103 / 175
第2章・勇者召喚の秘密編
第66話 デートの結末①
しおりを挟む
「──僕、元部下を評価してねぎらってやれ、それをお礼の形で、言葉や態度で示せ、って言ったよね。」
エンリツィオが戻るなり、アシルさんに冷たい笑顔で睨んでこられ、エンリツィオが、目だけを見開いてタジタジになる。
「なあんで、お礼って言われて相手を抱いちゃうかなあ?
うちの部下は殆ど男だよ?
君、部下をねぎらったり評価すんのに、いちいちそいつを抱くの?
──違うよね?」
何も言い返せないエンリツィオ。
「て言うか、何でお礼が君の体なのさ?
何かするにしたって、普通食事を奢るとか、飲みに連れてくとか、現役なら休暇を取らせるとか、いくらでもあるでしょ?
愛人にするんだとしても、服とか、アクセサリーとか、物をやるでしょ?
──まあ、君は一度もマリィに物をやったことがないから、発想にすら至らなかったのかも知れないけどね。」
まあ、今までなってたんでしょうねえ、お礼に。
「あ、アイツは護衛の仕事や、諜報活動があっただろ。」
「そうだね。
マリィは元々僕らの部下だったからね。他の愛人と違って、それを続けてたよね。
君が他の愛人を服やアクセサリーで着飾らせて、食事に連れて行ったりしている間にも、彼女は1人で仕事をしてたからね。
だから、そういうことをしてやったことがなかったよね。──1度もね。」
アシルさん、ナイスでーす。
「……他の愛人だって、同伴が必要だったから連れて行ったまでで、俺がソイツとプライベートでデートを楽しんでたって訳じゃねえだろうが。
マリィは他に使い道があったんだ。適材適所ってだけだろ。」
「だから僕もそれはさせてたよ。
だけど、マリィは女の子なんだよ?
好きな相手から物を貰って嬉しくない筈がないでしょ?
おまけに仕事がしたくて組織に入ってくれたのに、君に愛人にさせられた挙げ句、仕事の評価もねぎらいの言葉ひとつ貰えず、愛人としても何もして貰えない。
マリィがそれでも君に尽くしたがるから、僕も目をつぶってたけど、他の部下たち相手なら、別のことをしてやってたよね。」
アシルさんは譲らない。
「──どうしろってんだよ、じゃあ。」
アシルさんはニッコリと微笑んだ。
「デートして来て。
──あ、今まで他の愛人に使った店は、全部駄目だからね。
マリィが警護にあたる際に散々見てきてるから、思い出して悲しくなっちゃうでしょ?
仕事に必要だからとは言え、君が他の愛人を着飾らせて食事を楽しんでた場面を、目の前で何度も見せつけられてきた場所なんだからね。」
組織のボス相手に、アシルさんは見事なまでに容赦がなかった。
「しない方がいいと思うけどなあ……。」
俺はただ1人納得していなかった。
後日、エンリツィオは、着飾らせたマリィさんを伴って、貸し切った高級レストランにやって来ていて、俺はそれを隠密と消音行動で隠れて見ていた。
プライベートとは言え、離れたところで部下たちが警護している状態で、はっきり言ってまったく落ち着く環境じゃない。
マリィさんは緊張した面持ちで、少し顔色が悪い。とてもこの場を楽しんでいるような雰囲気じゃない。
食事が運ばれて来ても、普段とてもキレイな所作で食べるマリィさんが、そりゃあもう、ガッチガチだ。
──好きな男とのデートが初めてなんだもんな。可哀想に。年上だけど妹を心配するような気持ちで涙が出そうになる。
エンリツィオはマリィさんのあいたグラスに、手ずから酒をついでやりながら、鋭い目つきでマリィさんを見た。
「……つまらなそうだな。」
「──え?
そんなことは、ないけど……。」
そう言いながらも、寂しそうに微笑んだ。
マリィさんは、相手の心と関心が欲しい人だ。
いくらでもなることの出来る、エンリツィオの愛人になるよりも、エンリツィオにとって、唯一役に立つ女になることを選んで、気持ちを告げなかった女性。
抱かれて嬉しくない訳じゃないだろうけど、気持ちの伴わない行為よりも、役に立ったと、感謝の言葉ひとつが欲しいのだ。
それを抱いてやることが礼だの、プレゼントをやるだの、それが本当に、マリィさんが一番欲しいものだと思うか?
俺は正直思わない。
複雑そうで悲しげな微笑みをたたえているのは、そういうことなんだろう。デートに誘われること自体は嬉しくても。
俺はエンリツィオとマリィさんがデートに至るまでの間に、日々隠密と消音行動で、マリィさんのプライベートを監視していた。
────────────────────
次世代ファンタジーカップエントリーしています。
応援よろしくお願いいたします。
少しでも面白いと思ったら、いいねをタップしていただけると幸いです。
エンリツィオが戻るなり、アシルさんに冷たい笑顔で睨んでこられ、エンリツィオが、目だけを見開いてタジタジになる。
「なあんで、お礼って言われて相手を抱いちゃうかなあ?
