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第2章

第235話 歩き回るダンジョンボス

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「──あれっ。」
 僕は思わず声に出してしまい、それを聞いたみんなが僕を振り返る。

「あ、えと、その、均等に経験値を振り分けた筈なのに、エルシィさんだけめちゃくちゃ上がってて、それで驚いたんです。」
 なんで?どういうこと?

「エルシィの種族スキルだろうな。エルシィの種族スキルのひとつが、経験値増加だ。」
「そうなの!?」
「やったにゃー!頭1つ飛び出たにゃ!」

 エルシィさんが飛び上がって喜んでいる。
「はい、叔父さんや、クローディアさまよりも、強くなってます。」
「……ほう?」

 自分よりも強くなったと聞いて、クローディアさまが面白くなさそうな声を出して、それにエルシィさんがビクッとする。

「にゃ、にゃにゃっ、アタシのこれは、ズルみたいなもんにゃから、本当にお強いのはクローディアさまで間違いないですにゃ!」
 エルシィさんが慌てながらそう叫ぶ。

「まあ、別に構わぬ。強きものが増えるのは良きこと。城の守りも強固になろう。
 それで、奴らに対抗は出来そうかの?」

「……それが、英雄になれる可能性が30%を超えたら対抗可能と出たんですけど、超えられたのは叔父さん、クローディアさま、それとエルシィさんだけでした。」

「……そうか。なかなか厳しい数値だの。
 50あまりのダンジョンを回ってそれか。
 まあ、それでも2倍でその数値じゃ。
 贅沢は言えまい。」

「はい、もう一度、次にまたこの国の魔物がわいた頃に、ダンジョンを回れば、次の時には全員30%を超えられると思います。
 ……すみません、一度に超せなくて。」

「よいよい。本来なら得られる筈のなかった力じゃ。次に奴らが来る時にそなえて、こやつらには地獄の特訓をさせようぞ。」

「にゃ!?にゃにゃ!?
 地獄の特訓にゃりか!?
 それはあんまりにゃあ……。」
 エルシィさんがゲンナリしている。

「奴らも無理やり力を引き上げた身と聞いておる。能力に経験が伴っておらぬのじゃ。
 さすれば実践をつませれば、今のままでも奴らを超えることも出来ようというもの。」

 クローディアさまが、パチンと扇子を閉じる。確かに叔父さんは彼らの動きをそう判断したからね。少しでも実力をあげておくに越したことはないよね。

「それと……なんですが。報告は受けていらっしゃると思います。滅鬼族の件で。」
 クローディアさまが真顔になる。

「……奴らの存在を見直せということじゃったな。確かに報告は受けておる。今のきゃつらは今まで知っていた滅鬼族とは異なるかも知れぬと、の。じゃが……。」

 今まで敵視していたわけだから、簡単にはそれを覆せないと考えているのかも知れないね。それも無理のないことだとは思うけど。

「……実は、ルシーアさんは英雄の1人である、賢神になれる可能性のある人なんです。
 出来たらあの人の力も借りれたらと、僕は考えているんです。」

「あの鬼娘がか?ふむ……。」
「クローディアさまに許していただけるのであれば、ルシーアさんにも経験値を与えてレベルを引き上げたいと思うのですが……。」

 クローディアさまはしばらく無言だった。みんな一言も発さずに動向を見守っている。
 ……やっぱり駄目かな?

「あい、分かった。きゃつらが協力することを前提に、外に出ることを許可しようではないか。近々会談の場を設けようぞ。」
「──!!ありがとうございます!」

「さすれば、先祖の罪はもはやあがなわれたとしてもよいじゃろう。
 まあ、きゃつら次第じゃがの。」

 クローディアさまがそう言ってくれた。
 滅鬼族が外に出られる!
 マリーアさんもルシーアさんも喜ぶね!

 ……あれ?けど、ダンジョンボスの地位に座ったマリーアさんはどうなるんだろ?
 ダンジョンボスって外に出られるの?
 そこらへんどうなんだろ?

【回答、ダンジョンボスは他の魔物同様、自由に外に出ることが可能です。自由に歩き回っているダンジョンボスもいるほどです。】

 そうなんだ!良かった!
 ──ん?自由に歩き回っているダンジョンボス?ダンジョンボスがずっとダンジョンの中にいないってこと?

【回答、そういう存在もいます。】

 へえ~。それってダンジョンブレイクやスタンピードにならないのかな?ていうか、自由に歩き回ってるダンジョンボスって……。
 どこかで遭遇したりしないのかな?

【回答、ダンジョンブレイクやスタンピードは、中の魔物があふれた状態のことをさします。ダンジョンボスが外に出たとしても、ダンジョンブレイクやスタンピードにはつながらない為、その心配はありません。
 また、ダンジョン外にてダンジョンボスに遭遇した場合はお知らせいたします。】
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