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第3章

第536話 空間の裂け目

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「くそっ……!“ななつをすべしもの”め、まだそんな力を隠し持っていたとは……!お前たち、そんな奴らは無視して“ななつをすべしもの”を捕まえろ!もっと力をやるぞ!」

 それを聞いた、海賊たちと戦っていた男たちが、途端にザワッとする。
「力……!」
「それがあれば、こんな奴らになんか遅れを取らねえ!もっと強く、なれる!」

 ──そう言って、ギラリと一斉に僕の方を見たんだ。思わず僕の背筋につっ……と嫌な汗が伝う。リカーチェ・ゾルマインに見られている限り、僕は<海>を発動させることが出来ない。それなのにあんな大勢に襲われたらひとたまりもないよ……!

 そこに、クラーケンがスッと彼らの方を向いて、触手をガバッと広げた。
「クルカ……!オモシロイ……!コイ!アタラシイチカラノ、エジキニシテヤル!」

 そう言って、触手をゆらりと揺らした。
「新しい力は俺のものだ!」
「あっ!──負けるか!」
 海賊たちを飛び越えてこちらに向かって来る大勢の男たち。

「……ヘイルストーム。」
「うわああああっ!?」
 雹や霰を伴う嵐を発生させ、男たちを空中から叩き落とすクラーケン。

 そしてズッと体を引きずって前に出ると、
「リキットブレード。」
 水の刃を作り出して、男たちを攻撃した。

 男たちはそれぞれ武器を盾代わりにして、クラーケンの攻撃を防ごうとしたのだけれど、まるで防御を無視するかのように、クラーケンの水の刃が男たちを貫通する。

「ぐ……!うう……!」
 圧倒的な力で、一撃のもとに倒された男たちは、身動きも取れないようだった。

「ちっ……!使えない奴らめ!──エテペ!聞こえるか!お前の力を貸せ!こちらに通路をつなげよ!」

 リカーチェ・ゾルマインがそう叫ぶと、突如として空間がひび割れて裂け目が出来、そこに巨大で半透明な、白髪に白ひげの男性の姿が現れた。巨大な手をこちらに伸ばしてくる。──僕を捕まえたのはあれだったんだ!

 巨大な透明な手が、リカーチェ・ゾルマインたちを掴んで、空間の裂け目へと持ち上げていく。空中を飛び回っていたザザ・アイワナ・バイツウェル2世も、反対の手で捕まえられて、裂け目の中へと消えていく。

 ──あそこから外に出られるんじゃ!?
「ピエールさん!奴らが逃げます!たぶんあそこから外に出られそうです!」

 それを聞いたジューンさんが、
「あの裂け目だな!?よし!」
 と叫んで、先端に4つに広がった鉤のついた鎖を取り出すと、ブンブンと振り回す。

 それを空中に放り投げたのだけれど、当然高さが足りなくて、とても届きそうには見えなかった。だけど突然、グンッと先端が生き物のように動き出し、空をのぼるようにして裂け目にガキッと引っかかった。

「──なんだと!?」
 それに驚くリカーチェ・ゾルマイン。
「あれは……!」
「“追捕”の鎖だぜ!」

 ジューンさんがそう言って笑う。そして鎖の端っこをがっしりと掴むと、ピエールさんに向かって叫ぶ。
「今だ!ピエール!」

「おうよ!!てめえら、あの裂け目に突っ込め!」
 そう叫ぶと、海賊たちまでもが一斉に裂け目に向かって鎖をつたって登り始めた。

 鎖を器用につたって、空間の裂け目に飛び込もうとするピエールさんに、リカーチェ・ゾルマインが叫ぶ。

「くっ……!──お前たち!あの鎖を外せ!」
 リカーチェ・ゾルマインがそう命令すると男たちが鉤を外そうと、体重のかかった鎖を無理やり裂け目から引き剥がそうとする。

「うおおおお!」
「リカーチェ様のために!」
「リカーチェ様万歳!」
「うおおおおおっ!!」

「させるかあっ!」
 ピエールさんが鎖を引っ張り、空間の裂け目へとつかまる。そしてそのまま裂け目の奥へと、ひらりと身を躍らせて入って行った。

 そして、それに続くように、海賊たちが次々と裂け目に飛び込んでいく。
「くっ!──エテペ!奴らを止めろ!」

 リカーチェ・ゾルマインが叫ぶと、空中にいた白髪の老人が手を前に出して、その掌から光弾を放った。それはまるでレーザーのように一直線に伸びていく。

「うおっ!?」
 それを間一髪で避けたピエールさんは、体勢を崩して裂け目から落ちそうになった。
 ジューンさんが、
「うおりゃああ!」

 と鎖を引っ張る。すると、鉤が裂け目に引っかかり、裂け目がグイッと大きく広がったんだ。その勢いで、リカーチェ・ゾルマインたちが裂け目から落っこちそうになる。

「くそ……!エテペ!中に引きずり込め!」
 透明な巨大な手が、空間の裂け目の前にいた海賊たちを捕まえると、そのまま裂け目の中に引きずり込んだ。

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