うちの部下は殆ど男だよ?
君、部下をねぎらったり評価すんのに、いちいちそいつを抱くの?
──違うよね?」
何も言い返せないエンリツィオ。
「て言うか、何でお礼が君の体なのさ?
何かするにしたって、普通食事を奢るとか、飲みに連れてくとか、現役なら休暇を取らせるとか、いくらでもあるでしょ?
愛人にするんだとしても、服とか、アクセサリーとか、物をやるでしょ?
──まあ、君は一度もマリィに物をやったことがないから、発想にすら至らなかったのかも知れないけどね。」
まあ、今までなってたんでしょうねえ、お礼に。
「あ、アイツは護衛の仕事や、諜報活動があっただろ。」
「そうだね。
マリィは元々僕らの部下だったからね。他の愛人と違って、それを続けてたよね。
君が他の愛人を服やアクセサリーで着飾らせて、食事に連れて行ったりしている間にも、彼女は1人で仕事をしてたからね。
だから、そういうことをしてやったことがなかったよね。──1度もね。」
アシルさん、ナイスでーす。
「……他の愛人だって、同伴が必要だったから連れて行ったまでで、俺がソイツとプライベートでデートを楽しんでたって訳じゃねえだろうが。
マリィは他に使い道があったんだ。適材適所ってだけだろ。」
「だから僕もそれはさせてたよ。
だけど、マリィは女の子なんだよ?
好きな相手から物を貰って嬉しくない筈がないでしょ?
おまけに仕事がしたくて組織に入ってくれたのに、君に愛人にさせられた挙げ句、仕事の評価もねぎらいの言葉ひとつ貰えず、愛人としても何もして貰えない。
マリィがそれでも君に尽くしたがるから、僕も目をつぶってたけど、他の部下たち相手なら、別のことをしてやってたよね。」
アシルさんは譲らない。
「──どうしろってんだよ、じゃあ。」
アシルさんはニッコリと微笑んだ。
「デートして来て。
──あ、今まで他の愛人に使った店は、全部駄目だからね。
マリィが警護にあたる際に散々見てきてるから、思い出して悲しくなっちゃうでしょ?
仕事に必要だからとは言え、君が他の愛人を着飾らせて食事を楽しんでた場面を、目の前で何度も見せつけられてきた場所なんだからね。」
組織のボス相手に、アシルさんは見事なまでに容赦がなかった。
「しない方がいいと思うけどなあ……。」
俺はただ1人納得していなかった。
後日、エンリツィオは、着飾らせたマリィさんを伴って、貸し切った高級レストランにやって来ていて、俺はそれを隠密と消音行動で隠れて見ていた。
プライベートとは言え、離れたところで部下たちが警護している状態で、はっきり言ってまったく落ち着く環境じゃない。
マリィさんは緊張した面持ちで、少し顔色が悪い。とてもこの場を楽しんでいるような雰囲気じゃない。
食事が運ばれて来ても、普段とてもキレイな所作で食べるマリィさんが、そりゃあもう、ガッチガチだ。
──好きな男とのデートが初めてなんだもんな。可哀想に。年上だけど妹を心配するような気持ちで涙が出そうになる。
エンリツィオはマリィさんのあいたグラスに、手ずから酒をついでやりながら、鋭い目つきでマリィさんを見た。
「……つまらなそうだな。」
「──え?
そんなことは、ないけど……。」
そう言いながらも、寂しそうに微笑んだ。
マリィさんは、相手の心と関心が欲しい人だ。
いくらでもなることの出来る、エンリツィオの愛人になるよりも、エンリツィオにとって、唯一役に立つ女になることを選んで、気持ちを告げなかった女性。
抱かれて嬉しくない訳じゃないだろうけど、気持ちの伴わない行為よりも、役に立ったと、感謝の言葉ひとつが欲しいのだ。
それを抱いてやることが礼だの、プレゼントをやるだの、それが本当に、マリィさんが一番欲しいものだと思うか?
俺は正直思わない。
複雑そうで悲しげな微笑みをたたえているのは、そういうことなんだろう。デートに誘われること自体は嬉しくても。
俺はエンリツィオとマリィさんがデートに至るまでの間に、日々隠密と消音行動で、マリィさんのプライベートを監視していた。
────────────────────
次世代ファンタジーカップエントリーしています。
応援よろしくお願いいたします。
少しでも面白いと思ったら、いいねをタップしていただけると幸いです。
23
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる