最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第2章・勇者召喚の秘密編

第53話 江野沢との再会②

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 はい、とエンリツィオの部下たちの内の何人かが返事をして、エンリツィオの護衛を残し、部屋から出て行った。

「ていうか、あの中で魔法でもぶっ放したのか?
 スゲー音がしてたけど。」

「──あん?
 俺の握力は227だぞ?

 魔法なんかなくたって、あんなジジイごときに負けっかよ。
 握り潰してぶん投げてやっただけだ。」

 わあ、ゴリラの半分近くある。
 俺だって78で、一般男性の平均からしたらある方なのに。

「金玉を?」
「──誰があんな、きたねえジジイの金玉握るか。
 肩だよ、肩。」

 ちなみに俺は握力はあるが、腕力はないので腕相撲は弱い。昔リンゴを握りつぶせたらカッコイイと思って、鍛えた結果だ。

 あと、潰せるけど、意外とコツがいることも分かった。

「誰か、呼びますか?」
 エンリツィオの部下が声をかける。

 この場合医者ではなく、エンリツィオの相手をする人間、という意味だろう。女と言わないのは、この間まで恋人が男だったから、どちらの可能性も踏まえてなのだろう。

 そうか、媚薬って、そういう事だもんな……。エッチで出し切るまで、おさまらないと聞いた事がある。

「──アニキ、俺のを使って下さい!」
 突然、恭司がテーブルに飛び乗ると、エンリツィオの顔の前に尻を向ける。あまりの出来事に、エンリツィオが目を剥いている。

「アニキの為なら、俺はこの身を捧げてでもお~~!」
 どうやら翼で尻の穴を広げて見せているつもりらしい。

 エンリツィオが恭司の体を、両手で丸ごとムンズと掴んで、力を入れて握りながら凄む。

「──その小せえケツの穴に何しろってんだ。
 串刺して焼き鳥にでもしろってか?」

「ア……アニキ……苦しい……。」
「オイそこ!笑ってんじゃねえよ!」
 恭司をそこまで心酔させるのも凄いが、この状況は笑うしかない。

 俺とアシルさんは笑いをこらえながら肩を震わせる。

「──テメエのことぐれえ、テメエで処理出来るわ。ほっとけ。
 今からこの部屋に、誰も入ってくんじゃねえぞ。」

 眉間にシワを寄せながら、どんどん息が荒くなり、艶っぽくなっていくエンリツィオが言う。

 こんな、愛人が17人もいたような、モテまくりの男でも、自分でしたりするんだなあ、という、極々当たり前の事に、俺は妙に関心してしまった。

 というか、女を抱く気分じゃないのかも知れない。
 エンリツィオは、未だに死んだ恋人に心を囚われている。

 俺だって、目の前に与えられるエロは享受するが、例えば江野沢と恋人同士だったとして、相手を亡くしたばかりで、他の女の子を抱けるかと言われたら、それはちょっと無理な気がする。

 俺たちは、そっとエンリツィオの部屋をあとにした。

 バタバタと証拠保全に追われるアシルさんと別れて、俺たちに出来ることはないので、ホテルの自分たちの部屋へと戻った。

「……どうすんだ?江野沢のこと。
 正規のルートじゃ、もう会えねえんだろ?」

 恭司は先程のテンションなど、すっかりなかったかのように聞いて来る。

「──城に、侵入しようかと、思ってる。
 ふせってるってことは、部屋に行きゃ会えるってことだ。

 2人きりのが、話もしやすいかも知んねえ。」

 王宮に行った時、警備が前に立っている部屋を見つけてあった。おそらくそこが、江野沢の部屋である可能性が高い。

「そうかも知んねえな。
 じゃあ、俺はここで待ってんぜ。
 ──頑張って来いよ。」

 俺と恭司は、拳を突き出して、グッと合わせた。
 ──俺は暗闇の中、隠密と消音行動を使い、外から城へと侵入していた。

 普通に扉から入るんじゃ、どうしたって扉を開けるのに気付かれてしまうし、恭司に頼んで眠らせたり痺れさせたりしても、長い間持つわけでもなければ、魔法が解けたときに異常に気付かれてしまう。

 江野沢が騒がない限りは、これが最も安全で確実だった。

 江野沢の部屋と思わしきバルコニーにのぼり、窓の前に降り立つ。薄いレースのカーテンが引かれて、外から中はうかがい知れない。

 俺は窓の鍵を確認する。留め具が引っ掛けてあるだけの、簡単な作り。俺は風魔法を細く練って、窓の隙間に差し込むように入れる。

 それをそのまま上に、留め具を持ち上げるように上げる。細いので威力がないせいで、こんな程度の重さの留め具でも、何度も途中まで持ち上がっては下に落ちる。

 一度に持ち上げようとせず、弾くように何度も上に上げるうち、反対側に重さで回って、カチャリと鍵があいた。

 カーテンが風にはためく。窓から中に入ると、天蓋つきのベッドに、江野沢が横になっていた。

 俺の心臓が素早く鼓動を打ち出し、息苦しくなる。ああ、生きている。江野沢が、──生きている。

 夜の冷たい風が頬を撫でるのに気付いた江野沢が、ふと目をあけて上半身を起こした。
 月明かりが差し込んで、その姿がはっきりと見えた。

「……誰かいるの?」
 姿の見えない俺に問いかける。
 俺は、隠密をといた。

「江野沢……。」
 呼びかける俺に、江野沢は不思議そうに、何かを思い出そうとするかのように、少し首を傾げながら、俺をじっと見つめる。

「国峰……。
 匡宏?」
 目の前の江野沢は、確かに俺の名を呼んだ。

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