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第3章
第423話 ルカリア学園の裏庭の出来事④
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「あれれ?ベンジャミン、嫉妬?
まあ、君は下級スキルだものね。伝統あるグリフィス侯爵家が下級スキルで、まさか平民が上級だなんて面白くないよね。」
ボビーがからかうようにニヤリと笑う。
「うるさい。出来るのか、出来ないのか。」
「まあ、ちょっとやり方は考えよう。」
「それより殿下、オフィーリア嬢とはどうなったんです?」
「どうなったも何も、相変わらずキャベンディッシュ侯爵家の婚約者のままさ。」
「ルーデンス殿下を振っておいて、キャベンディッシュを取ったくせに、放逐された兄の代わりに弟と婚約するとはねえ……。」
「それな。奴が放逐されると聞いた時は、てっきり婚約破棄になると思ったのに。」
「サイラス・フォークナーが、嬉々として喧伝してましたからね。」
グレイソンたちは知らなかった。その噂を耳にしたルーデンスが、再びオフィーリア嬢に婚約を打診して、婚約破棄などしていないとすげなく返答されたという事実を。
『オフィーリア・オーウェンズ……!!
この王太子ルーデンスをふるとは、実にいい度胸だ……!』
ふるも何も、家を飛び出していたオフィーリアは、そんな打診があったことすら知らなあったが、あのオーウェンズ伯爵であれば、これを機会に王太子に乗り換えるであろうことは想像にかたくなかった。
だからこそ、オフィーリアが飛び出して、王家の影に行方を隠されたことで、やはりリアムとでは駄目だと言えなくなってしまったことなど、ルーデンスにはわからず、オフィーリアが嫌だとごねたのだと考えていた。
特別な馬車を買い与えるなど、オーウェンズ伯爵がオフィーリアに特別甘いことは、ルーデンスだけでなく皆が知る事実だからだ。
しかも、放逐された筈の元キャベンディッシュ侯爵令息が文官科に入学し、それを追いかけてオフィーリアまでもが入学した。
やはり弟のリアムは隠れ蓑で、親が認める婚約として結婚をし、元キャベンディッシュ侯爵令息を、こっそり愛人にするつもりなのだろうとルーデンスは考えた。
「奴の何がそんなにいいんだか。」
「ルーデンス殿下よりもいいとでも言うつもりかね。もう平民だろう?後継者が侯爵家を放逐されるなんて前代未聞だよ。」
「大人しくしてればいいのに、最短でSランク商人になったとかで、Sランク冒険者である叔父のセオドア・ラウマン同様、平民たちの人気を集めてますよ。」
「……まあ、所詮は平民の成り上がりだ。
成り上がりに憧れるなんて、実に庶民らしいじゃないか。後継者になれなかった元後継者なんて、相手にする貴族はいないさ。」
「それがどうも、そうでもないみたいなんですよね、商団を持っている貴族ほど、一目置いているというか……。」
「例のヒルデって子も、奴と親しいみたいだよ。……気に入らないよね。」
「──一目置かれている?」
ルーデンスはピクリと眉を動かした。
自分の気に入らない存在が、たくさんの貴族たちから認められているということが、ルーデンスは尚の事気に入らなかった。
人の見ていないところで足を引っ掛けて転ばせてやったが、もっと明確に痛めつけてやったほうがいいだろうかと考えていた。
ルーデンスたちは曾祖母である王太后が、アレックスを取り込もうとして、その為にルカリア学園への入学を、国が半ば強制的に押し付けたという事実を知らない。
そしてレグリオ王国との静かなる塩戦争に勝利するに必須だった、神の塩をアレックスしか仕入れられないという事実も知らない。
将来国の中枢をになう要職につく予定とはいえ、しょせんはただの学生の立場だ。
ルーデンスも王太子としての仕事はあれども、国政にまではかかわらないからだった。
「だったらオフィーリア嬢も、もういいんじゃないですか?国母にならないのであれば、特別扱いする必要もないでしょう。」
「それもそうだよな。なにが最も高貴な伯爵家だよ。いくら王女さまが降嫁されたからって言っても、遠縁もいいとこじゃないか。」
「──次はオフィーリア嬢なんてどうです?
