最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

文字の大きさ
156 / 175
第3章・血みどろの抗争編

第89話 俺VSナンバー2①

しおりを挟む
 タトゥーがあるとか、特徴的な人からみんなが腕を特定し、俺とギュンターさんが腕をくっつけて、医師と薬師が治療を開始する。

 それを、何やら首を傾げながら見ていた恭司が、

「……ちょっと血の匂い、出来るだけ消してくんねえか?
 ──何人か分かるかも知れねえ。」

 と言い出した。恭司は動物タイプの魔物だから、鳥類とはいえ人よりも鼻がきくのだそうだ。ただ、血の匂いが強過ぎて、本人の匂いに集中出来ないらしい。

 確かに血の匂いが凄くて、目眩がしそうなくらい臭かった。酸化した血の匂いと、新しく流れる血の匂いの違いは、人間の俺でも分かるくらいだ。

 本人の体は血止め程度の回復魔法をかけてあったけど、確かに切り落とされた腕にはかけていなかったのを思い出した。

 体ほどじゃないにしても血が流れ出して、アイテムボックスから取り出した、腕を入れた袋は、いつの間にか中も外も既に血まみれになっていた。

 俺は切り落とされた腕にも回復魔法で血止めを行い、ベッドやシーツ、部下の人たちの体や、切り落とされた腕についた血を、生活魔法ですべて消した。

 けど、レベル7の生活魔法は、匂いの元の汚れは消せても、1度空気中に漂ってしまった匂いには反応しないものらしく、それでも匂いそのものは残っていた。

 俺は他のエンリツィオの部下の人たちにも協力して貰って、窓を全開にして、風魔法で空気を素早く入れ替えた。

 するとユニフェイも、ふんふんと匂いを嗅ぎ始め、ユニフェイは直接口にくわえて腕をベッドに置き、恭司はベッドと腕を往復して匂いを嗅いだあと、こっちだ、と言って、エンリツィオの部下の人たちに腕を持たせて運ばせた。

 そのおかげで予想よりも大分早く、全員の腕を特定することが出来た。腕は全員ついたけど、やはり血を失い過ぎたらしく、最初の方に腕を切り落とされた、ハバキアさんとニルダさんは、予断を許さない状況だと医師に判断された。

 俺に召喚魔法があれば、恭司を召喚魔法で呼び出して、フェニックスの力で助けられたかも知れないのに。それかこの場に、ジルベスタがいたら。

 ないものをどうこう言っても仕方がないけれど、目の前で両腕を切り落とされた、たくさんの人たちを見たら、そう思わずにはいられなかった。

 エンリツィオの部下の手当で手一杯で、ランドルの部下の処遇については明日決定すると、エンリツィオの部下の人がウッツさんに伝えに来て、ウッツさんから俺はそれを聞いた。

 俺はMPの基礎ステータス値が高いのと、知能上昇があるから、こんな風にたくさんの人たちに一度に魔法をかけられるけど、ギュンターさんは途中で魔力が枯渇してしまってグッタリしていた。

 エンリツィオ一家には、他にもチムチに回復魔法使いがいないわけじゃないけど、レベル5までは、傷口をただ塞ぐだけ。

 切り落とされた腕を完全にくっつけるなんて荒業は、レベル6以上からでないと出来ないことだった。

 元々回復魔法使い自体の数が少ないから、レベル6以上となると、よそから連れてこない限りは、チムチには現時点で俺とギュンターさんしかいなかった。
 ……アシルさんを除いて、だけど。

