369 / 453
第3章

第474話 秘密の開示契約

しおりを挟む
 事務所にいた従者の人と、バイデン伯爵令息にそう言った。
「な、なぜだね?いったい手紙はどんな内容だったと言うんだい?」

「そこから話すことが出来ないんだよ、坊っちゃん。どうしても聞きてえってんなら、あんたも魔法契約を結んでもらうことになる。
 気になるんなら好きにしな。」

「昔の知り合いというのは、先代の英雄だという女性のことだろう?
 ……まさか、勇者に関する事柄かい?」

「悪りぃが俺はなんにも答えらんねえよ、坊っちゃん。聞きたきゃ契約するんだな。」
「まさかアレックス、オリハルコン武器の素材を用意出来るというのは……。」

「すみません、僕も答えられないんです。」
「オリハルコンを用意出来るだって!?」
 タンザビアさんが食いついてくる。

「はい、さきほどフィンリーに、オリハルコン素材と引き換えに、魔法契約をお願いしたのですが、断られてしまって……。」

「ああああ~!なんっちゅう、もったいないことをするんだ!オリハルコンは、アダマンタイトよりも希少素材!弓使いなら当然オリハルコン武器一択だろうに!」

 タンザビアさんが大げさに嘆いている。
「坊っちゃんが了承してりゃあ、俺はオリハルコンをうてたってことか?」

「フィンリーがタンザビアさんに、武器の作成をお願いするのであれば、そうですね。
 お願いすることになったかと思います。」

「素材のオリハルコンなんてのはな、滅多に手に入らねえんだ。昔の武器を溶かして打ち直すのが殆どだ。今流通しているオリハルコン武器の大半がそれさ。

 だが打ち直しってのは当然強度が下がるもんだ。素材からいちから作れる機会なんてのは、この先二度とねえかも知れねえんだぞ?
 やっちまたなあ、坊っちゃん……。」

 それを聞いたバイデン伯爵令息は、頭をガシガシと掻きむしりながら、その場をぐるぐると回りだした。

「わかった!僕も魔法契約を結ぼう!
 だから僕にも話を聞かせてくれ!」
 と目をギュッと閉じて叫んだ。

「わかりました、では、従者の方のみ、外に出ていていただけますでしょうか?」
「言う通りにしてくれ。」
「かしこまりました。」

 従者の方が外に出て行き、僕はタンザビアさんとバイデン伯爵令息と、秘匿を誓う魔法契約の書面をかわし、空中に放り投げた。

 青い炎が一瞬大きく広がって、書類が消失する。これで契約完了だ。
「さあ!これで準備万端だ!
 さっそく話してくれたまえ!」

「その前にまず、タンザビアさんがどこまでご存知なのか把握しておきたいので、エリクソンさんの手紙の内容を教えていただけませんでしょうか?」

「ああ、ミューレからの手紙はこうだ。
 ……もう一度英雄の武器と防具を作れるチャンスがある。アレックス・ラウマンという人物が訪ねてくるので、彼の話しを聞いて欲しい。彼はゼフォンと近しいもの、同じ道をたどるもの。これ以上は魔法契約の秘匿条件に触れる為話すことが出来ない、とな。」

「ゼフォンさんとは?」
「先代の勇者の名前さ。それで俺は、あんたが“選ばれしもの”が受けた神託の対象者なんだろうとあたりをつけたんだ。」

「確かにそうですね、僕は“選ばれしもの”が受けた神託の対象者です。
 それと、先代の勇者──ゼフォンさんを守護していた、宝石の精霊パルフェ、今はカナンと呼んでいますが、彼女の新たなマスターでもあります。」

「パルフェ!?あいつ、生きていたのか!?
 ゼフォンが死んだ時に、一緒に世界樹に飲み込まれたもんだとおもっていたが……。」

「ゼフォンさんが、アイテムボックスに入れていたんです。僕はゼフォンさんのアイテムボックスに干渉出来るスキルを持っています。そこで〈英雄の剣〉も手に入れました。」

「ゼフォンのアイテムボックス?
 奴は死んでいるのに、どうやって……。」
「亡くなられた方のアイテムボックスに、干渉出来るスキルなんですよ。」

「なんてこった……。
 とんでもねえスキルだな……。」
「これ、カナン──パルフェの宝石です。」

 僕は首にかけていた、カナンのペンダントを外して、タンザビアさんに手渡した。
「間違いねえ……。確かにパルフェが宿っているペンダントだ……。懐かしいなあ。」

 タンザビアさんは少し泣きそうになりながら、愛おしそうに宝石を撫でた。
「なっ!?それを撫でちゃあ……!」
「ん?まずかったか?」

 だけど宝石は少しも光らなかったし、カナンも宝石から出てきたりはしなかった。
 マスターの僕が撫でないと意味がないのかな?良かった……。あれ恥ずかしいからね。

────────────────────

少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援を押していただけたら幸いです。
しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。