最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第2章・勇者召喚の秘密編

第52話 アプリティオ観光①

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「──ハア!?
 城に行かねえだあ!?
 お前王女に会いてえんじゃなかったのか?
 ここまで来ておいて何言ってやがんだ。」

 エンリツィオが呆れたように俺に怒鳴る。当然だ。わざわざ挨拶回りの順番を、アプリティオを優先させ、船にまで乗せてくれたのだ。──全部、全部、俺の為。それは分かってる。けど。

「まあまあ、何か理由があるんでしょ?
 頭ごなしに怒鳴ったところで、解決しないよ?」
 アシルさんが優しく間に入ろうとしてくれる。

 アプリティオは豪華なホテルのある国だった。ホテルの俺と恭司の部屋まで、エンリツィオとアシルさんが、昼飯に行こうぜと呼びに来た途端、俺がこの後の王宮訪問同行を拒絶した為、全員部屋を出れずに俺たちの部屋の中にいた。

「──行かねえったって、会える機会は一度だけだぞ?
 やっぱ行きてえってなったって、ハイそうですかと会える相手じゃねえんだ。
 それは分かってんだろ?」

 エンリツィオが前髪をかきあげながら頭を押さえる。
 それは分かる。分かってる。けど、怖い。男として性的敗北を喰らいそうな予感が、俺の足をすくませた。

「……王女の夫選びの話か……。」
 エンリツィオは大きくため息をつくと、

「お前、ちょっと来い。
 後にしようと思ってたが、先に観光に連れてってやる。
 まだ城に行くまで時間があるんだ。
 外に出りゃ、気分も変わるだろ。」

 アシルさんがクスリと笑い、
「そうだね。
 せっかくだし、先に観光しようか。
 僕も久々だし、普段は仕事以外で街中を回るなんて、あんまりないからね。」

 2人して気を使ってくれる。恭司も、行こうぜ、と、ベッドにしゃがんでいる俺の腰に羽を当てた。

 外でヤってる奴らを気にしなければ、アプリティオはとてもきれいな国だった。というか、それだけが景観を損ねている。

 アシルさんに馬車を使う?と聞かれたが、俺たちは馬車を使わずに、その辺をぶらぶら歩く事にした。

 屋台で買い食いをしたり、ヌーディストビーチで、後ろで見守るエンリツィオとアシルさんを残し、恭司と2人で間近で女の子たちの裸を眺めたりもした。
 当然というか、2人とも、隠密と消音行動つき。

 男とは、2つのタイプに分かれるものだ。
 ──おっパブで、知り合いの前でオッパイを舐められる男と、舐められない男だ。

 俺は恭司の前で以外は絶対に無理なので、どちらかというと後者に属する。

 オッパイは見たいし舐めたいが、それをしているところを人に見られたくはない。そんな複雑なオトコゴコロ。

 思春期だからというのもあると思うが、多分これは一生変わらない気もする。

 皆川の時はオシオキだという意識と、相手に対する怒りがあったからこそ出来た事で、普段の俺なら絶対にあんな場所で、スカートの中を直接覗いたりなんてしない。

 恭司は人に何を見られても、まったく気にしないタイプだが、初めて隠密を使って、2人で覗きをするように裸を見ることに、むしろテンションが上がっているようだった。

「──マンゾクしたのか?」
 隠密をといて2人の前に現れた俺の鼻息の荒さに、エンリツィオがニヤニヤと笑いながら聞いてくる。

 裸なんて見慣れたもんのお前と違って、こっちは初めて間近で、女の子の裸というものを明るいところで見たのだ。

 テンションだっておかしくなるわ。
 お前だって初めての時は、緊張したりテンション上がったろうがよ。

 ──と思ったが、なんかコイツは、最初っから落ち着き払っていたんじゃないかという気もする。

 死んだ恋人の話をされる時以外で、女関連でコイツが動揺しているのを見たことがない。

 歓迎式典で誘いをかけられた時の、あしらい方も堂に入ったもんで、明らかに普段から誘いを受け慣れてるって感じだったしな。

 初めての相手も、教師とか、人妻とか、ヤバめの関係の、慣れた年上のオネーサマの方から、誘われてヤってそうだ。

 決して同級生との爽やかな初恋の果てに、なんて青春をおくってきた奴の雰囲気じゃない。

「──そういや、これ、なんの花だ?
 よく見かけるな。」
 俺は沿道に生えた木に咲いた、白い花を指さして言う。

「ああ、これはね、スピリアって言って、この国の国花だよ。ホテルの部屋の中にも飾ってあったでしょ?

 エンリツィオの部屋なんて、山盛りで飾ってあったからね。
 別に珍しい花じゃないから、ニナンガでもナルガラでも、普通に見かけると思うよ?」

 と、アシルさんが教えてくれる。
「──この花はちょっと特殊な性質を持っててな。それでこの国じゃ、国花にまでなってんだ。」

 花を軽く見つめて撫でながら、エンリツィオが言う。

「へえ~。
 どんな性質なんだ?」

「この花を持ちながら、相手のことを思い浮かべると、気持ちに応じて色が変わるんだよ。

 取っても大丈夫だから、2人とも花を持ってごらん?」

 そう言われて、俺と恭司は花を手折る。

「お互いを見つめて、相手のことを考えてごらん?
 別に見つめなくても出来るけど、見たほうが早いかな。」

 アシルさんが小首を傾げながら言った。
 俺と恭司は、花を持ったまま、お互いを見つめる。するとお互いの持つ花の色が、次の瞬間、真っ青へと変わる。恭司の方が気持ち濃いかも知れない。

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