最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第1章・王宮復讐ざまぁ編

第39話 江野沢の行方

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「ステータスを確認してくれ。」
 言われたエンリツィオが自分のステータスを確認する。

「火の女神の加護……だと?」
「これが俺の、協定の証だ。
 これで信用して貰えるよな?」

 こいつはゴーダの仲間と戦った時に奪った中にあったものだ。
 恐らくゴーダが持っていた筈。

 魔物には生まれつき何かしらの耐性が備わっている。神話の魔獣や神獣なら特にそうだ。

 恭司はそれがあったからこそ、レベル5恐るるに足らず、と突っ込んで行ったのだ。
 だが、恭司の耐性を超える以上の火力で、ゴーダは恭司を焼き尽くした。

 女神の加護にはその力があるのだ。
 知ってたら俺も挑んではいなかった。
 ゴーダをナルガラの魔法師団が放置している時点で、少し考えるべきだったかも知れないが。

「女神の加護は、火力が2倍、魔力消費量半減の効果を持つ。
 つまり、人の世で、俺に勝る火魔法使いは存在しねえ。
 なんつーモンよこしやがった……!」

 興奮が隠しきれないエンリツィオは、悪い顔をして笑った。

 レベルの高い魔法が使えるようになるわけじゃないが、レベル7の魔法の威力が2倍だ。

 レベルの高い火魔法使いと戦っても、火力で押し勝てるのだ。

 俺は今すぐ必要じゃないし、千里眼で検索したら他にもいた。俺の持つスキルの中で、エンリツィオの役に立つスキルを渡すなら、これしかないと思った。

「あ、アシルさんには、これを渡しますね。」
「──僕にも?」
「オイ、俺だけじゃねーのか?」

 俺はエンリツィオを無視して、アシルさんの手を握る。
「これは……!」

「何を貰ったんだ?」
「ナイショ。」
 アシルさんが人差し指を立てて口に当てる。
「オイ。」

「──ナイショです。」
 俺も人差し指を立てて口に当てる。だってアシルさんがナイショだって言うし。

「オマエこいつにだけ甘くねえか!?
 敬語使ってやがるしよ。」

 自分のレベルの高い魔法スキルを失うかも知れないのに、その危険を犯してまで、親友の役に立とうとするアシルさんを、俺は一発で気に入ってしまったのだ。

 この人は、きっと最後まで、エンリツィオを裏切らないだろう。
「──あなたならきっと、役に立ててくれると思います。」

 アシルさんは、俺の言いたいことが分かったかのように、
「うん、もちろん。」
 と優しく力強く微笑んだ。

「こんなモン貰っちまったんだ。
 こっちも何か渡さねーとな。
 ──ああ、そうだ、アレを持ってくといい。
 日本人なら必要だろ。」

「アレだね?
 用意させるから、ちょっと待ってて。」
 そう言って、アシルさんが部屋を出て行く。
 ──アレとは?

 アシルさんが持って来てくれたのは、何と米だった。

「──俺のオンナが、日本人はこれを食わねえと死ぬって言うもんでよ。
 この世界にはねえモンだから、わざわざ妖精国まで行って種を作って貰ったんだ。」

 妖精までいんの?
 何でもありだな、異世界。

「妖精国は、地図上にはなくてな。
 エルフの国に、そこに繋がるゲートがあるのを突き止めるのに苦労したぜ。

 奴らは基本、俺たちと違って、植物魔法っていう、独特のモンを操るんだが、妖精女王は、世界で唯一の、欲しい種を生み出すスキルを持っててな。

 この世界にないモンでもいけんじゃねえかと思って、頼みに行ったのさ。」
 凄い執念ですこと。よっぽど大事にしてたんだなあ。

「ない物を作らせるなんて、よく引き受けてくれたな?」
「なに、ちょっとこの国にしかない花の蜜を、10樽程やっただけさ。安いモンだ。」

「──3ヶ月かかったんだよ?」
 アシルさんがコソッと耳打ちしてくる。

「妖精女王は人の心が読めるから、悪しき者には渡さぬ、とか言ってたんだけど、エンリツィオと彼と、僕とで一緒に行ったら、そのように相手の為を思う気持ちからであるなら、作ってやろう、って言ってくれたんだよね。」

「妖精女王を脅して作らせる訳にはいかねえからな。了承してくれて助かったぜ。」
 その時のことを思い出したのか、困ったような、やれやれ、と言う顔をする。
 悪しき者以外の何者でもないと思うんだが。

「最初、人の子の営みとは、かように命の危険をとして行うものであるのか?
 お主はそれを了承しておるのか?

