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第92話 初めての野菜収穫②
俺は、俺やアエラキから引き離されて、ひとりぼっちで泣きながら、無理やり人間たちに精霊としての力を使わされるカイアの姿を想像してしまい、思わずゾッとして背中に嫌な汗をかいた。
……これはどこかでこの世界の中での精霊のあり方というものを、もう少し調べたほうがいいかも知れないなあ。
カイアが時たま使う防御魔法くらいなら、魔物も使うし、人間も使うから、特別珍しくはないが、雨を降らせたり植物を成長させる力なんてかなりレアな筈だ。ともかく、今はカイアに力の使い方について、気を付けさせておいたほうがいいだろう。
「そうか。ラグナス村長の村のみんなもきっと喜ぶだろうな。野菜が育たなくて困っていると言っていたからな。
けど、カイア、お父さんと、ひとつ約束してくれるか?お父さんがいいと言うまで、その力を人前で使っては駄目だ。」
カイアは困惑したように俺を見上げる。
「怒ってるわけじゃないんだ。カイアはラグナス村長たちの為に、いいことをしてくれたんだからな。だけど、それはとっても珍しい力かも知れないんだ。」
俺の言葉に円璃花がピンときたようだ。
「そうね。カイアちゃんの力はとっても素敵なものだけど、たくさんの人が欲しがる力でもあるわ。カイアちゃんがその力をは使えると知られたら、悪い人たちに狙われてしまうかも知れないもの。そうしたらお父さんと離れ離れになってしまうわよ?」
円璃花にそう言われて、カイアが悲しそうな表情で俺にギュッとしがみついた。おそらく想像してしまったのだろう。
「大丈夫だ、お父さんはカイアの前からいなくなったりしないから。だからカイアもお父さんと内緒にするって約束してくれるな?」
俺はカイアを抱き上げて、よしよしと背中を撫でてやる。カイアはコックリと体ごとうなずいて、内緒にすることに同意した。
「さあ、じゃあ、カイアも収穫を手伝ってくれるか?採れたての野菜を、ラグナス村長の村のみんなに届けてやろうな。」
俺は大きな手提げ籠を2つ、小さな手提げ籠を1つ、それと折りたたみ式輸送コンテナをいくつか出して地面に置いた。
「さあ、もいだ野菜たちをこの籠の中に入れたら、あっちに運んで折りたたみ式輸送コンテナの中に野菜別に移してくれ。」
大きな手提げ籠は俺と円璃花、小さな手提げ籠はカイアの為のものだ。収穫バサミを出して、円璃花とカイアにも手渡した。子どもや女性も持ちやすい大きさのものだ。
「ハサミは危ないからな、ゆっくり切るんだぞ。枝のところを少し残して切ってあげるといいぞ。さ、始めるか。」
俺たちは野菜の収穫を始めた。円璃花もカイアも、初めての収穫が楽しいようだ。
俺は小さな階段式の台を出してやり、カイアはそれにのぼって、自分の背の届くところになっているものを収穫し、俺が背の高いところのものを収穫した。そうして折りたたみ式輸送コンテナに野菜を移していると、家の中で遊んでいたアエラキも庭に出てきた。
「──アエラキもやってみるか?」
アエラキの手では、さすがにハサミを上手に持つのは無理そうだからな。
トウモロコシの収穫を手伝わせてやろう。
俺はアエラキを抱き上げると、
「トウモロコシを抱っこして持って、下に向けて倒してねじってごらん。」
俺の言った通りにアエラキがトウモロコシをねじ切ると、嬉しそうに胸に抱いている。自分とさほど大きさの変わらないトウモロコシだから、俺が手伝ってやるつもりでいたのだが、さすがはあのカーバンクルのお父さんの息子なだけあって、力は強いようだった。
「さあ、トウモロコシはこの折りたたみ式輸送コンテナの中に入れような。」
アエラキを抱いたまま折りたたみ式輸送コンテナの前に運んでやり、アエラキが折りたたみ式輸送コンテナの中にトウモロコシをポトリと落とした。
「──ん?降りたいのか?」
抱っこしてやっていたアエラキが降りたがるので、俺が地面に降ろしてやると、ピョンピョンと跳ねてトウモロコシ畑の方に行き、一人で飛び付いてトウモロコシをもいでは、折りたたみ式輸送コンテナの前に行き、ピョンッと中に入ってトウモロコシを置いて出て来るというのを繰り返しだした。
「おお、すごいな!じゃあ、手の届くトウモロコシはアエラキに任せてもいいか?」
俺がそう尋ねると、アエラキが自信タップリにコックリとうなずいた。かわいいな。
俺たちは大半の野菜を折りたたみ式輸送コンテナの中に移して、一部を自分たち用に冷蔵庫の中にしまった。