 みんなの腕を早く特定してくっつける為にには、とてもそんな余裕なかったから後回しにしてたけど。

 レベル7は無理でも、レベル5を1人、レベル6に引き上げることの出来る、回復魔法レベル5は1つ余っている。

 今後も同じ目にあった時の為に、1人レベル5の回復魔法使いのレベルを、レベル6に引き上げたいんだけど、どうかなと、ローマンさんに伝えた。

 ローマンさんは確かにそうだな、とうなずいて、エンリツィオに使いをやって、そのことを聞いてくれることになった。

 程なくして1人の若い男性が宿屋にやって来た。ヴォルニーさんと名乗った優しい焦げ茶の髪色のその男性は、知力のステータスがかなり高いらしい。

 広域魔法はレベル7にならないと使えないけど、大量に治療する可能性があることを踏まえると、確かに最適と言えた。

 ヴォルニーさんが来た途端、エンリツィオの部下の人たちが次々に嬉しそうに彼に声をかけて肩を叩いた。

 お前がレベル6になるなら百人力だぜ、とか、お前のスキルレベルが上がるなんて嬉しいよ、とか。

 どうやら日頃からみんなの治療にあたっていたらしく、おまけに凄く献身的で優しい性格をしていて、みんなから好かれているらしかった。

 とても気さくな一切の悪意を感じさせない人で、初めて会った俺にも太陽みたいな笑顔でニッコリ微笑んでくれて、俺も釣られてニッコリしてしまった程だ。

 ヴォルニーさんもドイツ人で、ドイツには名前に意味があることが多くて、ヴォルニーとは、人々の心、人々の生命力、といった意味なのだと、ローマンさんが教えてくれた。

 コイツにピッタリだろう?と言いながら。
 回復魔法使いなのはその影響もあるのだろうか?こちらの世界でその名前が、どういう意味を持つのかは知らないけど。

 本人の元々のスペックが、勇者召喚時のスキル付与時に影響するのだということは、たくさんの勇者たちの召喚結果から、間違いないと思うし、エンリツィオの部下たちは、みんなそういうものだと認識をしている。

 けれど、元から故郷で意味のある名前を持つ人たちにも、何かスキル付与の際に影響があるんだろうか。

 明日ランドルの部下を出す場所に連れて行くから、今日はゆっくり休んでくれ、とウッツさんとローマンさんが、ホテルに護衛がてらついてきてくれることになった。

 俺はもう少し休んでから行くよ、本当に助かったぜ、ありがとうな、とギュンターさんが言うので、ギュンターさんにも回復魔法をかけた。

 ついでに夜通し治療にあたるという、医師2人と薬師2人にも回復魔法をかけて、みんなをお願いしますと頭を下げた。

 MPの枯渇疲れは、そんなものじゃ回復はしないけど、気休め程度でも楽になればいいと思った。
 俺は欲しいスキルが増えた。

 この世にはMPを回復出来る、かなり特殊な回復スキル持ちがいるという。もしそいつを手に入れられたら。
 自分にもみんなにもかけ放題だ。

 魔法使いはMPが命綱だ。枯渇するまで戦えば動けなくもなり、逃げることすら出来なくなって死ぬ。

 その事をホテルへの帰り道に、恭司とユニフェイを伴って歩きながら、ウッツさんとローマンさんに話したら、

「──いるぜ、1人。」
「ああ、俺らの知ってる奴だ。」
 と2人に言われた。

「エンリツィオの部下の人の中にいるってことですか?」
「……いや。
 そいつも俺らのクラスメートだった。」

 ウッツさんは表情を暗くする。
「けど、俺たちがボスに救われた時、そいつだけは助け出すことが出来なかった。」

 ローマンさんの言葉は、どこかで聞いたような話だった。

「この国の国王を知ってるだろう?
 ……あいつに襲われて無理やりモノにされちまって、今は寵妃なんて立場にいるよ。」
 ウッツさんは苦笑してみせた。

 アダムさんの言っていた、助け出すことの出来なかったクラスメートで、無理やり国王の寵妃にさせられたと言う人。

 その人が、その特殊なスキル持ちだってのか……!!

 俺にとっても必要なものだけど、もしチムチ王宮を攻めることになった際に、その人に王宮の兵士たちのMPを回復し続けでもされたらとんでもないことになる。

────────────────────

次世代ファンタジーカップエントリーしています。
応援よろしくお願いいたします。

少しでも面白いと思ったら、いいねをタップしていただけると幸いです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

処理中です...