ルーデンス殿下。」
ハリソンの言葉に、少年たちが次々にルーデンスを見てニヤリと笑う。
「もしも元婚約者が我々のオモチャになることがあったなら、元キャベンディッシュ侯爵令息にも、いい見せしめになるのでは?」
直接元キャベンディッシュ侯爵令息を痛めつけるのもいいが、それであれば自分に恥をかかせたオフィーリアともども、罰をくだせてそれは胸がすくことだろうな、とルーデンスは仄暗い感情がわいてくるのを感じる。
「そうだな、そろそろ彼女にも思い知らせてやったほうが良いだろう。──誰がこの国で1番偉い人間になるのかをな。」
ルーデンス王太子は目を細めて笑った。
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まあ、君は下級スキルだものね。伝統あるグリフィス侯爵家が下級スキルで、まさか平民が上級だなんて面白くないよね。」
ボビーがからかうようにニヤリと笑う。
「うるさい。出来るのか、出来ないのか。」
「まあ、ちょっとやり方は考えよう。」
「それより殿下、オフィーリア嬢とはどうなったんです?」
「どうなったも何も、相変わらずキャベンディッシュ侯爵家の婚約者のままさ。」
「ルーデンス殿下を振っておいて、キャベンディッシュを取ったくせに、放逐された兄の代わりに弟と婚約するとはねえ……。」
「それな。奴が放逐されると聞いた時は、てっきり婚約破棄になると思ったのに。」
「サイラス・フォークナーが、嬉々として喧伝してましたからね。」
グレイソンたちは知らなかった。その噂を耳にしたルーデンスが、再びオフィーリア嬢に婚約を打診して、婚約破棄などしていないとすげなく返答されたという事実を。
『オフィーリア・オーウェンズ……!!
この王太子ルーデンスをふるとは、実にいい度胸だ……!』
ふるも何も、家を飛び出していたオフィーリアは、そんな打診があったことすら知らなあったが、あのオーウェンズ伯爵であれば、これを機会に王太子に乗り換えるであろうことは想像にかたくなかった。
だからこそ、オフィーリアが飛び出して、王家の影に行方を隠されたことで、やはりリアムとでは駄目だと言えなくなってしまったことなど、ルーデンスにはわからず、オフィーリアが嫌だとごねたのだと考えていた。
特別な馬車を買い与えるなど、オーウェンズ伯爵がオフィーリアに特別甘いことは、ルーデンスだけでなく皆が知る事実だからだ。
しかも、放逐された筈の元キャベンディッシュ侯爵令息が文官科に入学し、それを追いかけてオフィーリアまでもが入学した。
やはり弟のリアムは隠れ蓑で、親が認める婚約として結婚をし、元キャベンディッシュ侯爵令息を、こっそり愛人にするつもりなのだろうとルーデンスは考えた。
「奴の何がそんなにいいんだか。」
「ルーデンス殿下よりもいいとでも言うつもりかね。もう平民だろう?後継者が侯爵家を放逐されるなんて前代未聞だよ。」
「大人しくしてればいいのに、最短でSランク商人になったとかで、Sランク冒険者である叔父のセオドア・ラウマン同様、平民たちの人気を集めてますよ。」
「……まあ、所詮は平民の成り上がりだ。
成り上がりに憧れるなんて、実に庶民らしいじゃないか。後継者になれなかった元後継者なんて、相手にする貴族はいないさ。」
「それがどうも、そうでもないみたいなんですよね、商団を持っている貴族ほど、一目置いているというか……。」
「例のヒルデって子も、奴と親しいみたいだよ。……気に入らないよね。」
「──一目置かれている?」
ルーデンスはピクリと眉を動かした。
自分の気に入らない存在が、たくさんの貴族たちから認められているということが、ルーデンスは尚の事気に入らなかった。
人の見ていないところで足を引っ掛けて転ばせてやったが、もっと明確に痛めつけてやったほうがいいだろうかと考えていた。
ルーデンスたちは曾祖母である王太后が、アレックスを取り込もうとして、その為にルカリア学園への入学を、国が半ば強制的に押し付けたという事実を知らない。
そしてレグリオ王国との静かなる塩戦争に勝利するに必須だった、神の塩をアレックスしか仕入れられないという事実も知らない。
将来国の中枢をになう要職につく予定とはいえ、しょせんはただの学生の立場だ。
ルーデンスも王太子としての仕事はあれども、国政にまではかかわらないからだった。
「だったらオフィーリア嬢も、もういいんじゃないですか?国母にならないのであれば、特別扱いする必要もないでしょう。」
「それもそうだよな。なにが最も高貴な伯爵家だよ。いくら王女さまが降嫁されたからって言っても、遠縁もいいとこじゃないか。」
「──次はオフィーリア嬢なんてどうです?
ルーデンス殿下。」
ハリソンの言葉に、少年たちが次々にルーデンスを見てニヤリと笑う。
「もしも元婚約者が我々のオモチャになることがあったなら、元キャベンディッシュ侯爵令息にも、いい見せしめになるのでは?」
直接元キャベンディッシュ侯爵令息を痛めつけるのもいいが、それであれば自分に恥をかかせたオフィーリアともども、罰をくだせてそれは胸がすくことだろうな、とルーデンスは仄暗い感情がわいてくるのを感じる。
「そうだな、そろそろ彼女にも思い知らせてやったほうが良いだろう。──誰がこの国で1番偉い人間になるのかをな。」
ルーデンス王太子は目を細めて笑った。
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