 って彼が聞かれた時の、2人の困った顔は面白かったなあ。
 生涯忘れらんないよ。」

「──余計なこと言ってんじゃねえよ。」
 エンリツィオが焦ったような、困ったような顔をする。

 えーと、妖精女王が引くくらいのことを、2人きりでしてたってことかな?
 うん、知りたくない。

「オマエ、他に欲しいモンか、必要な情報はあるか?」
 言われて欲しい情報は2つあった。

「情報が欲しい。
 今すぐでなくても構わないけど、調べて貰えると助かる。」

「──言ってみろ。」
「1つはスキル。
 鑑定が欲しいんだ。

 レアみたいで、仕事についてる奴らばっかで、知られずに奪うのが難しい。
 犯罪者とか、スキル鑑定される前の子どもの情報が欲しい。」

「なるほど?鑑定前の子どもか。
 確かに知られずに奪うにはいい線だ。
 だがそいつを調べるには鑑定のスキル持ちが必要だ。
 犯罪者なら心当たりがある。」

「2つ目は人間。
 現時点までに、ニナンガとナルガラ、それぞれが、クラス単位での勇者召喚を行ったことが、俺の方でも確認出来てる。

 けど、俺たちの修学旅行は、3つのクラスで動いてた。

 3つ目のクラスも、こっちに呼ばれてる可能性がないとは言えない。
 ニナンガとナルガラ以外で、勇者を召喚した国がないか、調べて欲しい。」

「ハッ。そいつは奇遇だ。
 オマエの探してるモンは、すべて一つの国に集まってる。

 ニナンガ、ナルガラが勇者召喚を行ったタイミングと同じくして、アプリティオが勇者を大量に召喚したとの情報が入ってる。

 その国の刑務所には、鑑定師をやっていた奴が投獄されてるって話だ。
 オマケに、その国の王女が、俺のオンナと同じ、心眼の持ち主だとさ。」

 アプリティオ……!
 やっぱり3組も召喚されてた。
 そこに、江野沢が、いるかも知れない。

「どうした?
 やけに嬉しそうだな。
 好きなオンナでもいんのか?」

 からかうようにニヤニヤと笑いながら、エンリツィオが言う。
 うっ。アシルさんまで、生暖かい優しい目で俺を見ている。

 完全にバレてるやつだ。俺どんな顔をしてたんだ。
 一気に恥ずかしくなった。

「付き合ってんのか?」
「いいだろ、別にどっちでも!」
 それを聞いたエンリツィオの表情が変わる。

「……いいか、よく聞け。
 人の命は有限だ。

 ましてや勇者として召喚されたなら、オマエのオンナがいつまでも生きてる保証はねえ。

 素直になれ。
 ──明日そいつが死ぬとしても、オマエは同じ言葉が吐けんのか?」

 エンリツィオが、真っ直ぐ俺を見てくる。
 勇者として召喚された恋人を亡くしたばかりの、エンリツィオの言葉は重かった。

「会ったら……、告白、する。」
「いい覚悟だ。
 覚えとけ、フランス男はいつだって、オンナにキッカケ、命がけだ。
 与えられたチャンスは死ぬ気で掴め。」

 何か語呂のいいこと言うてますけど。
 だがおかげで探してたものの情報が、一気に2つも手に入った。

 あいつらからスキルを奪ったら、アプリティオで江野沢を見つけよう。
 頼む江野沢、生きててくれよ。

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