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第3章
第466話 兄弟神たちの思惑
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「僕はこのあと、英雄を鍛えてくれる師匠になって欲しい人の手がかりを探しに行くつもりなので、この場を離れる予定ですが……。
2人はどうしたい?」
「私はできたらそうしたいわ。
──特に私が早く勇者にならないと、アレックスの計画上、まずいんでしょう?」
「そうだね、ヒルデと叔父さんには、計画までに勇者になって欲しいと思ってる。」
「なら、私が付き合うわ、ヒルデさん。」
ミーニャがヒルデを向いてそう言った。
「ならば我らが手伝おう。」
「え?お兄さんたちがですか?」
レスタト兄さまの申し出に、ミーニャがびっくりした表情で兄さまたちを見る。
「我々とて、神としてやらねばならないことがあるからな、そうそう手伝ってやることは出来ないが、今日は結婚祝いのつもりで時間をあけてこの場に来ているのだ。奥方たちの手伝いくらいさせて欲しい。」
「いいんですか?母さま。」
僕は思わず母さまを振り返る。
「ええ、そのつもりでこの子たちは来ていたのよ。存分に使ってやってちょうだい。」
「ありがたいです、兄さま、姉さま。」
「か、神さまと訓練って……。」
「私たちどうすればいいの?アレックス。」
ヒルデとミーニャが、恐れおののいたように僕の方を見てくる。まあ、僕も最初はそうだったしなあ。怖いよね、神さまって。
「胸を貸してくれるそうだから、せっかくだし手伝ってもらうといいよ。
僕はまだ師匠を見つけられてないし、そのほうが2人も訓練になっていいでしょう?」
「そ、そうだけど!」
「恐れ多いわ……。」
「神さまだけど、僕の兄弟でもあるんだよ?
2人からしたら親戚なんだから。」
「気軽にそんな風に思えないわよ。」
「うん、私も。緊張しちゃう……。」
「これはね、2人に私たちに慣れて欲しいという思いもあってのことなの。」
母さまがニッコリと2人に微笑む。
「アレックスも最初はそうだったけれど、今では気楽に接しているわ。2人にも早くそうなって欲しいと思っているのよ。」
「オリビアさま……。」
ミーニャが呼び慣れた名前で母さまを呼ぶと、母さまが嬉しそうに目を細めた。
「でも、そうね、考えたら凄いことだわ。
こんな機会、2度とないもの。他の国にも英雄候補はたくさんいると聞いてるけど、こんな風に神さまに稽古をつけてもらってる人なんていない筈。出し抜くいい機会だわ。」
ヒルデの言葉に、ミーニャも覚悟を決めたらしく、コックリとうなずいた。
「そうね、ヒルデさんの言う通りかもしんない。私たちはアレックスの妻として、他の英雄たちより先んじる必要があるもの。」
「ヒルデ……、ミーニャ……。」
他の英雄候補たちに負けないように、少しでも早く英雄になろうとしてくれている、2人の気持ちがとても嬉しかった。
「さあ、そうと決まれば、早速訓練を始めようぞ!時間は有限だからな!」
レスタト兄さまがそう言って手を向ける。
「兄さまは戦えることを楽しんでるわよね。
戦の神のほうが良かったんじゃない?」
ミボルフィア姉さまが笑っている。
「我もそう思っておる!」
レスタト兄さまは嬉しそうだ。
みんなもそれを見て笑った。
「さあ、好きなフィールドを選んでよ。
僕ら7神が相手をするよ。」
マルグス兄さまが2人に尋ねた。
ニヤリと笑う兄さまたちに、ミーニャとヒルデがペコリとお辞儀をする。
「よろしくお願いします、お兄さん。」
「よ、よろしくお願いします!」
「さあ、かかってくるがいい、義妹たちよ!
存分に楽しもう!」
「バトルフィールド、渓谷!」
ヒルデの掛け声でフィールドが変わる。
木々や川や岩場なんかがあって、ヒルデのような近接職には戦い辛く、ミーニャのような弓使いには、身を隠しつつ戦いやすいフィールドだ。だからミーニャの為だろうね。
その意図を汲み取ったミーニャがヒルデを見ると、ヒルデがコックリと頷いたあとで、腰のマジックバッグから盾と兼用の斧を取り出して、木々の間に姿を消した。
ミーニャもコックリと頷き返すと、腰のマジックバッグから石弓を取り出して背負いつつ、サッと木々の間に身を隠した。
ヒルデはともかく、ミーニャ、随分と戦い慣れたなあ。ミルドレッドさんの個別訓練のおかげかな。SSランクとも言われるドラゴンの訓練を長いこと受けたんだものね。
ミーニャもヒルデより先にBランクになったんだったっけ。ひょっとしたら弓使いだけど、近接職のヒルデより強いかも?
