最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

文字の大きさ
38 / 175
第1章・王宮復讐ざまぁ編

第24話 恭司、絶体絶命

しおりを挟む
 夜道を飛んで先導する恭司の後ろを、ランプを持った俺とユニフェイがついて行きながら山道を登る。
「この山の頂上なのか?」

「ああ、頂上に山小屋があって、そこを根城にしてるって話だ。
 ゴーダたちは一人ずつバラバラに行動することがないから、夜は全員そこに集まってる筈だぜ。
 一人じゃ何にも出来ない、卑怯な奴らさ。」

「──ちなみに何人くらい仲間がいるんだ?」
「……確か、ざっと30人はいるって話だ。
 まあ、不況が長引いてるからな、もっと増えてる可能性もあるけどな。」
 30人……!!
 俺はニヤけそうになる顔を力づくで歪めながら、体が喜びに打ち震えた。

「……びびってんのか?
 無理すんなよ。30人だぜ?」
 俺の震えを勘違いした恭司が、俺を心配して申し訳なさそうに言う。

 恭司がどんなスキルを持っているのか分からないが、たった二人で30人からの男たちに挑もうというのだ。
 そう思うのは無理なかったし、俺が恭司の立場でも、自分から助けを求めはしたが、親友をそんな危険な場所へと連れて行くことへの罪悪感は拭えないだろう。

「なめんな、武者震いだよ。」
「ぬかせ。」
 カッコ良さげなやり取りで誤魔化しておく。さすがの恭司も暗闇でも夜目がきくとはいえ、俺の細かい表情の違いまでは分からないようだ。

 ネクロマンサーのスキルを手に入れた後、あまりにダンジョンの中が暇で、魔法を打ちまくってみたり、アンデットを出してみたりしたのだが、現時点で俺が出せるアンデットの数が30体。

 これは最低限の数で、今後俺のレベルに応じて変わってゆくものらしい。
 俺はそいつらすべてに魔法スキルを付与させるつもりでいた。
 それもレベル5以上。

 ニナンガ王国の王宮の魔法師団は全員がレベル5以上で、魔法師団長がレベル7の水魔法使いだ。
 一対一なら今の俺でも太刀打ち出来るが、さすがに全員を相手にするとなると歯が立たない。

 ネクロマンサーとの戦いでもそうだったが、レベル4以上からは火力の差がモロに出る。
 特にこちら側が弱点属性の場合、こちらがレベル3なら、攻撃時の威力はレベル5相手で8割まで下がる。
 相手の魔法を相殺しきれずに、ジワジワとHPが削られてゆく。

 レベル7相手となると6割までダウンだ。半分も威力が下がるとなると、常にデバフをかけられているようなもの。これはもう長期的な戦闘において、戦いにならない。

 こちらの全体の攻撃力を上げておく必要があるのだ。幸いアンデットにもきっちりMPが振られている。
 俺の時がそうだったように、魔法スキルがないだけで、魔法スキルさえあれば、いつでも魔法が撃てるようになるのだ。

 だが戦闘時以外の外出を禁じられている魔法師団は、敵が現れない限り外に出て来ないので、一人ずつ襲ってスキルを奪う真似も出来ない。

 また前衛職ではないので、戦闘時は前に出て来ない。ただし相手が魔法を使う場合は別だ。
 ネクロマンサーにパーティーで挑む際もそうだが、魔法攻撃がメインの敵相手の場合、相手のレベルが高かったり、数が多いと、本来の前衛職では近付く前に遠距離からの攻撃でやられてしまう。

 だからこの場合魔法職が前衛となり、弓や剣士はサポートに回る。魔法を使うアンデット軍団が現れれば、魔法師団は否が応でも前に出なくてはならない。
 そこで一人ずつ潰していけばいいのだ。

 試しに一体に土魔法レベル1を付与し、一度アンデットを消して、再度召喚してスキルを奪ってみたところ、きっちり土魔法レベル1を回収することが出来た。

 つまり、アンデットは消えていてもどこかに存在していて、一度付与した魔法は消えない。

 俺のイメージしていた、魔法攻撃が可能なアンデット軍団を作るのは、魔法スキルの数さえ集まれば可能だ。
 ただ面倒なのは、こいつらに自律性がないと言うことだった。

 独立したアンデットは自分の意志で勝手に動いていたが、ネクロマンサーに操られたアンデットは、本の消失と同時に動きが止まった。

 ネクロマンサーは本を通じてアンデットに指示を出していて、それがないと奴らは動けないのだ。

 俺は魔物のネクロマンサーと違い、本がなくてもアンデットを動かせるが、いちいち命令しなくてはいけないという点においては変わりはなかった。

 どのスキルを付与した奴に命令を与えるか、30体分管理しなくちゃならないのかと思うと、ちょっとウンザリしてくる。
 せっかく苦労して手に入れたスキルだが、何でも出来るというわけにはいかないようだ。

