのこが、セオドアよりも強い使い手じゃとでも申すのか?」

「そうだ。アレックスのスキルならそれが可能だ。──もしもそれが果たせたら、クローディアさまと、仲直りしてくれないか。」
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