そうして人間の女の子2人対神さま7人との模擬戦が幕を開け、僕と母さま、戦いに加わらなかったキリカはそれを見守っていた。
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2人はどうしたい?」
「私はできたらそうしたいわ。
──特に私が早く勇者にならないと、アレックスの計画上、まずいんでしょう?」
「そうだね、ヒルデと叔父さんには、計画までに勇者になって欲しいと思ってる。」
「なら、私が付き合うわ、ヒルデさん。」
ミーニャがヒルデを向いてそう言った。
「ならば我らが手伝おう。」
「え?お兄さんたちがですか?」
レスタト兄さまの申し出に、ミーニャがびっくりした表情で兄さまたちを見る。
「我々とて、神としてやらねばならないことがあるからな、そうそう手伝ってやることは出来ないが、今日は結婚祝いのつもりで時間をあけてこの場に来ているのだ。奥方たちの手伝いくらいさせて欲しい。」
「いいんですか?母さま。」
僕は思わず母さまを振り返る。
「ええ、そのつもりでこの子たちは来ていたのよ。存分に使ってやってちょうだい。」
「ありがたいです、兄さま、姉さま。」
「か、神さまと訓練って……。」
「私たちどうすればいいの?アレックス。」
ヒルデとミーニャが、恐れおののいたように僕の方を見てくる。まあ、僕も最初はそうだったしなあ。怖いよね、神さまって。
「胸を貸してくれるそうだから、せっかくだし手伝ってもらうといいよ。
僕はまだ師匠を見つけられてないし、そのほうが2人も訓練になっていいでしょう?」
「そ、そうだけど!」
「恐れ多いわ……。」
「神さまだけど、僕の兄弟でもあるんだよ?
2人からしたら親戚なんだから。」
「気軽にそんな風に思えないわよ。」
「うん、私も。緊張しちゃう……。」
「これはね、2人に私たちに慣れて欲しいという思いもあってのことなの。」
母さまがニッコリと2人に微笑む。
「アレックスも最初はそうだったけれど、今では気楽に接しているわ。2人にも早くそうなって欲しいと思っているのよ。」
「オリビアさま……。」
ミーニャが呼び慣れた名前で母さまを呼ぶと、母さまが嬉しそうに目を細めた。
「でも、そうね、考えたら凄いことだわ。
こんな機会、2度とないもの。他の国にも英雄候補はたくさんいると聞いてるけど、こんな風に神さまに稽古をつけてもらってる人なんていない筈。出し抜くいい機会だわ。」
ヒルデの言葉に、ミーニャも覚悟を決めたらしく、コックリとうなずいた。
「そうね、ヒルデさんの言う通りかもしんない。私たちはアレックスの妻として、他の英雄たちより先んじる必要があるもの。」
「ヒルデ……、ミーニャ……。」
他の英雄候補たちに負けないように、少しでも早く英雄になろうとしてくれている、2人の気持ちがとても嬉しかった。
「さあ、そうと決まれば、早速訓練を始めようぞ!時間は有限だからな!」
レスタト兄さまがそう言って手を向ける。
「兄さまは戦えることを楽しんでるわよね。
戦の神のほうが良かったんじゃない?」
ミボルフィア姉さまが笑っている。
「我もそう思っておる!」
レスタト兄さまは嬉しそうだ。
みんなもそれを見て笑った。
「さあ、好きなフィールドを選んでよ。
僕ら7神が相手をするよ。」
マルグス兄さまが2人に尋ねた。
ニヤリと笑う兄さまたちに、ミーニャとヒルデがペコリとお辞儀をする。
「よろしくお願いします、お兄さん。」
「よ、よろしくお願いします!」
「さあ、かかってくるがいい、義妹たちよ!
存分に楽しもう!」
「バトルフィールド、渓谷!」
ヒルデの掛け声でフィールドが変わる。
木々や川や岩場なんかがあって、ヒルデのような近接職には戦い辛く、ミーニャのような弓使いには、身を隠しつつ戦いやすいフィールドだ。だからミーニャの為だろうね。
その意図を汲み取ったミーニャがヒルデを見ると、ヒルデがコックリと頷いたあとで、腰のマジックバッグから盾と兼用の斧を取り出して、木々の間に姿を消した。
ミーニャもコックリと頷き返すと、腰のマジックバッグから石弓を取り出して背負いつつ、サッと木々の間に身を隠した。
ヒルデはともかく、ミーニャ、随分と戦い慣れたなあ。ミルドレッドさんの個別訓練のおかげかな。SSランクとも言われるドラゴンの訓練を長いこと受けたんだものね。
ミーニャもヒルデより先にBランクになったんだったっけ。ひょっとしたら弓使いだけど、近接職のヒルデより強いかも?
そうして人間の女の子2人対神さま7人との模擬戦が幕を開け、僕と母さま、戦いに加わらなかったキリカはそれを見守っていた。
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