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……これはどこかでこの世界の中での精霊のあり方というものを、もう少し調べたほうがいいかも知れないなあ。
カイアが時たま使う防御魔法くらいなら、魔物も使うし、人間も使うから、特別珍しくはないが、雨を降らせたり植物を成長させる力なんてかなりレアな筈だ。ともかく、今はカイアに力の使い方について、気を付けさせておいたほうがいいだろう。
「そうか。ラグナス村長の村のみんなもきっと喜ぶだろうな。野菜が育たなくて困っていると言っていたからな。
けど、カイア、お父さんと、ひとつ約束してくれるか?お父さんがいいと言うまで、その力を人前で使っては駄目だ。」
カイアは困惑したように俺を見上げる。
「怒ってるわけじゃないんだ。カイアはラグナス村長たちの為に、いいことをしてくれたんだからな。だけど、それはとっても珍しい力かも知れないんだ。」
俺の言葉に円璃花がピンときたようだ。
「そうね。カイアちゃんの力はとっても素敵なものだけど、たくさんの人が欲しがる力でもあるわ。カイアちゃんがその力をは使えると知られたら、悪い人たちに狙われてしまうかも知れないもの。そうしたらお父さんと離れ離れになってしまうわよ?」
円璃花にそう言われて、カイアが悲しそうな表情で俺にギュッとしがみついた。おそらく想像してしまったのだろう。
「大丈夫だ、お父さんはカイアの前からいなくなったりしないから。だからカイアもお父さんと内緒にするって約束してくれるな?」
俺はカイアを抱き上げて、よしよしと背中を撫でてやる。カイアはコックリと体ごとうなずいて、内緒にすることに同意した。
「さあ、じゃあ、カイアも収穫を手伝ってくれるか?採れたての野菜を、ラグナス村長の村のみんなに届けてやろうな。」
俺は大きな手提げ籠を2つ、小さな手提げ籠を1つ、それと折りたたみ式輸送コンテナをいくつか出して地面に置いた。
「さあ、もいだ野菜たちをこの籠の中に入れたら、あっちに運んで折りたたみ式輸送コンテナの中に野菜別に移してくれ。」
大きな手提げ籠は俺と円璃花、小さな手提げ籠はカイアの為のものだ。収穫バサミを出して、円璃花とカイアにも手渡した。子どもや女性も持ちやすい大きさのものだ。
「ハサミは危ないからな、ゆっくり切るんだぞ。枝のところを少し残して切ってあげるといいぞ。さ、始めるか。」
俺たちは野菜の収穫を始めた。円璃花もカイアも、初めての収穫が楽しいようだ。
俺は小さな階段式の台を出してやり、カイアはそれにのぼって、自分の背の届くところになっているものを収穫し、俺が背の高いところのものを収穫した。そうして折りたたみ式輸送コンテナに野菜を移していると、家の中で遊んでいたアエラキも庭に出てきた。
「──アエラキもやってみるか?」
アエラキの手では、さすがにハサミを上手に持つのは無理そうだからな。
トウモロコシの収穫を手伝わせてやろう。
俺はアエラキを抱き上げると、
「トウモロコシを抱っこして持って、下に向けて倒してねじってごらん。」
俺の言った通りにアエラキがトウモロコシをねじ切ると、嬉しそうに胸に抱いている。自分とさほど大きさの変わらないトウモロコシだから、俺が手伝ってやるつもりでいたのだが、さすがはあのカーバンクルのお父さんの息子なだけあって、力は強いようだった。
「さあ、トウモロコシはこの折りたたみ式輸送コンテナの中に入れような。」
アエラキを抱いたまま折りたたみ式輸送コンテナの前に運んでやり、アエラキが折りたたみ式輸送コンテナの中にトウモロコシをポトリと落とした。
「──ん?降りたいのか?」
抱っこしてやっていたアエラキが降りたがるので、俺が地面に降ろしてやると、ピョンピョンと跳ねてトウモロコシ畑の方に行き、一人で飛び付いてトウモロコシをもいでは、折りたたみ式輸送コンテナの前に行き、ピョンッと中に入ってトウモロコシを置いて出て来るというのを繰り返しだした。
「おお、すごいな!じゃあ、手の届くトウモロコシはアエラキに任せてもいいか?」
俺がそう尋ねると、アエラキが自信タップリにコックリとうなずいた。かわいいな。
俺たちは大半の野菜を折りたたみ式輸送コンテナの中に移して、一部を自分たち用に冷蔵庫の中にしまった。
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R8.1.20 投稿開始