 一度攻撃命令を出しさえすれば、フルオートで戦ってくれる姿をイメージしていただけに、これには大分萎えた。
「……あそこだ。」

 恭司の声に明かりの漏れる窓を見る。人影が動いていて、大きな笑い声や、下卑たヤジのようなものが聞こえる。どうやら中にいて、酒盛りをしているようだ。

「──中の様子を見て来れるか?」
 俺は恭司に訪ねた。俺が隠密で行ってもいいが、本来、人に付与されるスキルは3つまで。この力を恭司に隠している俺としては、出来るだけ色々なスキルがあるところを見せたくはない。

 恭司の見た目はフクロウだ。窓から覗いているところが見つかったところで、気にも止められないだろう。 
「OK、ちょっと行ってくるぜ。」
 恭司は山小屋の窓へと音もさせず静かに羽ばたいた。

 暫く窓から中を覗いていたかと思うと、恭司が殺気に満ちた表情で戻って来た。フクロウの表情の違いなんて分かる筈もないが、殺意を纏った空気が恭司の体内から滲み出ているのを、肌が感じて鳥肌が立つ。

「……あいつら酒盛りのネタに、泣いてるサンディにストリップさせてやがった。
 大勢の男たちの前でだ。
 ──分かるか?全裸になったサンディが、てめえで股を開けと命令されて、泣きながら、怯えながら、机の上で全員に見えるように、股を開いて見せて、それを笑われる恐怖が。
 なあ、あいつら殺す。全員殺す。……止めんなよ匡宏。
 ──あいつらは、俺を本気で怒らせた。」

 羽ばたきながら震える声で告げる恭司の顔が、影に隠れて見えなくなる。次の瞬間、俺が恭司を見失ったかと思うと、パリンという音とと共に、山小屋の窓が割れた。
 恭司が窓から突っ込んだのだ。

「……あいつ……、先走りやがって……!」
 慌ててユニフェイと後を追う。
「何だコイツ!」
「フクロウ……?」

 突然現れ羽ばたきながら睨みをきかせる恭司に、山小屋の中は軽いパニックになっていた。
「キョー……ちゃん?」
 涙でぐしゃぐしゃになった顔で、サンディが恭司を見る。

 恭司は素早く室内を飛び回ると、男たちに体当たりして回る。
「うわっ!」
「いててて!」
「こいつ……!」

 捕まえようとするも素早過ぎて捕まらない。
 恭司はレベル3雷魔法を使った。山小屋の中が、さながらアルミホイルを入れた電子レンジかのように、電気の線が縦横斜めに立て続けに走る。

「うわあ!!」
「こいつ魔物だ!」
「何だってんだ急に飛び込んできやがって!!」

 恭司を撃ち落とそうと、ゴーダの仲間たちが魔法を放つ。恭司はそれを避けながら室内を飛び回った。

「──おいやめろ!小屋の中で魔法を使うんじゃねえ!外に誘導するんだ!」
 ゴーダの言葉に全員が外に出る。釣られて恭司が外へと飛び出した。

「俺らの小屋をめちゃくちゃにしやがって。
 たかがフクロウが俺らにかなうと思ってんのか!
 くらえ!
 レベル5魔法、ファイヤープリズン!!」

 ゴーダの放った広範囲の炎が、飛び回る恭司の行く手を塞ぐように周囲に湧いたかと思うと、檻のように恭司を取囲み、瞬間狭まって恭司に襲いかかる。

「恭司ィ──!!!」
 走って追いかけるも間に合わず、炎は恭司の羽へと燃え移り、メラメラと音を立て、恭司は真っ逆様に頭から地面へと落ちて行った。

────────────────────

次世代ファンタジーカップエントリーしています。
応援よろしくお願いいたします。

少しでも面白いと思ったら、いいねをタップしていただけると幸いです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...